生成AIの活用を呼びかけても、社員が自らの業務に取り入れるとは限らない。また、トップダウンで活用を促すだけでは、現場に「やらされ感」が生まれ、活用が定着しないこともある。株式会社良品計画が選んだのは、人事部が率先して生成AIを活用し、自ら実践するアプローチだ。生産性向上を全社の重要課題に掲げる同社は、人事部のメンバーが自らの業務課題を生成AIで解決する「HR×AIイノベーション・ラボ」を立ち上げた。そこで生まれた成果や知見は他部門や経営層にも波及し、全社プロジェクトへと発展した。この素晴らしい取り組みが評価され、第11回HRテクノロジー大賞で「人事マネジメント部門優秀賞」に輝いた。本記事では、プロジェクトのオーナーを務める同社 人事部 穴沢真基氏に、プロジェクトの概要や立ち上げの経緯のほか、メンバーの自律を促すうえでのポイントや生成AIの活用を全社で取り組むうえでの本質などを伺った。

第11回 HRテクノロジー大賞『人事マネジメント部門優秀賞』

株式会社良品計画

人事部から始める生成AI活用プロジェクト『HR×AIイノベーション・ラボ』

人事部が起点となり、ボトムアップ型で全社的な変革を推進する生成AI活用プロジェクト。実践型ラボを発足し、実務に即したAIエージェントをメンバー自ら実装・改善する仕組みを構築。発足5ヵ月で14業務のAI化に成功し、問い合わせ対応など年間約3,970時間の業務効率化を達成。人事が「指示する側」ではなく「自ら実践し、示す側」となることで、全社の変革文化を牽引する優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 穴沢 真基 氏

    穴沢 真基 氏

    株式会社良品計画
    人事部
    PMP(Project Management Professional)
    確率統計学修士

    2003年に金融系Sierへ入社し、資産運用システム開発に従事。2007年にアフラック(現アフラック生命保険株式会社)へ入社し、IT部門および米国駐在を経験。2020年より人事部にて人事領域におけるテクノロジー活用を推進。2024年株式会社良品計画に入社し、人事部にてHRIS・HRテクノロジーの推進を担当するとともに、全社生成AI活用プロジェクト「AIイノベーション・ラボ」のプロジェクトマネージャーとして、生産性向上と全社展開に取り組んでいる。

良品計画の人事部から始めた全社の「生成AI活用プロジェクト」――経営課題から逆算した変革モデル実現のための「全社の巻き込み」と「社員の自律」はいかにして生まれたのか

なぜ生成AIの活用を人事部が率先することになったのか

――まずは「HR×AIイノベーション・ラボ」の取り組みについてお聞かせください。

人事部のメンバーが、自らの業務課題に応じたAIエージェントを開発し、業務改善につなげるプロジェクトです。特徴は、ITやシステム開発の専門家ではない人事部メンバーが、自らAIエージェントの開発に挑戦した点です。参加者は上司から任命されたのではなく、生成AIで業務改善したいという強い思いを持ったメンバーが自ら手を挙げて参加しています。所属を越えて生成AI活用の成功事例だけでなく失敗事例も共有しながら活動を進めています。この取り組みでの学びをすぐに現場で活かせるよう、新たな組織や制度はあえて設けず、既存の仕組みの中で運営しました。生成AIの活用は、トップダウンや一部の部署の主導で進められるケースもありますが、当社ではまず人事部自身が実践者となった点に特徴があります。
良品計画の人事部から始めた全社の「生成AI活用プロジェクト」――経営課題から逆算した変革モデル実現のための「全社の巻き込み」と「社員の自律」はいかにして生まれたのか

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