転職意向はない。だが、今の仕事の延長に自分の未来を描けない。そんな社員は、決して少なくない。
20代は、「何者かになりたい」と思いながら、何をしたいのかが分からない。30代は、仕事の責任に加え、結婚、育児など私生活上の出来事も重なり、選択の複雑性が増していく。40代以降は、これまで担ってきた役割や周囲からの期待を踏まえながら、改めて「自分の人生を生きる」とは何かを問い直す。そして、事業の将来に責任を負う経営者自身も、迷いとは無縁ではない。

組織の要請に応じて経験を積み、偶然の出会いや異動、新たな役割を生かしていくことは、キャリアを豊かにする。「キャリアドリフト」が示すように、変化の大きい時代には、大まかな方向性を持ちながら柔軟に進路をつくることも重要だ。
一方で、自分が何に関心を持ち、どのような経験を重ねたいのかを振り返る機会がないまま、与えられた仕事をこなすだけになれば、キャリアは次第に「自分のもの」ではなくなる。成長実感を持てない。強みを生かせている感覚がない。現在の仕事の先に、納得できる未来を描けない。こうした迷いを、本人の意欲や自己理解だけの問題にしてはならない。

HR総研の「キャリア自律」に関する調査でも、大企業・中堅企業が推進上の課題として最も多く挙げたのは「社内業務でのキャリア実現」だった。社員がキャリアを考えた先に、自社内でどのような仕事、学び、挑戦の機会を“見いだせるか”が問われている。

本書『モヤモヤ以上、転職未満』は、こうした「AI時代のキャリア迷子」の解決の糸口を整理する。リクルートマネジメントソリューションズでキャリア開発・組織行動研究に携わる古野庸一氏と、人材業界で個人のキャリア支援を手掛ける佐藤雄佑氏の共著で、研究と実践の両面から「転職するか否かの二択に回収されないキャリアの考え方」を示す。人事が管理職による対話を支え、社員が現職でも新たな役割や可能性に気づける環境をどう支援するか。そのヒントを得たい人事・管理職に薦めたい。

【書籍基本情報】
『モヤモヤ以上、転職未満』
著者:佐藤雄佑/古野庸一
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日:2026年8月21日
『モヤモヤ以上、転職未満』佐藤 雄佑(著)、古野 庸一(著) (クロスメディア・パブリッシング)

▼内容紹介

「転職したいわけではないが、このままでよいのか不安」――。本書は、そんな“キャリア迷子”に向けて、自己理解と未来展望を深め、次の行動へつなげるための実践書である。

20代の「何者かになりたいが、何をしたいか分からない」という迷いから、30代の仕事と私生活の複雑な選択、40代以降の生き方の問い直し、経営者の不確実性までを、「AI時代のキャリア迷子」として捉える。

人事・管理職にとっては、社員に早く答えを出させるための本ではない。社員が現職でも新たな役割や可能性に気づけるよう、対話、学習、異動・越境などの機会をどう支えるかを考えるヒントとなる。キャリア開発・組織行動研究の知見と個人支援の実践をつなぎ、キャリアを「最適解」から、自分なりの「納得解」として形づくる視点を示す一冊だ。
(出版社ホームページより/HRプロ編)

▼目次

第1章 モヤモヤ以上、転職未満

第2章 30歳になりましたが、キャリア迷子になっています
-キャリア迷子を抜け出すカギは「自己理解」と「未来展望」

第3章 DAY1&DAY2 自分を知る

第4章 自分のことは意外とわかっていないです
-「自己理解」を深めるために-

第5章 DAY3 理想未来プロトタイプ&DAY4 他者から学ぶ

第6章 未来展望と言われても困っています
-「未来展望」の解像度を高める-

第7章 DAY5&DAY6 理想未来を宣言する

第8章 未来デザインの8ステップ

第9章 理想未来を宣言した後が肝要なんです
-トランジションを乗り越える-高齢期キャリアの構造

▼著者

【佐藤 雄佑(さとう ゆうすけ)】(1、3、5、7、8章を執筆)
株式会社ミライフ 代表取締役
早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了。
新卒で、株式会社ベルシステム24入社し、マーケティング業務に従事。2004年にリクルートエイブリック(現・インディードリクルートパートナーズ)に転職。営業、支社長、人事GMを歴任。
2016年、株式会社ミライフを創業。「100%個人起点エージェント」をコンセプトに、キャリア支援事業を展開。2020年より「モヤモヤ以上、転職未満」の方を対象としたキャリアデザインプログラム「ミライフキャリアデザイン(MCD)」を立ち上げ、現在も現役エージェントとして日々キャリア相談に向き合う。著書に『性格のいい会社』『採用100年史から読む人材業界の未来シナリオ』などがある。

【古野 庸一(ふるの よういち)】(2、4、6、9章を執筆)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主幹研究員
1987年東京大学工学部卒業後、リクルートに入社後 南カリフォルニア大学でMBA取得。 キャリア開発に関する事業開発、NPOキャリアカウンセリング協会設立に参画する一方で、ワークス研究所にてリーダーシップ開発、キャリア開発研究に従事。
2009年より組織行動研究所所長、2024年より現職。
著書・訳書に『ハイフライヤー』『日本型リーダーの研究』『いい会社とは何か』『「働く」ことについての本当に大切なこと』『組織変革の教科書』


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