市場での競争力を維持し、企業の成長を促進するために必要な「組織力強化」。その鍵となるのが経営と現場をつなぐマネジメント層だ。人事や経営層は、間をつなぐ管理職をいかに支援していくべきか。ロート製薬元CHROの髙倉千春氏と、日揮ホールディングス CHROの花田琢也氏が、人財と組織の成長を両立させる取り組みについて議論を交わした。本講演録は、花田氏が語る「船中八策」と名付けたプロジェクトの中で、部長の役割を3つに分ける日揮グループならではの育成戦略や、2030年に向けた人財ポートフォリオ、エンゲージメント向上のための「パーパスジャーニー」などユニークな施策のほか、両者によるパネルディスカッションの模様をお届けする。
人と組織を成長させる日揮ホールディングスの「部長の三権分立」と「4象限の人財ポートフォリオ」
花田 琢也 氏
登壇者:

日揮ホールディングス株式会社 専務執行役員CHRO 花田 琢也 氏

1982年、日揮株式会社に入社し、石油・ガス分野の海外プロジェクトにエンジニアとして従事。1995年、トヨタ自動車に出向して海外の自動車工場建設PJに参画。2002年、NTTグループと「トライアンフ21」を設立してCEOに就任。2008年より日揮アルジェリア現地法人に赴任してCEOに就任。帰国以降、国際プロジェクト部長、事業開発本部長、人財・組織開発部長を歴任し、2018年、データインテリジェンス本部長CDOに就任。2021年 日揮グローバル エンジニアリングセンター プレジデントを経て、2022年4月より現職に至る。日揮グローバル 取締役、日揮コーポレートソリューションズ 取締役を兼任。

髙倉 千春 氏
登壇者:

ロート製薬元CHRO、高倉&Company合同会社共同代表 髙倉 千春 氏

1983年農林水産省入省。90年フルブライト奨学生として米ジョージタウン大学へ留学し、92年にMBA取得。14年より味の素理事グローバル人事部長としてグローバル人事制度を構築、展開。20年よりロート製薬取締役、22年同CHROに就任。23年より三井住友海上火災保険・野村不動産ホールディングス社外取締役。企業の将来の経営の方向性を見据えた戦略的な人事に取り組み、多様な次世代人材育成などを推進。

HRプロ編集部
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採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

日揮グループの経営戦略と連動する人事戦略――船中八策と戦略人事の羅針盤 ”人財グランドデザイン2030”

「HRO会議」であがった重要な8つの課題

日揮グループは、1928年の創業以来、産業や社会の基盤を支える存在として「エネルギーと環境の調和」に取り組んできました。しかし、昨今はビジネスを取り巻く環境が変わってきていることから、2021年に長期経営計画「2040年ビジョン」を策定し、パーパスを「Enhancing planetary health」と再定義しました。

私たちはエンジニア集団ですが、大きな工場やR&Dの設備があるわけではありません。つまり、人こそが財産なのです。だからこそ、2040年ビジョンを達成するには、人事戦略は最重要課題と言えます。そこで人事戦略の最高推進機関として「HRO会議(Human Resource Officer)」を始めました。これはHRBPとは異なり、事業会社の中でのニーズをしっかりと捉えなければならないことを深く議論する会議体です。

HRO会議で人事施策を進めていくなかで、重要な8つの課題が上がりました。それは、「人財ポートフォリオ」「採用戦略」「育成戦略」「サクセッションプラン」「タレントマネジメント」「グローバル人事制度」「エンゲージメント」「リテンション」です。これら8つの施策について、坂本龍馬の言葉を借りて「船中八策」と名付けました。堅苦しいイメージではなく、明治維新のような変革の印象を社員に持ってもらいたかったからです。このプログラムでは、人事ではなく事業系の部長がリーダーを務める特徴があります。今回は、この8つから「人財ポートフォリオ」「育成戦略」「エンゲージメント」の3つの施策について説明します。
人と組織を成長させる日揮ホールディングスの「部長の三権分立」と「4象限の人財ポートフォリオ」

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