連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪19人目は株式会社ゆうちょ銀行の人的資本経営を推進する、コーポレートスタッフ部門 執行役 人事部長 山本 浩和氏が登場。同社は「お客さまと社員の幸せを⽬指し、社会と地域の発展に貢献する」というパーパスを掲げ、日本郵政グループの一員として、全国の郵便局ネットワークを通じて、個人や地域の生活や資産形成を支援する金融サービスを提供している。本記事では、山本氏が語る人事としての苦悩や業務で大事にしている考え方のほか、同社がチャレンジするシニア人財の活躍支援やオススメの書籍などをお届けする。

※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
社員から自然と相談が来る「開かれた人事」であり続けたい――ゆうちょ銀行 山本 浩和氏【人事リレーの輪19人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪19人目】
株式会社ゆうちょ銀行
コーポレートスタッフ部門 執行役 人事部長 山本 浩和氏



私は郵政省の役人からキャリアが始まりました。2007年の郵政民営分社化によりゆうちょ銀行が発足したのですが、そのタイミングで当行に帰属することになりました。郵政省では、金融関連の他に国会の仕事、郵政公社では銀行準備室で民営分社化のプロジェクト等に従事しました。そのような仕事を手がけていたこともあり、人を知っているだろうという理由で民営化後は、ゆうちょ銀行人事部になったと聞いています。今でこそ人事部には約80名の従業員がいますが、当時は30名ほど。戸惑いながら人事全般を一通り経験しました。

2015年11月に東証への上場を迎えるわけですが、その時期に広報部長に抜擢されました。これまでは社内に対する仕事がメインでしたが、会社からの発信という仕事は新鮮で面白かったのを覚えています。2018年からは営業部門の部長として、投資信託をはじめとするお客様の資産形成を担当、2019年には東海エリア本部長として東海4県の責任者を務めました。そこではお客様サービスの品質向上など、店舗社員の育成に注力しました。2021年4月から現職の人事部長になり、今に至るというのがこれまでのキャリアです。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

役割を一言で言うと「人事的資本経営」の推進で、経営戦略との連動は勿論ですが、特に「パーパス」と「人事戦略」の連動を意識しています。当行のパーパスは、「お客さまと社員の幸せを⽬指し、社会と地域の発展に貢献する」。これを実現していくために、「多様な人財が活躍するいきいき、わくわくに満ちた会社を、社員と共に築き、企業価値を向上させる」と人事戦略の中に組み込んでいます。

この実現に向けた主なミッションは大きく分けて「ウェルビーイング」「ダイバーシティ」「組織風土改革」の3つです。

ゆうちょ銀行というのは、銀行という名前が付いていますが融資はできないんですね。個人のお客様に預けていただいたお金を運用して利益を出す。銀行業というよりサービス業に近いと思っています。お客様に寄り添って最適なサービスを提供して、お金を預けていただく。そこで重要なのは、社員が心身ともに健康で、仕事に誇りとやりがいを持たなければならない。サービスを良くするためには、組織の問題についても声を上げやすい職場環境を作っていかなければならない。そして、今は時代の変化が速いですから、縦割りで上意下達の組織であれば、とてもじゃないですけど成長はありません。そういう意味では、多様な人財を増やし、いろいろな所から意見が出るような組織に変えていきたいと考えています。

Q3:今抱えている主な人事課題は?

当行は定年が延長され65歳まで働くことができます。社内の平均年齢も高くなっていますので、「シニア人財」の活躍の場をいかに広げるかが、喫緊の人事課題です。他社に比べると恵まれていますが、60歳で役職定年を迎えた時に給与も下がるので、モチベーションも下がります。一方で、少子高齢化や労働力不足を考えると定年が延びていく可能性が高いですよね。そう考えた時に、先ずは50歳から65歳までの間も高いマインドを持って仕事に励んでもらう必要があります。

現在、シニア活躍に向けた人事施策の議論を活発に交わしているところですが、一番はやはりシニア人財のマインドを変えないといけない。まだまだ年功序列や終身雇用で染みついた仕事の進め方や考え方が残っています。働き方やキャリアの考え方も変化してきていますので、キャリアオーナーとして今後の働き方を考える場を作らないといけない。

我々人事も、高いポジションで役職定年を迎えたから、処遇するという発想でいてはいけません。役職定年を迎えた時に何ができるか、どう会社に貢献できるか、どんな影響力を若手・中堅社員に与えられるか。これらを総合的に見て報酬を決定する。ジョブ型に近い仕組みを導入しようと考えているところです。

エンゲージメントスコアを見ても、50代や60代が低いという結果が出ています。これらの世代と会社との関係性を強化する必要があります。若手や中堅社員からは、「我々が一生懸命やっているのに、なぜシニアの人は仕事をしないのか」といった不満が出て、社内の色んな方面に影響が及びかねません。シニア人財が活躍する、活躍できるようにすることが喫緊の大きな課題です。

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