2027年卒採用(27卒採用、以下同じ)では、初任給の引き上げやAIを活用した採用、専門性を重視した採用など、採用活動の多様化がさらに進んでいる。また、学生側においても、働き方や成長機会、企業との価値観の一致を重視する傾向が高まっており、企業にはより柔軟な採用対応が求められている。このような環境変化の中で、多くの企業が試行錯誤を重ねながら27卒採用に取り組んでいるのではないだろうか。
HR総研では、毎年の定点観測として、27卒採用の振り返りと、2028年新卒採用(28卒採用、以下同じ)の予定について動向調査を実施した。その調査結果について以下に報告する。

27卒採用、大企業では「文系は減らし、理系は増やす」傾向

まず、2027年4月入社の大卒(大学院含む)の採用計画数から見てみる。
文系については、従業員規模1,001名以上の大企業と301~1,000名の中堅企業で「前年並み」が過半数を占め、それぞれ53%、50%となり、300名以下の中小企業では「前年並み」が39%と4割程度となっている。「増やす」と「減らす」の割合に注目すると、「増やす」についてはいずれの企業規模でも1割を超える程度で顕著な違いは見られないが、「減らす」の割合は中小企業で5%、中堅企業で11%、大企業で14%となっており、企業規模が大きいほど高い傾向が見られている。また、大企業では「減らす」が「増やす」の割合を2ポイント上回っている(図表1-1)。

【図表1-1】2027年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数 文系

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

理系の採用計画数は、いずれの企業規模でも「前年並み」が4割前後で最多となっており、「増やす」が「減らす」より高い割合となっている。大企業では「増やす」が34%と3割を超える一方、「減らす」は僅か3%にとどまり、その差は31ポイントにも上っている。中堅・中小企業でも同様の傾向で、「増やす」が「減らす」より顕著に高い割合となっている(図表1-2)。
27卒採用の採用計数は、特に大企業の傾向として、「文系は減らし、理系は増やす」という動きが特徴として捉えられる。

【図表1-2】2027年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数 理系

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

2026年6月時点における内定者充足率の状況を見てみると、大企業では、「既に80%以上を確保している」(「120%以上」~「80~100%未満」の合計、以下同じ)とする企業が43%と4割以上で、「60%以上確保している」(「既に80%以上を確保している」と「60~80%未満」の合計)とする企業まで含めると70%に上る。とはいえ、採用の早期化が進む大企業であっても現時点では27卒採用の真っ最中にある企業が多数派であることもうかがえる。また、中堅企業では「既に80%以上を確保している」の割合は18%と2割未満にとどまり、大企業以上に苦戦している。さらに、中小企業では「100%以上」(「120%以上」~「100~120%未満」の合計)が22%で最も多い一方、「20%未満」(「1~20%未満」~「まだ内定を出していない」の合計)が42%と4割を超え、二極化が見られている(図表1-3)。

【図表1-3】2027年4月入社の採用計画に対する現時点での内定者充足率

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

AI活用をふまえたターゲット層の見直し、「人間ならではの能力・資質」への重視度が向上

次に、27卒採用で「増やす」または「減らす」とする企業について、その要因として、AI活用による特定業務・部門での必要な人材の増強・削減が含まれているかを確認してみる。
大企業においては72%と7割以上が「AI活用による増強・削減がある」としており、AIの進展・普及を意識した人材配置の検討が進んでいることがうかがえる。一方、中堅・中小企業では「AI活用による増強・削減がある」の割合はそれぞれ23%、11%としており、大企業とは異なりAI活用を意識した人材配置をする企業は少数派となっている。業務におけるAI活用の進捗度合いが、企業規模によって大きく異なることが推測される(図表2-1)。

【図表2-1】27卒採用で、AI活用による特定業務・部門での必要な人材の増強・削減の有無

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

そこで、新卒採用におけるターゲット層についてAI活用をふまえた見直し状況を確認してみると、大企業では「2026年新卒採用以前に見直した」が21%、「2027年新卒採用で見直した」が23%となり、これらを合計した「既に見直した」(以下同じ)の割合は44%と4割以上に上っている。また、「2028年新卒採用以降で見直す予定」の26%まで合わせると、新卒採用ターゲット層の見直しに前向きな意向を持つ大企業は70%にも上っている。一方、中堅・中小企業では「既に見直した」とする割合はそれぞれ18%、22%と2割程度にとどまっている。ただし、中堅企業では「2028年新卒採用以降で見直す予定」が26%で、新卒採用ターゲット層の見直しに前向きな意向を持つ割合は45%と半数近くに上っている(図表2-2)。
これらの結果から、大企業を中心にAI活用をふまえた新卒採用ターゲット層の見直しを進める傾向にあることがうかがえる。

【図表2-2】AI活用をふまえた新卒採用ターゲット層の見直しの状況

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

それでは、今後より重視したい採用ターゲット層にはどのような特徴があるのだろうか。
大企業で最も高い割合となっているのは「変化適応力の高い人材」で44%と4割以上、次いで「自律的に学び続けられる人材」が34%などとなっている。これらの共通点として、柔軟性高くしなやかに成長できる人材を求めていることがうかがえる。中堅・中小企業で最多となっているのは「自律的に学び続けられる人材」で、それぞれ58%、51%と過半数に上る。その他、中小企業では「良好な人間関係構築力の高い人材」が2番目に高く、44%と4割を超えている(図表2-3)。

【図表2-3】AIの急速な進展・普及をふまえて、より重視したい採用ターゲット層

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

AI時代における採用ターゲット層を見直し、人材に対して柔軟性や良好な人間関係構築力などを求める企業が多くなる中、企業は新卒採用において「人間ならではの能力・資質」をどの程度重視していくのだろうか。
大企業では「人間ならではの能力・資質」の重要性が「ある程度高まる」が最多で46%と半数近く、「非常に高まる」の20%と合わせると66%と7割近くが「重要性が高まる」(以下同じ)としている。大企業では特に、AIの活用を進める企業が多い反面、だからこそ、人間ならではの能力・資質の重要性も感じている傾向がうかがえる。この「重要性が高まる」とする割合について、中堅・中小企業ではそれぞれ49%、56%で、半数程度以上となっている。大企業よりやや低い割合であるものの、いずれの企業規模でも「下がる」(「ある程度下がる」と「非常に下がる」の合計)の割合は1割未満となっている(図表2-4)。
このように、AI時代だからこそ必要な「人間ならではの能力・資質」に重きを置いて新卒採用をしていく意向がうかがえる。

【図表2-4】AIの急速な進展・普及をふまえて、新卒採用における「人間ならではの能力・資質」の重視度の変化

HR総研:2027年&2028年新卒採用動向調査(6月) 結果レポート

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】2027年&2028年新卒採用動向調査(6月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2026年6月1~9日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2027年卒採用活動を実施している/実施した企業の採用責任者・担当者
有効回答:277件

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