今回は、U-NEXT HOLDINGS 人事企画部の西村壽哉氏、有坂純氏、マーサージャパンの増渕匡平氏、四野宮祥子氏の対談を実施。U-NEXT HOLDINGSが目指す未来と、そこで『総報酬サーベイ』が果たす役割についてお伝えする(以下敬称略)。
※役職・所属等はインタビュー当時のものです。
【対談者プロフィール】

■西村 壽哉氏
2004年に新卒入社。採用や育成、給与計算、制度企画など人事領域全般の経験を積む。その後、女性営業職の活躍を推進する営業組織のマネジメントを経て、2018年にグループ全体の採用責任者に、2020年には人事部長に就任。現在は人事企画部の部長として、人事企画・制度の運用や給与・労務のオペレーション領域を牽引している。
株式会社U-NEXT HOLDINGS
人事統括部 人事企画部 部長

■有坂 純氏
2023年に新卒入社。人事企画部に配属となり、人事データのオペレーション業務に従事。他にも新卒社員の入社イベントなどの企画業務を経験し、現在は報酬水準適正化プロジェクトのメンバーとして、組織課題の解決に向けて尽力している。
株式会社U-NEXT HOLDINGS
人事統括部 人事企画部 人事企画Unit

■増渕 匡平氏
日系証券会社の営業部門および人事部門を経て、2010年にマーサージャパン入社。『総報酬サーベイ』に関する、既存顧客の運用支援や新規顧客の導入支援に従事。2021年にプロダクト・ソリューションズ部門の責任者に就任。日本で3,500社を超える同部門のクライアントに対して、組織人事領域における典型的なイシューを特定し、標準化されたソリューション(プロダクト)を通じて支援している。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ部門 代表

■四野宮 祥子氏
新卒で日系通信会社に入社し、法人営業やパートナー営業を経験。その後、中小企業向けの ICTソリューションに関するカスタマーサクセス業務に従事。2023年10月、マーサージャパン株式会社に入社。『総報酬サーベイ』をはじめとした、クライアントのデータ活用を支援している。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ マネージャー

報酬水準の見直しに必要だった『総報酬サーベイ』のデータ充実度
増渕 私どもマーサーでは、組織・人事の専門家として、制度設計などのプロジェクト支援に加え、日々の意思決定を支えるデータベースやツールといった“プロダクト”の提供も行っています。そのプロダクトの1つが、給与・賞与・手当といった各種報酬のマーケットの実勢を企業から収集し、業種別・規模別・職種別・年齢別など多角的に比較・分析できる『総報酬サーベイ』です。
U-NEXT HOLDINGS様には2025年から『総報酬サーベイ』をご利用いただいています。まずは導入へと至った経緯などについてお聞かせいただけますでしょうか。
西村 以前、役職=等級という制度を運用していた当時は、報酬のベースには“社内水準”がありました。たとえば「支店長であればこの水準」といった形で、過去の慣行や社内バランスを重視した設計でしたし感覚的に設定していたところもありました。
大きな変化を迫られたのが、2017年末。U-NEXTとUSENの経営統合によるホールディングス体制への移行がきっかけです。ちょうど少子化に伴う問題が採用マーケットにおいて顕在化し、優秀人材の獲得競争は激化する見通しもあったので、今後のグループの拡大・成長へ向けて内向きの基準ではなく、市場価値と役割に基づく報酬制度に見直すべきだと考えたのです。
統合後、運用工数が大きく、形骸化している部分もあった等級制度を廃止しました。さらに市場価値・期待役割に合わせて報酬を設定すべきだという意思決定が行われ、新たな評価報酬制度『val.U』を導入しました。年齢や役職に関係なく、それぞれの人材価値を公正かつわかりやすく評価し、報酬に反映させる仕組みです。

有坂 おっしゃる通りです。『val.U』は自由度が高い分、「どの水準を目指すのか」、「何をもって適正水準とするのか」を明確にしなければ、制度の納得感が揺らいでしまいます。社内の議論だけでは限界があると感じ、市場データの必要性を強く認識しました。
西村 また我々は中期経営計画において「100人の社長と100の事業会社をグループ内に生み出し、1社あたりの売上を100億円に成長させることで1兆円企業を目指す」と謳っています。これは単なるスローガンではなく、事業を任せられる経営人材を持続的に輩出し続けるという意思表示です。そのためには、経営人材が社内から育ち、あるいは外部からも惹きつけられるだけの報酬基盤が不可欠です。
また、経営人材に限らず、すべての社員が自分の仕事に誇りを持ち、挑戦し、しかるべき対価と待遇を得ながら、持続的に活躍していく環境を作るべきだとも考えました。
有坂 そうした中で報酬水準適正化プロジェクトが立ち上がり、本格的に報酬全般を見直すことになったのです。
増渕 新しい報酬制度・報酬水準を考えていくうえで、『総報酬サーベイ』はどのような役割を果たしたのでしょうか。またマーサー以外のデータを利用することも検討されたのでしょうか。
西村 『val.U』を正しく運用するためには、市場価値に合わせた報酬設定、つまりマーケットとの整合性が不可欠です。また未来へ向けてグループを拡大・成長させていくにあたっては、目指すべき水準が不明瞭であってはなりません。
私たちは「どれくらいの報酬水準であれば、持続的に経営人材を輩出できるグループとなれるのか、また優秀人材の採用やリテンションに結びつくのか」という問いに答える必要がありました。そのために比較対象企業の選定条件を定め、社内に対してメッセージを出しました。
有坂 厚生労働省の賃金統計などもチェックしたのですが、それでは不十分で、やはり報酬水準の詳細を把握できるしっかりとしたデータを見るべきだ、という結論になりました。
西村 本プロジェクトは先行して2024年に経営人材の報酬水準の検証のもと、Group Executive制度の策定を行いました。その際は別のコンサルティング会社に依頼をした関係で他社が提供しているデータを利用しました。従業員についてもその流れで他社のデータを検討したのですが、我々が比較対象とすべき企業の数は、私が認識している限り、マーサーの『総報酬サーベイ』が圧倒的に多い。これが最大の決め手でした。
加えて使い勝手が良さそうだ、という感触もありました。毎年データを見て適正水準をアップデートし、速やかに戦える状態へと持っていく。そんな意思決定を実現するためには、スムーズにデータを参照・比較できることが重要です。そうした理由で『総報酬サーベイ』の活用がベターだと判断したわけです。
増渕 国内企業だけで1,600以上の企業・組織、うち東証プライムは300社以上という規模感と、データを参照・比較する際の設定の細やかさや使い勝手の良さは、『総報酬サーベイ』の特徴のひとつです。それらが、今回のプロジェクトにおいて有効に機能していたとすれば幸いです。
四野宮 最初に、西村様より弊社に報酬データについてお問い合わせいただいた際には、どのようなデータを希望されているのか、課題感、必要となる分析、データの切り口などをお伺いし、「それなら『総報酬サーベイ』で簡単にお出しできます」とご案内させていただいたことを記憶しています。
有坂 実はマーサーの『総報酬サーベイ』を導入しようと決まったのは、報酬水準適正化プロジェクトがかなり進んだ段階でした。データをチェックし、シミュレーションし、水準を調整して……という作業を考えると、あまり猶予がない状態の中で、こちらの要望や相談に対する迅速なレスポンスや、的確なアドバイスでご丁寧にサポートいただきました。

四野宮 何が、いつまでに必要なのか、適切に把握してお応えしていく。そのスピード感や綿密なコミュニケーションはカスタマーサクセスとして常に意識している部分です。特にリードタイムの短いお客様に対しては最重要の心構え。うまくサポートさせていただけたようで、安心しました。
データチェックから見えてきた課題、『総報酬サーベイ』の存在意義
増渕 『総報酬サーベイ』でマーケットと照らし合わせた結果、新たな気づきや見えてきた課題などはあったのでしょうか。西村 30代以下の若手社員に関しては競争力がある水準であることを確認できました。採用市場における競争激化を背景に、若手の報酬水準アップには先んじて着手していましたので、その成果が出ていたのだと思います。
有坂 その若手よりも上の層である役職者については一定の課題を感じました。若手が目指すべきロールモデルであることを考えれば、個々が市場水準から大きく離れていては組織として健全ではありません。そのため、役職者層の水準はしっかり見直していこうという意思決定になりました。
増渕 御社のように多数のグループ会社が傘下にあり、しかも事業領域がかなり幅広いケースだと、報酬水準の設定は難しいこともあると思うのですが、そのあたりはどう捉えていらっしゃるのでしょうか。

- 1

