株式会社OurStoryは2026年6月29日、「キャリアと転職活動の実態調査」の年収別分析結果を公表した。調査期間は2026年4月17~18日で、全国の23~49歳の正社員のうち、過去3年以内に転職活動を経験した500人を対象にインターネットで実施したもの。個人年収を「800万円以上」「600万~800万円未満」「600万円未満」の3区分に分け、生成AIの活用状況や転職サービスへの評価などを比較している。生成AIの普及は、働く人のキャリア形成や転職行動にも影響を及ぼし始めているようだ。

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生成AIの活用目的は「求人探し」より「キャリアの壁打ち」に。年収800万円以上の58.6%が自己分析に活用

年収800万円以上の転職者の約6割が「キャリアの悩みや自己分析」を生成AIで整理

株式会社OurStoryが発表した「キャリアと転職活動の実態調査」によると、キャリアや転職に関する目的で生成AIを利用したことで「キャリアの悩みや自己分析について考えを整理できた」と回答した割合は、年収800万円以上で58.6%、600万〜800万円未満で44.9%、600万円未満で24.3%だった。年収が高い層ほど回答割合が高い傾向がみられ、800万円以上と600万円未満では約2.4倍の差となった。

総務省「令和8年版情報通信白書」でも、日本における生成AIの利用経験率は2024年度の26.7%から2025年度は58.8%へと倍増しており、個人利用の急拡大という大きな潮流の中で、転職候補者の自己理解のあり方そのものが変化し始めていることがうかがえる。
生成AIの活用目的は「求人探し」より「キャリアの壁打ち」に。年収800万円以上の58.6%が自己分析に活用

「具体的な求人が見つかった」は、年収800万円以上でも2割

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一方、生成AIを利用して「自分にマッチする具体的な求人が見つかった」とした割合は、年収800万円以上で18.2%、600万〜800万円未満で8.9%、600万円未満で7%にとどまった。年収800万円以上では、キャリアの悩みや自己分析の整理に役立ったとする割合が約6割に上るのに対し、具体的な求人との出会いにつながったとする割合は2割未満だった。

現時点では、生成AIは求人探索そのものよりも、自身の経験や強み、今後の方向性を言語化する「壁打ち相手」として活用されている様子がうかがえる。企業側の生成AI活用も似た段階にあり、情報通信白書によると日本企業の生成AI利用率は86.4%に達したものの、活用が最も進んでいるのは「議事録・メール作成補助」と、採用・人材配置など経営の中核領域での活用はまだ発展途上のようだ。求職者・企業ともに、生成AIが「考えを整理する道具」から「意思決定を支える道具」へ進化する過程にあると考えられる。
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転職者は「経歴を読まずに送られたと感じるスカウト」を多くが経験

既存の転職サービスに対する不満も、年収が高い層ほど大きい傾向がみられた。直近の転職活動で「明らかに経歴を読まずに送られたと感じるスカウトが来た」と回答した割合は、年収800万円以上で54.5%だったのに対し、600万円未満では39.5%だった。経験やスキルが豊富な層ほど、画一的なスカウトに対して「自分を理解されていない」と感じやすい傾向がありそうだ。

生成AIで自己分析を深めた候補者ほど、自身の強みや志向を明確に言語化できている分、テンプレート的なアプローチとの落差に敏感になっているとも考えられる。
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面接に進んでからも「思っていたのと違う」というギャップを感じている

応募・面接に進んだ後に「業務内容やポジションが、求人情報から想像していたものと違った」とした割合は、年収800万円以上で53.5%。600万円未満の29.2%と比べ、約1.8倍となった。求人票の記載だけでなく、面接の場でのやり取りを通じても、ハイクラス層ほど期待値のズレを感じ取っている実態がうかがえる。

役割や裁量、期待される成果が転職の決め手になりやすいハイクラス採用では、募集要項の文言だけでなく、面接官が語る仕事の実態や評価基準の説明が、候補者体験を大きく左右する要素になりそうだ。生成AIで自己分析を重ねた候補者ほど「自分に何を期待されているか」への感度が高まっている分、面接時の説明の粒度が入社後の納得感にも直結しやすいと考えられる。
生成AIの活用目的は「求人探し」より「キャリアの壁打ち」に。年収800万円以上の58.6%が自己分析に活用
今回の調査では、年収が高い層ほど、生成AIをキャリアの悩みや自己分析の整理に活用している傾向が示された。その一方で、具体的な求人探索への活用は限定的で、ハイクラス層ほどスカウトの質や、面接を通じて感じる求人情報とのギャップに不満を抱く傾向もみられる。企業側には、候補者一人ひとりの経験を踏まえた採用コミュニケーションに加え、面接の場で役割や裁量、期待成果をより具体的に伝える工夫が求められそうだ。

出典:キャリアのAI活用、年収で2.4倍の差 ~ 800万円以上58.6%・600万円未満24.3%~|PR TIMES
参考:令和8年版情報通信白書(概要)|総務省

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