
「自転車の青切符制度」の概要
「青切符」とは、比較的軽微な交通違反をした際に交付される「交通反則告知書」のことです。この用紙が青色であることから「青切符」という通称で呼ばれます。通常、交通違反をすると「赤切符」等の制度により刑事手続きが行われますが、青切符を受け取った違反者は、反則金を納付することで刑事処分を免れることができます。反則金を納付しない場合、道路交通法違反事件として刑事手続きに移行されるため注意が必要です。
なお、自転車の青切符制度の対象年齢は16歳以上です。
また、運転免許を有している者が自転車で交通違反を犯した場合であっても、運転免許の点数には影響しません。ただし、酒気帯び運転をはじめ特に悪質・危険な違反を犯した場合には、運転免許の効力が停止されることがあります。
なお、従来の「赤切符」等の制度がなくなるわけではなく、悪質性・危険性の高い重大な違反はこれまで通り刑事手続により処理されます。
通勤途中の違反は「個人の問題」では済まないことも
反則金は個人が負担するものですから、自転車通勤を認める場合でも、直接企業側に責任が生じるわけではありません。しかし、企業の管理責任がより厳しく問われる契機となり得ます。例えば、通勤中の事故で従業員が加害者となった場合、企業が自転車通勤を認めていたり、その自転車を業務に関連する移動(業務上必要な買い物や金融機関への移動など)にも利用していたりすれば、使用者責任(民法715条)を問われる可能性も否定できません。
さらに、取り締まりの事実が報道された場合、あるいは、SNS等によりその事実が拡散された場合、企業の社会的信頼が低下するリスクもあります。
また、原則、自転車の交通違反が自動車の運転免許の点数に影響することはありませんが、酒気帯び運転をはじめとする特に悪質・危険な違反を犯した場合には、自動車の運転免許の効力が停止されることがあります。業務外の自転車の交通違反により、業務中の自動車利用ができなくなる従業員が出るおそれもあります。
企業として押さえておきたい実務対応
●安全教育の実施
青切符対象の違反行為は100種類以上あります。「知らなかった」では済まされないため、自転車の交通ルールを正しく理解することが大切です。特に多い違反行為の一例を挙げておきます。
企業としても改めて、青切符制度の概要や特に注意すべき違反、自転車の基本ルール等を周知しておくと良いでしょう。
●自転車通勤ルールの見直し
自転車通勤のルールが曖昧になっている企業は多いのではないでしょうか。特に、自宅から最寄駅まで自転車を利用しているケースはあまり把握できていない印象です。青切符制度導入は、自転車通勤のルールを新たに策定、あるいは見直しをする良い機会です。
例えば、青切符を何度ももらっているような従業員にも自転車通勤を認め続けると、前述の通り、事故等発生時の使用者責任の話にも繋がりかねません。違反があったときに報告をさせるか否かを含め、社内ルールを検討しましょう。
国土交通省のホームページには、自転車通勤規程の雛形をはじめ、申請書兼誓約書の雛形も掲載されています。何から決めて良いかわからない企業では、まずはこの規程の雛形を参考にすると進めやすいです。
●自転車通勤と通勤災害の関係
青切符制度からは少し離れますが、通勤災害にも触れておきます。通勤途中で自転車事故が発生した場合、労災保険上の「通勤災害」の給付対象になり得ます。通勤災害の対象は「住居と就業場所間の往復であり、合理的な経路および方法であること」です。企業が自転車通勤を認めていたかは関係ありません。就業規則で自転車通勤を禁止していても、あるいは、自転車通勤は申請必須なのに未申請だったとしても、通勤災害として認定される可能性があります。
自転車通勤では行動の自由度が高いので、途中で寄り道をしたり、運動のために遠回りをした場合など、合理的な経路から外れた結果として通勤災害が認められないケースも発生します。
企業としても通勤災害の要件をおさらいするとともに、青切符制度関連の情報周知とあわせて通勤災害についても社内周知をしても良いかもしれません。
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いかがでしたか。青切符制度の開始は、これまで曖昧にされてきた自転車通勤のルールを整備する好機でもあります。まずは青切符制度の概要を確認し、必要に応じて社内ルールを検討してもらえればと思います。
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