連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪15人目は三井住友信託銀行株式会社の人的資本戦略を統括する、執行役員 人事部長 米沢 奈津彦氏が登場。同社は「託された未来をひらく」をパーパスに掲げ、日本最大級の信託銀行として、長い歴史と幅広い事業を強みに、個人・法人・投資家向けに様々な金融サービスを展開している。本記事では、三井住友トラストグループ株式会社の人事部長も兼任する米沢氏が語る人事としての苦悩や業務で大事にしている考え方のほか、同社がチャレンジする新人事制度やオススメの書籍などをお届けする。

※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
社内で「目立たない」、セーフティーネットのような人事でありたい――三井住友信託銀行 米沢 奈津彦氏 【人事リレーの輪15人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪15人目】
三井住友信託銀行株式会社 執行役員 人事部長
米沢 奈津彦氏



当社には1996年に新卒で入社しました。2018年までは法人営業や不動産事業本部を中心にキャリアを歩んできたのですが、同年の7月に人事部に異動となりました。次席のポジションから、2021年4月より人事部長を拝命し、今に至るというのがこれまでの私の歩みです。ですので、人事としてのキャリアは、7年弱になります。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

三井住友信託銀行の人事部長として、人的資本戦略の立案とオペレーション全般を統括していますが、持株会社である三井住友トラストグループの人事部長も兼務していまして、グループ各社向けのCoEの機能として各社の人事運営面のサポートも行っています。

Q3:今抱えている主な人事課題は?

当社は2012年4月に住友信託銀行と中央三井信託銀行が合併して誕生したのですが、合併時につくった人事制度を多少マイナーチェンジは行ってきましたが、コロナ禍以降の働き方の変化、社員の価値観の多様化、労働市場における流動性の高まりなど当時からの変化を踏まえると、早急に人事制度・運営を未来適合化していかないといけないのが最大の課題と捉えています。

もう1つは、経営戦略と人的資本戦略をどうつないでいくか。人的資本戦略が財務面、非財務面においてどう影響していくのか、これまで以上に社内外で説明が求められています。ただ、これは企業価値向上という投資家や会社の目線の取り組みです。つまり、経営計画を実現する人的資本を揃え、人事運営を通じてそれをしっかり資源化するという、投資家や経営から人事部門に託されているミッションと言えます。

一方で、社員目線で捉えた際には、例えば、個々人のキャリア自律やエンゲージメント向上を推進していかないといけません。ですので、投資家・会社と社員目線の双方で経営戦略と人的資本戦略をいかにアラインさせていくかも重要な課題です。

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