今年、新卒の一期生を迎えることになったのですが、最初の数年でどのような社会人としての土台を作り上げていくかについては頭を悩ませています。弊社の役務を品質高く全うできるようになることを目指してもらうのは当然ですが、生成AIによって仕事の当たり前がアップデートされていく最中でもあるため、重要度を引き上げるポイント、下げるポイントの選択が難しいと感じています。いたちごっこにはなりますが、今は日々の技術革新をしっかりキャッチアップして、業務への活かしどころや人材開発への反映を思考し続けるしかないと感じています。
外部環境の変化予測をもとに、現状の人材戦略からの変化をどのように社員に対して表していくかについては、いま一番悩んでいることです。2035年には人口動態の変化、技術の変化、個人の価値観の変化によって、就業者がより個人事業主に近い存在となり、そのような環境下で社員個人に成長をどう促し、会社としての競争力を高めていくか。
今後、多くの社員に、グローバル環境での共創や競争を実現するマネジメント力やコミュニケーション力、多様性への理解・対応力のほか、デジタルのリテラシーや活用力というのが求められてくると思います。その実現に向けて、自分事化してもらうために、どのような建付けで社員に表現して、人材戦略に落とし込んでいくか。バックキャストから考える難しさを感じています。
生成AIの台頭が組織や事業に大きなパラダイムシフトをもたらしていくことは明らかなので、そこに対応していくことが今1番の課題だと捉えています。
採用においても、求めるスキルセットが変わりつつあるため、人材要件や採用基準の見直しが必要ですし、評価制度もAI時代に側したものにアップデートしなければいけないと考えています。
人事チームの人員不足が目下の悩みで、採用強化に取り組んでいます。今いるメンバーの能力や働きは素晴らしいものがあるのですが、事業のパートナーとして、社員のパートナーとしてより良い人事を実践していくためには、リソースの不足が否めません。早期に解決したい課題です。
三井住友信託銀行を分解すると、多種多様な事業で構成されていますが、それを横串でつなげて付加価値を出すところに当社の競争力の源泉があるわけです。そう考えた時に、「多様性」が1つのポイントになると思っています。
今後、キャリア自律を推進していけば、専門性を突きつめたいというモノキャリア志向も増えていくと想定していますので、事業横断でその専門性を総合力・創造性へ発展させていく多様性を束ねる「掛け算人材」の育成も非常に重要です。そこが一番悩んでいるところですね。
そういう観点では、女性活躍推進も重要です。当社の男女比は半々なのですが、女性管理職比率は最近やっと2割を超えたという状況です。足元では2030年に女性部長・支店長を3割まで引き上げるという目標を掲げており、専務・常務の全員が2人の女性社員を約1年間サポートする取組みを行っています。この取り組みを続けて3年が経過しましたが、1年間で劇的に女性社員の意識が変化するというのを目の当たりにしました。
例えば、マネジメントに挑戦したり、自分のキャリアの幅を進んで広げたりなど、良い取組みに育ってきています。少し時間はかかるかもしれませんが、ライフイベントなどに応じて働く環境の整備とあわせて、キャリア開発の機会をしっかり提供していきたいですね。
私は新卒採用だけでなく、採用広報や技術広報というものも兼務して、色々なことにチャレンジしています。ただ、時間が限られている中で、何を取捨選択して効果を最大化させるか。そこは、いつも悩みながら仕事に取り組んでいます。
経営的な意思決定については日々悩んでいますね。例えば、新卒採用をするべきか、するべきではないか、いつするべきかみたいな極めて全社に大きく影響する経営的な意思決定があります。事業成長やミッション達成が意思決定の1つの判断基準だと思っていて、必要な投資とその投資に対するリターンを明らかにして、投資対効果が見合うから最終的に意思決定をするわけです。例えばマーケティングであればいくらこの施策に投資するとこれぐらいのリードが獲得できるから、これはやるべきだというように。
ただ、人事領域は経営的な意思決定の場において、こういった投資対効果を示しにくいトピックがかなり多く存在します。とは言え、思考停止して直感で意思決定というのはありえません。きちんと投資対効果を人事側で整理して、意思決定の判断材料を提供していくことが重要になってきます。一方で、そのような論理で説明できること「だけ」を重視して、説明がつくことばかりやっていると、大事なものが抜け落ちるリスクもあるのではないかと感じています。
例えば、新卒採用において、新卒にかかるコストがこのぐらいで、育成にかかるコストと期間がこのぐらいで、それに対してあげてくれる売上、プロダクトの進捗を計算した時に、必ずしもそれが中途採用や業務委託などと比較して、投資対効果に優れた採用というのは、言えないケースって結構あると思うんです。
例えば、新卒は会社の文化を作ってくれる存在です。また、中途と比較してキャリアの移行もしやすいゆえに組織の柔軟性とキャリアの柔軟性が噛み合って、変化の大きい環境でも様々なキャリアを実現できる。このように、数値では示せない組織への効果があります。もちろん数字も大事ですが、場合によっては一定の曖昧性の中でも意思を込めて決めるなど、意思決定のバランス感覚については非常に悩んでいます。
組織は拡大期のフェーズにあるなか、当社が求めている人材の総数は多くありません。そういう意味では、採用における質と量のバランスは悩みの1つです。また、組織が急成長していますので、暗黙的に共有できていた価値観やカルチャーが、きちんと言語化しないと伝わらないフェーズに入ってきているので、そこも悩みになってきています。
「ウェルビーイング」や「ダイバーシティ」の推進を進めていると、必ずぶつかるのが組織文化や風土改革の課題です。仕事の線引きをする部署もあります。例えば、若手社員が発案しても上長が「これはうちの仕事ではない」と言うようなケースです。そういう事例が多く、組織文化や風土を変えていかないと、人は育たず、働きがいも高まらないと痛感しました。
手挙げ制度を導入した当初は、部長クラスが優秀な人財を抱え込み、うまく機能していませんでした。そこで、社員が手を挙げて合格した場合、引き止めができないようにしました。加えて部長クラスのマインドを変えるために、自部署を紹介するキャリアデザインガイドブックというものを作り、各部署が目指す姿、仕事のやりがい、業務内容、期待する人物像、習得できる知識・スキル等を自由な形式で部長に作成してもらい見える化を行いました。
目的は2つ。1つは部長が目指す姿を有言実行してもらうこと。もう1つは、社員が手を挙げる際、各部署がどんな仕事をしていて、どんな役割を担っているか、そこで働く人がどんな思いで仕事をしているのかわからないという声があり、その声に応えることでした。
最初は箇条書きの味気ない内容の部署が多かったのですが、今では写真や動画を入れる部署も出てきて進化を遂げています。そういう意味では、部長など管理職が人事施策を進めるうえでキーパーソンだなと感じています。昔と仕事やキャリアに対する考え方が変化していっていますから、悪しき文化や風土をどう変えていくか悩ましいですね。
多くの企業も悩まれていると思いますが、「女性管理職比率」です。2025年の12月までに女性管理職比率を25%に上げようと数年前から取り組みを始めました。女性管理職を育成するための選抜型のリーダーシップ研修をつくり、試行錯誤しながら今年はいよいよ20%台のところまで来ています。ただ、進めていくと人材の枯渇や組織の歪みというのが課題として出てくるんです。
社員からも「女性ばかり昇格させすぎではないか」「能力がきちんと伴っている女性を本当に昇格させているのか」といった声も寄せられるようになりました。そういう意味では、女性活躍の取り組みに関して、総論賛成、各論反対など、社内はまだまだ一枚岩の状態ではありませんが、多様性の確保はイノベーションにつながる重要な経営課題です。量を確保しつつ質も担保しないといけないので、悩みは尽きません。