今回は、島津製作所人事部の谷川直之氏、辻本真祐氏、マーサージャパンの増渕匡平氏、四野宮祥子氏の対談を通じて、『総報酬サーベイ』導入の背景や導入後に浮かび上がった新たな課題、その解決へとつながるサーベイの活用についてお伝えする。(以下敬称略)
【対談者プロフィール】

■谷川 直之氏
新卒で株式会社島津製作所に入社し、人事部に配属。人事制度の企画や労働組合の対応をはじめ、人事異動や評価の運用などさまざまな人事業務を経験。2018年に韓国のグループ会社に出向し、新会社の人事制度の整備に携わる。2021年に本社に戻り、現在は島津グループ全体の人事制度や人財戦略の担当として活躍している。
株式会社島津製作所
人事部 人財戦略企画室 室長

■辻本 真祐氏
新卒で不動産会社に入社し、営業としてキャリアをスタート。その後、人事にキャリアチェンジ。2社目の半導体メーカーでは10年、3社目の化学メーカーでは5年人事を経験。2023年の9月、株式会社島津製作所に中途入社。人財戦略企画室 戦略企画グループ長として島津製作所の人事制度企画・運用、労働組合の対応を主に担当している。
株式会社島津製作所
人事部 人財戦略企画室 グループ長

■増渕 匡平氏
日系証券会社の営業部門および人事部門を経て、2010年にマーサージャパン入社。総報酬サーベイに関する、既存顧客の運用支援や新規顧客の導入支援に従事。2021年にプロダクト・ソリューションズ部門の責任者に就任。日本で3,500社を超える同部門のクライアントに対して、組織人事領域における典型的なイシューを特定し、標準化されたソリューション(プロダクト)を通じて支援している。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ部門 代表

■四野宮 祥子氏
新卒で日系通信会社に入社し、法人営業やパートナー営業を経験。その後、中小企業向けの ICT ソリューションに関するカスタマーサクセス業務に従事。2023年10月、マーサージャパン株式会社に入社。総報酬サーベイをはじめとした、クライアントのデータ活用を支援している。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ部門 マネージャー

データの参照で自社の現状や立ち位置が見えてくる
増渕 われわれマーサーが提供する『総報酬サーベイ』は、島津製作所様をはじめ現在、日本では約1,600企業・組織にご参加いただき、マーケットの実態把握や報酬制度の設計など、多様な場面で「根拠ある意思決定」を支えています。島津製作所様では、どのような目的で『総報酬サーベイ』を利用されているのか、解決したかった課題や活用シーンについて、まずはお聞かせください。
谷川 定年延長への対応、つまりそれまでの年功的な報酬体系を見直す必要に迫られたことが一番のきっかけです。定年延長は社会的な課題として注目され、従業員の人生設計にも関わる大きな取り組みです。ただ定年間近のベテラン社員ばかり意識した仕組みでは、若手社員たちが「自分たちの活躍の場が狭められるのではないか」という懸念を抱く可能性もあります。若手社員もしっかりとキャリアプランを描けるような制度・体系を構築しなければなりません。

ふだん接点のない業界・企業の報酬情報を得られる『総報酬サーベイ』は大きな判断材料となります。『総報酬サーベイ』は、比較対象とする企業群をピアグループとして設定でき、等級ごとの報酬レンジも参照可能なため、自社の立ち位置や水準を明確に把握できることに大きな価値を感じています。制度設計や経営への提案などにも活用しています。
四野宮 客観的かつカスタマイズ可能な報酬データを、何度でも抽出・比較・検証し、意思決定へとつながる議論に役立てていただく。こうした多様な活用ができる点も、『総報酬サーベイ』の価値のひとつだと考えています。
また島津製作所様にとって喫緊の課題だった定年延長に関していえば、『総報酬サーベイ』では1歳刻みから年齢別のデータを参照できますし、再雇用者の報酬を抽出することも可能です。職種も細かく設定できるため、高度な専門技術を持っていらっしゃるベテラン社員だけを見ることもできます。そうした仕様も、お役立ていただけたのではないでしょうか。
谷川 「定年の前後で仕事自体は変わっていないのに報酬だけは大きく見直しされている」など、アンバランスな部分が客観的に見えてきました。
辻本 もともと弊社における再雇用の報酬水準はそれほど高くなかったため、総報酬サーベイも参考にしながら引き上げを行いました。今後は職務レベルに応じたより納得感のある報酬設定を取り入れるなど、雇用情勢に合わせた制度を検討していくことになりそうです。
課題解決への道筋を開く『総報酬サーベイ』の活用
増渕 比較対象となるピアグループは、どのようなポリシーで設定されたのでしょうか。関西・京都という地域性についての考えもお聞かせください。谷川 採用で競合となる企業のほか、労働組合が重視する同業界などを中心に設定しています。新卒は全国からの採用となりますが、キャリア採用の場合は関西エリア内での転職というケースも多いので、地域性も確かに意識している点ではあります。
四野宮 『総報酬サーベイ』では地域ごとの報酬水準をご覧いただけますし、職種・役割・等級をかなり細かく設定してデータを出すことが可能です。島津製作所様における職種・役割・等級との整合性を意識してデータ抽出すること、つまり、島津製作所様の制度と同じ物差しで市場を見られるようにすることが重要ですので、サポート時はその点をご理解いただけるよう詳細にご説明させていただきました。
辻本 弊社と『総報酬サーベイ』内の等級レンジの比較や基準合わせについて、細かくアドバイスしていただけたことは、本当にありがたいと思いました。

辻本 基本的には同規模もしくは2倍程度までの事業規模+日系のメーカーという視点で絞りこめば、それほど大きく外れてはいないと思います。ただ弊社は事業部門が多彩なので、ひとくちに“競合”といってもどこを重視するかは悩みどころですし、業界によって報酬水準が大きく異なることもあります。比較・検証を進めるにあたって、ピアグループの入れ替え・切り替えが、もう少しフレキシブルにできればさらに助かります。
四野宮 ピアグループの設定では、データの機密保持の観点から、特定企業の報酬レンジを類推できないよう、複数社以上の入れ替え制約を設けています。もし作成にお悩みがある場合は、グループを組む前に比較目的やご活用の背景を事前にご共有いただければ、どんな企業で何社ほどのグループを組むべきかといった方針をご案内させていただきます。
またピアグループ設定のコツや、効率化できるツールの機能についてもアドバイスいたします。さらにデータのアウトプットについては、簡単にグラフ化できるツールもご準備しておりますので、データ抽出の前準備から後工程まで、しっかりサポートさせていただきます。
増渕 採用したい人材が属している人材市場をどこに設定するかは、報酬戦略の出発点になります。ピアグループの設定は、報酬水準を単に比較する作業ではなく、どのような企業群・どの業界の人材と競争する前提で報酬を設計するのかを定める、戦略的な工程だと考えています。
多くの日本企業・組織の皆様が『総報酬サーベイ』に参加してくださり、弊社側でもユーザーインターフェースの日本語化プロジェクトが進み、データ入力時や抽出・確認の操作が日本語で行えるようになりました。データそのものだけでなく、”使いやすさ”の面でも継続的に改善を図っています。

四野宮 リアクションの速さ・正しさは常に心がけているところですが、お問い合わせに対応するだけでは不十分と考えております。お客様が気になると思われるポイントを先取りしてご支援させていただくことが、われわれカスタマーサクセスの存在意義でもあります。
協力:マーサージャパン株式会社
この後、下記のトピックが続きます。
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●イノベーションをリードする人材確保に向けて
~島津製作所が注目する職種とは?~
●数多くの企業が悩む報酬の構成バランス
●島津製作所が目指す、専門人材の育成と採用ビジョン
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