「グローバル」です。私は海外勤務の経験がないので、グローバル人材戦略というのをしっかり自分で理解しないといけません。昨年から人事部門にも外部採用も含めてグローバル専任者を複数名配置し、一緒に取り組みを開始しています。自身でもどんどん勉強をしていかないといけないので、海外拠点で働いている社員とも積極的にコミュニケーションを取っているところです。
「新入社員の中長期での育成、活躍」に関心を持っています。新卒採用は入社がゴールではないですし、その先の活躍が会社にとって成長につながります。足もとのスキルのジャッジはもちろん大事ですが、中長期で伸びるポテンシャルをどう見極め、どういう育成フレームの建付けにするか。採用市場の優位性にも直結する部分ですので、関心を抱き続けているテーマですね。
やや使い古されたワードではありますが、「人事データの活用」に強く関心を持っています。社員一人ひとりがデータを見て、それをもとに自身の成長につなげていく。ラインマネージャーがチームやメンバーのデータを見て、適切なタイミングで適切なフォローを実践していく。人事としては、そのような環境を整えることが重要だと思っています。データを蓄積し、人材開発や組織開発にそれをうまく活用する。そのような状態を目指していかなければなりません。
もう1つは、組織が持つ「二面性」と「対話」に着目しています。「二面性」とは、機能体としての組織と共同体としての組織です。ここで言う機能体は、組織の外部に目標を置いて、その達成に向けて組織を前進させていくもの。一方、共同体とは、組織の中にゴールを内在させる、極端に言えばその組織に所属していることが価値であり目的になるというものです。
人事はこの「二面性」を理解した上で、うまくバランスさせながら、組織のコンディションを維持、向上させねばなりません。事業会社は前提として機能体組織なので、放っておくと機能体側面のみが強化される傾向がありますので、共同体組織としての側面をどう取り入れていくのかが重要なテーマとなります。その実現に向けては、組織内での「対話」が要諦になると強く感じています。
優れた戦略や戦術、それをやりきる完遂力は、組織がゴールを達成する上で重要な要素です。ですが、それだけでは人が辞めていったり、組織が機能不全に陥ったりしてしまう。事業を進めていくと、コンフリクトやハレーションは必ずと言っていいほど起きます。その時に解決の糸口になるのが「対話」です。
Hacobuには「“正・反・合”で対話しよう」というバリューがあります。Aを論破してBでいきますではなくて、AもBもしっかり俎上に上げて、対話を通じて新しい価値を創出していく。これはすごく難易度が高いことだと思います。時間に制約がある中で対話を築こうとしても、やはりディスカッションやディベートっぽくなってしまう。バリューとして創造的対話をしっかり打ち出すことで、組織がその方向に向かおうとする、みんなを向かわせようとしてくれる。このことはHacobuの文化を語る上で、大変重要な要素だと思います。
私の中では、「生成AI」と「インテグリティ」に関心を持っています。
「生成AI」については、人事の機能を大きく変える可能性があると思っています。人事は採用や育成、配置、評価などに大きく分けられると思うのですが、この部分に生成AIが今後どんどん活用されていくでしょう。そう考えた時に、人事部門の業務や組織デザインみたいなのも大きく変化するのは間違いありません。そういう意味では、人事部門としては、AIの発展については、関心を持っておかないといけないと思っています。
「インテグリティ」については、恥ずかしながら当社を含め日本の企業で不祥事が増えているというのを背景に関心を持たざるを得ません。今、社内でもこのインテグリティというキーワードをもとに、 カルチャー改革を進めているところです。このインテグリティというのは、よく「高潔さ」みたいな言葉で訳されますが、私たちは「言行一致」という捉え方で、「言っていることとやっていることを一致させる」という当たり前なのですが、この言葉を意識して社員一人ひとり業務に向き合っています。
私たちの社名にある信託は、まさに「信じて託す」です。インテグリティが高いレベルで求められる存在だと思っています。だからこそ、すごくその矜持を社員一人ひとりが特に考えないといけない時期でもあります。昨年、当社グループはおかげさまで100周年を迎えまして、そのタイミングで社員同士が未来に向かって語り合うワークショップの場も設けています。その中でも、インテグリティの言葉が多く飛び交っていましたが、私としては、それを意識や頭の中に置くだけでなく、いかに社員が日々の行動と結び付けられるかを今後も後押ししていきたいと考えています。
「DE&I」は個人的に関心の高いキーワードです。色々な背景を持った仲間が組織に加わって、その過程でどのように多様性を尊重するのか。全ての人が公平な機会を得て、能力をいかに発揮できるか。人事だけでなく、様々な立場のメンバーがこれらを意識して組織を作っていかないと本当の意味で強い組織にはならないと感じています。急激に成長している組織の中で働いているからこそ、このテーマは関心を抱かざるを得ませんし、インプットも進めないといけないと感じています。
1つは「AIの活用」です。人事の領域はAIを使って効率化したり、質を上げたりできる業務が、すごくあると思っています。多くの会社の人事が「忙しい」「時間がない」と言っている印象があるので、まずは自分たちから今やっている活動を劇的に変えることに挑戦したいところです。月に1回、対面で集まって人事内でディスカッションを行っているのですが、そこでは足もとの業務ではなく、中長期の目線で何か考えられることに目を向けていく。そういう場面でAIを活用して、自分たちの業務をどうアップデートできるか、どんな検証をしていくのかという対話を重ねています。採用の日程調整やサーベイのリマインド、AIとの対話による目標設定や評価入力など、色々な領域でアシストや省力化につながるAIの活用については順次を行っていきます。
もう1つは「人的資本経営」です。きちんと人材に関するデータを蓄積して、そのデータを経営的な指標の相関や意思決定に活かしていく。そのようなことを意欲的に進めることで、これまで感覚的にしか意思決定できなかった領域が、実はきちんと数字、定量をもとに判断していけるかもしれません。逆に、数字で判断しようと思っていたところが、結果との相関が見られないことで、思想で決めていくべき領域が見えてくる可能性があります。経営的な意思決定のバランス感覚にもつながる部分なので、個人的に関心を持っているテーマです。
「エンプロイーエクスペリエンス」は関心を持っている人事テーマです。採用を加速していく上では、リファラルの重要性がすごく高まっていくと思っています。いざ、リファラルの施策を進めようとなった際に、何が一番エンジンになるか。それは、自分の会社を大事な人に紹介できる自信です。
もちろん社員への声かけなど人事からの主体的なアクションも重要ですが、社員が自発的に紹介したくなるカルチャーをつくるのが一番大事ではないでしょうか。その時にエンプロイーエクスペリエンスが大切になってくると考えています。
「サクセッションプラン」は個人的に強く関心を持っている人事テーマです。当社は2024年の4月に社長が代わりました。当然、社長によって色が出るわけです。前の社長からは、「現状維持は衰退だ」とよく言われ、社長自ら新しいビジネスを考案し実践されていました。現社長は、社員とのコミュニケーションを非常に重視されています。
これは私の失敗談ですが、社長が交代した4月のタイミングで、社長に全国の店舗など色んな会社組織を、社員には新しい社長がどんな人かを知ってもらいたいという考えから、社長の現場訪問計画を立てました。実際に店舗を訪問した際、所属長は職場の案内をして回ったのですが、そこで社長に苦言を呈されたのです。「私は組織の見学に来たのではなく、社員の皆さんとコミュニケーションを取りにきたんだ」と。社長自らコミュニケーションを取ることで、現場の社員のモチベーションが凄く上がっていくわけです。トップによって色が出て、それぞれ違った形で社員、組織が活性化するわけですよね。それを考えると、所属長を含めたサクセッションプランというのは、すごく大事だなと改めて感じました。
社長に限らず、それぞれの長も同じで、人事としてしっかり取り組んでいかなければなりません。どこにどんな人財がいて、経営戦略上の重要ポストに求められる人財要件は何なのか、求められる人財をどのように育てていくのか。このようなことを、若い世代を含めて取り組んでいこうと力を入れています。そのためには、経営陣とのコミュニケーションが非常に大事です。経営がどういう方向を目指しているのか、経営戦略を進めていくうえでどんな人財を求めているのか。人事としては、こういう人財はここにいますと直ぐに答えられる状態を常につくっていきたい。サクセッションプランの成否が社員のモチベーションにもつながっていくので、しっかり取り組んで企業の成長につなげていきたいですね。
今、人的資本がバズワードになっていますが、その前段階にある「心理的資本」というキーワードはすごく関心を持っています。心理的資本は「Hope(希望)」「Efficacy(自己効力感)」「Resilience(回復力)」「Optimism(楽観性)」の4つで構成され、それぞれの頭文字を取って「HEROモデル」と呼ばれています。この4つが充実すると人的資本も充実していく。人的資本が充実していくと社会資本も充実していく。社会資本は人と人との付き合い、つながりを指しますが、いまリモートワークの会社が多い中で、人間関係やコミュニケーションが人事課題になっていたりしますよね。そういう意味では、人的資本や社会資本のドライバーとなる心理的資本は注目しているキーワードです。
やはり採用のあり方については常に考えています。 最近は採用市場の競争が激化していますが、私たちは将来的に「面接への依存度を下げる」ことに挑戦したいと考えています。 面接はどうしても面接官の主観が入り込んでしまいます。「自分と似たタイプ」を評価してしまうバイアスも完全には排除できません。そもそも面接官の能力を超える能力を持った方が目の前に現れたとき、私たちの主観だけでその方のスキルを正しく測れないのではないか、という問いを持っています。
そのため、エンジニア採用など一部の職種では、プログラミングや数理テストの結果を最優先する選考を導入しています。履歴書上の経歴よりも、純粋な「能力」を客観的に評価したいからです。数理能力のような数値化しやすい能力以外でも、ディレクター職のような定性的なスキルの評価が求められる職種でも、より公平で精度の高いジャッジができるようにならないかと模索しています。人間が判断するよりも、データに基づいた客観的な評価のほうが、結果として候補者の方の能力を正当に評価できる方法を考えられたら、もしかしたらAIを活用して書類選考や面接内容の最適化が進められるかもしれません。そんな「選考の最適化」については、常に関心を寄せています。