2025年6月13日の年金制度改正法の成立で確定した「社会保険のさらなる適用拡大」。本シリーズではこれまで3回にわたり、「賃金要件の撤廃」、「企業規模要件の撤廃」、「個人事業所に対する社会保険加入の強化」について整理をした。最終回の今回は、最後の項目である「支援策の実施」について見ていこう。

【社会保険がさらなる適用拡大へ:4】支援により「新規加入者の保険料負担」が軽減に

企業と従業員の保険料負担を支援

今回の法改正で実施が決定した「社会保険のさらなる適用拡大」は、中・小規模企業の財務状況に与える影響が決して小さくない。社会保険料負担を嫌い、勤務を辞めるパート従業員なども発生しかねない。

このような状況を鑑み、適用拡大と並行して「加入拡大の対象者に対する支援策」も実施されることになった。この支援策は、従業員が負担すべき保険料の一部を企業が代わりに拠出した場合、企業側に生じた追加負担相当額が事後に制度から支給されるという仕組みである。

具体例で考えてみよう。あるパート従業員(月収88,000円)が今回の法改正に伴い、社会保険に新規加入することになった。この従業員に課される社会保険料は1ヵ月当たり、厚生年金が8,052円(=88,000円×18.3%÷2)、健康保険が4,400円(=88,000円×10.0%〈協会けんぽの全国平均料率〉÷2)で、計12,452円である。

このとき、企業側がパート従業員の社会保険料負担を軽減するため、従業員負担分の保険料の半額に当たる6,226円(=12,452円÷2)を企業負担に変更したとする。その結果、パート従業員の給与から差し引かれる保険料は、本来額の半分の6,226円にまで減少した。

このような措置が取られた場合、企業側が通常よりも余計に負担した保険料6,226円は、事後に制度から全額支給を受けることが可能になる。これが支援策の仕組みである。
加入拡大対象に対する「保険料負担支援策」の仕組み
この施策を利用することで、企業とパート従業員の双方が社会保険料負担を抑制しながら、今般の法改正に対応できるわけだ。

なお、保険料負担支援策を利用すると従業員が支払う年金保険料は少なくなるが、それによって将来受給する年金額が減額されることは一切ない。この点も本施策の大きなメリットといえよう。

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