このような時期に27卒学生の就活動向の全体感を把握するため、HR総研と「就活会議」(就活会議株式会社)では、27卒学生を対象に2026年6月時点の「就職活動」や「就職への意識」に関するアンケートを実施した。本レポートでは、主に「就職活動」に関する調査結果について報告する。
応募先企業の重視ポイントは「安定性」が5割に上昇、「休日・残業」はやや後退
まず、「応募先企業を探す際に重視するポイント」について、26卒学生の結果と比較しながら見てみる。
27卒学生でも前回同様「給与・待遇」が55%で最多となっているが、注目すべきは2位以下の顔ぶれの変化である。「安定性」は26卒の38%から50%へと12ポイント上昇して2位に浮上したほか、「教育制度・キャリアアップ」(26卒14%→27卒25%、以下同じ)や「社会貢献内容」(12%→24%)も10ポイント以上増加している。一方で、「休日・休暇・残業」(40%→25%)は15ポイントの下落となり、「勤務時間・フレックスへの対応」(26%→16%)、「転勤の有無・範囲」(27%→19%)など、働き方に関わる条件面の項目が軒並み下落した。初任給の引き上げや働き方改革への取り組みが企業の間で広がり、休日や残業などの労働条件は、企業を選別する「差がつくポイント」から「満たされていて当然の前提条件」へと変わりつつあるのだろう。代わって、企業の安定性や育成環境、事業の社会的意義といった、長く働き続けるための基盤への関心が高まっており、先行きの見通しづらいAI時代を前にした学生の安定志向を反映しているとも考えられる(図表1-1)。
【図表1-1】応募先企業を探す際に重視するポイント

大学区分別に見てみると、「給与・待遇」は大学区分に関係なく5割前後~6割程度と高い割合になっている。一方で違いが表れている項目もあり、27卒学生全体で大きく上昇した「安定性」は、「早慶大クラス」では38%にとどまるのに対して、「中堅私立大」では60%、「その他国公立大」「その他私立大」でもともに56%に上っており、安定志向の高まりを牽引しているのはこれらの大学区分の学生であることがうかがえる。「休日・休暇・残業」も「旧帝大クラス」で19%、「早慶大クラス」で14%に対して「その他国公立大」では38%、「その他私立大」では36%と、いずれも上位クラス以外の大学の方が顕著に高くなっている(図表1-2)。
【図表1-2】大学区分別 応募先企業を探す際に重視するポイント

最も活用した就活サイト、「就活会議」が文系で2位に浮上
次に、就職活動期間全体を通して「最も活用した就活サイトTOP10」について見てみる。
文系では「マイナビ」がトップで34%、次いで「就活会議」が23%、「ワンキャリア」が20%となっている。理系でも「マイナビ」がトップで29%、次いで「ワンキャリア」25%、「就活会議」23%と、上位3サイトが僅差で並んでいる。昨年の26卒調査では「就活会議」は文系15%、理系17%でいずれも3位だったが、27卒学生では文理ともに23%へと得票率を伸ばし、文系では2位に浮上した。また、26卒調査の理系では「ワンキャリア」が「マイナビ」を上回っていたが、27卒学生では再び「マイナビ」がトップとなっている。このような例年上位に挙がるサイトは、いずれも学生にとって甲乙つけがたい状態にあることがうかがえる(図表2-1)。
【図表2-1】文理別 最も活用した就活サイトTOP10

さらに、上位3サイトについて大学区分別の得票率を見てみると、サイトごとの特徴が分かる。「就活会議」は「上位私立大」30%、「上位国公立大」28%をはじめ、いずれの大学区分でも13~30%の得票率となっており、大学区分による偏りが小さく、まんべんなく多様な学生に活用される就活口コミサイトとなっているようだ。一方、「マイナビ」は「その他私立大」59%、「その他国公立大」52%と半数を超えるのに対して「早慶大クラス」では6%にとどまり、「ワンキャリア」は「早慶大クラス」40%、「旧帝大クラス」32%と上位クラスで高い一方、「中堅私立大」「その他私立大」ではともに5%と、対照的な構図となっている。ターゲット層とする学生に情報を届けるためには、こうした大学区分による就活サイトの使い分けを押さえておく必要があるだろう(図表2-2)。
【図表2-2】最も活用した就活サイトTOP3 大学区分別得票率ランキング

就職活動中に第一志望となるきっかけは「インターンシップ」が最多
現在の第一志望(群)の企業を「いつ」「何をきっかけに」意識するようになったのかについて見てみる。
「第一志望(群)を意識した時期」について見てみると、文系・理系ともに「2025年10月」(ともに10%)と「2025年12月」(ともに11%)が相対的に高いものの、突出した月はなく、秋から「2026年3月」にかけて薄く分散している。多くの学生が選考対策を始めるのは学部3年(修士1年)の春頃(後述・図表6-1)だが、第一志望が固まるのはその半年後の秋以降であり、就職活動の早い段階で出会った企業がそのまま第一志望になるとは限らず、夏期インターンシップなどを経た秋の選び直しを通過して初めて第一志望に浮上するというプロセスもあるのだろう。文理別では、理系が「2025年6月」「2025年9月」が各7%と夏から秋にかけて早めに固まっていくのに対して、文系では「2026年3月」にも11%の山があり、選考が進む中で第一志望が入れ替わる余地は文系で特に大きいことがうかがえる(図表3-1)。早期に接点を持つことだけでなく、接点を持った学生の中で秋の選び直しに勝ち残り、第一志望の座を獲得・維持することが重要であるといえる。
【図表3-1】文理別 第一志望(群)を意識した時期

「第一志望(群)として意識したきっかけ」については、「就職活動を始める前から企業名・商品等を知っていた」が30%で最多となっているが、就職活動における接点としては「インターンシップ・仕事体験」が最多で26%、次いで「会社説明会・セミナー」が20%、「企業の採用ホームページ」が14%、「面接・面談を通じて志望度が上がった」が12%等となっている。ターゲット層の学生の第一志望群に入るためには、インターンシップをはじめとする学部3年の年内までの接点づくりが不可欠になっているといえるだろう(図表3-2)。
【図表3-2】第一志望(群)として意識したきっかけ

知らなかった企業との出会いは「就職ナビ」が半数、納得できる情報開示が重要
一方で、就職活動を始める前は知らなかった企業と学生の出会いは、どのように生まれているのだろうか。
就職活動を通じて初めて知った企業に応募した経験のある学生にそのきっかけを聞いたところ、文系・理系ともに「就職ナビ・就活サイト」(文系50%、理系48%)が半数を占めて最多となっている。2番目以降には文理の違いが表れており、文系では「逆求人サイト経由での企業からのオファー」が22%と2番目に多く、5人に1人以上がオファーをきっかけに未知の企業へ応募した経験を持つ一方、理系では12%にとどまり、「会社説明会・セミナー」(18%)や「企業の採用ホームページ」「友人・知人・家族からの紹介」(各17%)が上位に並んでいる。知名度が高くない企業であっても、就職ナビへの掲載や、特に文系では逆求人サイトでのオファーを通じて、学生との出会いの機会は生まれていることが分かる(図表4-1)。
【図表4-1】文理別 就職活動を始める前は知らなかった企業を知ったきっかけ

では、知名度が高くない企業が志望企業として選ばれるためには、何が必要なのだろうか。文系・理系ともに「給与・待遇が納得できる」が最多(文系57%、理系62%)で、次いで「仕事内容が魅力的である」(同56%、59%)となっている。3番目以下では、文系は「企業の安定性や将来性について納得できる情報がある」(40%)が「福利厚生が充実している」(39%)を上回るのに対して、理系では「福利厚生が充実している」(42%)が上位に来るという違いはあるものの、上位の項目はいずれも、特別な魅力というよりも「納得できる情報」の開示を求めるものである。給与水準や仕事内容、業績や将来性に関する具体的な情報をどれだけ開示し、学生の不安を解消できるかが、志望企業の候補に入るための勝負どころとなるといえるだろう(図表4-2)。
【図表4-2】文理別 知名度が高くない企業が志望企業となる条件

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研×就活会議】2027卒学生の就職活動状況に関するアンケート(6月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、就活会議(就活会議株式会社)
調査期間:2026年6月2~12日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 2027年卒業予定の「就活会議」会員学生
有効回答:346件
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