最近読んだ中でおすすめしたいのは、『ユニクロ』(杉本 貴司 著)です。ユニクロは今でこそグローバル企業ですが、地方の小さな会社から始まって色々なチャレンジをして困難を乗り越えてきた会社です。読み進めていくと、成長過程で人や組織にどう向き合って、解決してきたか、様々な登場人物の視点で追体験できるので、非常に読み応えのある書籍でした。成功だけでなく、失敗や挫折の話も書かれているので、「こんなに失敗したり、チャレンジしたりして、いまのユニクロがあるのか」と勇気をもらえました。もっと自分の業務でもチャレンジしていこう、失敗してもいいやと思えるぐらいこの本に勇気づけられていますね。
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『ユニクロ』(杉本 貴司 著)
オススメしたい書籍は、『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか 〝ゆるい職場〟時代の人材育成の科学』(古屋 星斗 著)です。この書籍を読んで特に印象的だったのが、「会社に不満はないけど、将来に不安はある」という若手社員の声。当社のようなインターネット広告業界は少し前ですとチャレンジ精神に溢れていたと思うのですが、いまは業界全体が順調に成長してきたこともあって、比較的安定感みたいなものが出てきています。まさに当社でも将来を見据えて、安定性を求めて入社を志望していただく学生さんが増えています。そのような背景の中で、若手社員にチャレンジ精神や主体性を持ってもらうにはどうすればいいか。それは、採用だけで実現できるものではなく、入社後の育成、組織風土、評価などにおいて一貫した思想が必要だなと感じています。若手社員の育成の本質について、すごく考えさせられた一冊ですね。
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『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか 〝ゆるい職場〟時代の人材育成の科学』(古屋 星斗 著)
『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部 良一/寺本 義也/鎌田 伸一/杉之尾 孝生/村井 友秀/野中 郁次郎 著)です。大東亜戦争における日本軍の失敗を体系的に振り返りながら整理した本になります。過去の成功体験に捉われすぎたり、自己認識が甘かったりするゆえに、学ぶことを止めてしまったこと。NOとは言えない空気が場を支配していったことなど、日本の敗戦につながった要因が研究を通じて整理されていますが、組織を運営するうえで、非常に重要な要素が詰まっています。組織はマンネリ化させてはいけないですし、定期的な配置転換や外の空気をしっかり取り入れることも重要であることを学ばされます。
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『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部 良一/寺本 義也/鎌田 伸一/杉之尾 孝生/村井 友秀/野中 郁次郎 著)
『スタートアップ企業の人事戦略』(田口 光 著)です。大手企業の硬直的な組織の中で、スタートアップに学ぶべきことは多分にあります。過去のしがらみによって新しい一手が打てなかったり、失敗を容認しない文化だったりすると、これからは若い世代に見向きされなくなり、企業として行き詰まっていくでしょう。
スタートアップであれば、自発的にビジネス機会を自分たちで生み出していくじゃないですか。Z世代を中心にそこがすごくやりがいを感じるところなんです。優秀な学生を獲得できたとしても、やりがいがなければ辞めてしまう。いわゆる、「ゆるブラック」問題ですね。いくら心理的安全性が高かったり、残業時間や休日など働きやすい環境が整ったりしていても、やりがいや成長につながるキャリア安全性が低ければ若手は定着しません。
そういう背景をふまえると、今スタートアップから学ぶことは多いんじゃないでしょうか。この書籍は実例とともにわかりやすい言葉で解説されているので、自分の中では教科書として読んでいます。スタートアップと当社の規模や歴史は違うから意味がないよと言われればそうかもしれませんが、大手や歴史のある企業が持つ悪い側面を見直さなければ、採用市場から置いていかれるのは間違いないです。
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『スタートアップ企業の人事戦略』(田口 光 著)
今も何回か読み直していて、非常に人事の方にオススメしたいのが『経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-』(松尾 睦 著)です。この書籍は、人材育成の7割を決定する経験に焦点を当て、認知心理学、経営組織論など多様な観点を取り入れながら、経験学習のメカニズムを明らかにしています。
経験学習は、大人が成長していくための基本的な考え方だと思います。経験して内省して、教訓を引き出して新しい経験に転用していく。教育学的な観点をビジネスに応用する考え方なのですが、書籍を読んでいてすごく腹落ちする部分が多いですね。人事の仕事って、人の可能性をいかに信じられるかじゃないですか。何歳になっても人は成長できます。経験学習のサイクルを回していくことで一人ひとりの可能性は広がりますし、組織としても成長していけると思うんです。この考え方は、すごく大事だと思いました。
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『経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-』(松尾 睦 著)
『デビルパワーエンジェルパワー』(ケビン・D.ワン 著)です。人をどう活かすかの観点で、心に残った書籍です。組織やチームづくりは、結局調和がとても大事なんだと思いました。本のなかでは、寓話をもとにデビルパワー(締め付け、力ずく)とエンジェルパワー(愛情)のバランスが描かれていて、共感でき、参考になる部分がありました。
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「デビルパワーエンジェルパワー」(ケビン・D.ワン 著)
『多様性の科学』(マシュー・サイド 著)です。簡単に本書を紹介すると、CIAの組織を例に、同一性の高さによって、テロの予見を困難にさせたという話が主に描かれています。
多様性と言っても、単に色々な人を集めたとしても、課題領域から飛び出した人がたくさんいれば意味がありません。課題領域の中で多様な人を集めることが、一番の理想というのが書籍のなかで示されています。優秀さに着目して同質性のある100人を集めてもいけなくて、課題領域の中で多様性のある人材を集めれば、色々なリスクに対応できる。多様性に対する捉え方について、すごく気づかされた本ですね。
他にも、イギリスのフットボールチームに全く違う分野の専門家が入ることでチームが強化されたり、第二次世界大戦中に数字から遠い分野の人を活用することでイギリス軍が敵の暗号を解読できたり、多様性の力によって大きな課題を解決できた事例がいくつも載っています。
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「多様性の科学」(マシュー・サイド 著)
『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原 淳 著)です。人事が組織開発に取り組むのはすごく大事なミッションだと思うのですが、私はこれまでどちらかと言えば個人を育てるところにフォーカスしていました。私が最近、エン・ジャパンのプロダクト開発を担う部門の担当になったものの、これまでは私自身あまり一つの組織に入り込む機会がありませんでした。今回、一つの部門を見るにあたって、組織開発のお題も会社からもらったのです。ちょうどその時期に、この書籍と出会いました。読んでいくと、私のこれまでの動きは大丈夫だったんだという自信みたいなのが改めて生まれました。それに加えて、私の足りない部分を補ってくれ、これから組織開発を進めていくうえでの指針をもらった気になりました。
最も勉強になったのがスタンスの部分です。理論と実践を結びつける「アカデミック・プラクティショナー」を目指そうというのが本に書いてあり、これだと思いました。私が社員から頼ってもらっている理由の一つに、人事や組織についてきちんと勉強しているからというのはあると思っています。ただ、逆に頭でっかちになってもいけません。理論に寄りすぎて無茶な施策になっていれば、現場に負担がかかり、避けられる関係にもなってしまうでしょう。前々から理論と実践の両方をできるようになりたいとぼんやり思っていたので、これを目指せばよかったのだと改めて認識でき、すごく刺さりました。
また、本の中では具体的に「こういう順番で、こういう人に話しましょう」と示されています。中原先生の本書での注釈も優しさがあり、「こういうことをやると、きっとこういうことも起きると思います。うまくいかないのは当たり前だから、やってみるのが大事なんですよ」というようなこともすごく細かく書いてくださっていて、エールをもらえる感覚にもなるので、オススメの書籍です。
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『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原 淳 著)
『冒険の書』(孫 泰蔵 著)は、人事の皆さんにお勧めしたい書籍です。作者は、ソフトバンクの孫さんの弟ですが、自身の息子からの問いをきっかけに、“学ぶ”こと “働くこと”の本質について、歴史や哲学で紐解いていくものです。とても読みやすい本です。
一節に、『「学び」から「遊び」がなくなり、つまらない「勉強」になった。』とあります。本当にそうだと思いますよね。学ぶことは本来楽しいことなのに、テストや受験戦争で、子供にとって、とても辛いもの、つまらないものになってしまっているように映ります。仕事も同じで、本来は楽しいものだと思います。しかし、成果ばかりを期待され、受動的で、やらされ仕事になると、とてもつまらないものになってしまう。
昨今、主体的なキャリア形成やキャリアオーナーシップが大事といわれ、取り組まれている企業も多いと思いますが、会社や上司が、時にあれこれ手を焼いてしまいがちです。私はよく「大人扱いを」と言いますが、主体性を尊重することが、人財育成やエンゲージメントにどうつながっていくか、どうあるべきか、この本を通じて、改めて色々考えるきっかけになりました。
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「冒険の書」(孫 泰蔵 著)
『愛するということ』(エーリッヒ・フロム 著)です。人と向き合ううえで、軸をつくってくれた本なので、人事の方にもおすすめしています。私自身、組織にも協働する他者にも愛を持つべきだと思っています。社員にも家族や子どもと同じように、愛を持って本気で向き合っていかなければなりません。この書籍は、そもそも愛するとは何だろうかという問いを立てていて、愛すること自体は技術というアプローチをしています。「愛」を単なる感情ではなく、「技術(アート)」として捉え、それを習得し、実践することが重要であると教えてくれます。心理学でもあり哲学でもあるのですが、人への愛の持ち方、向け方を教えてくれるので、組織をデザインしていくうえですごく支えになる軸をくれた本です。
「人を大切にする組織文化」そのものをつくることが、長期的な企業の成功につながると考えられるようになりました。
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『愛するということ』(エーリッヒ・フロム 著)