ヤマハ株式会社は、ピアノをはじめとする楽器事業、音響機器事業等の領域でグローバル展開をするリーディングカンパニー。グループ会社と海外拠点が広がる中、さまざまな人材が多様な形で世界各地へと赴任している。そうした中で課題となるのが派遣者の給与計算だ。

ヤマハグループの人事、経理、総務、物流、ICTなどのコーポレート業務のシェアードサービス機能を担う株式会社ヤマハコーポレートサービスのHR事業部は人事シェアード部門として、マーサージャパン株式会社が提供する海外給与業務のアウトソーシングサービスを2024年に導入した。ここでは同事業部の桂 幹太郎氏、上田 真輔氏と、マーサージャパンの今野 奈緒子氏による対談を実施。外部委託へと至った背景や、アウトソーシング後の効果などについてお伝えする(以下敬称略)。

【対談者プロフィール】


  • 桂 幹太郎氏

    ■桂 幹太郎氏
    株式会社ヤマハコーポレートサービス
    HR事業部長

    ヤマハ株式会社に入社後、ヤマハ野球部に所属し、11年間プレー。2004年から人事部に移り、株式会社ヤマハコーポレートサービスの人事部門とあわせて約20年人事としてキャリアを積む。現在はHR事業部の責任者として全体を統括。ヤマハ野球部の副部長も兼任している。

  • 上田 真輔氏

    ■上田 真輔氏
    株式会社ヤマハコーポレートサービス
    HR事業部 人材マネジメント部 海外業務グループ マネージャー

    ヤマハ株式会社に入社以来、楽器小売・卸営業をはじめ、海外駐在、商品事業部での業務、海外販売現地法人の経営管理(ガバナンス)など、幅広い業務を経験。現在はヤマハコーポレートサービスにて、海外派遣者の管理・サポートや海外からの出向受け入れ対応など、海外業務グループのとりまとめをしている。

  • 今野 奈緒子氏

    ■今野 奈緒子氏
    マーサージャパン株式会社
    プロダクト・ソリューションズ部門 シニアマネージャー
    海外派遣者の情報管理・給与計算アウトソーシングサービス責任者

    日系大手セメントメーカーの人事部門での国内給与全般の業務を経て、現職。
    マーサージャパンの「海外派遣者の情報管理・給与計算アウトソーシングサービス」事業の立ち上げ当初から携わり、国内給与、海外給与問わず一貫して情報管理、給与計算業務に従事。企業の給与計算に関わるBPOの導入・運用等、数多くを支援。

ヤマハコーポレートサービス桂様・上田様・マーサージャパ今野様

もはや「表計算ソフトを用いた手計算」では対応できなくなっていた

今野 マーサーでは課題解決のための各種プロダクトを開発・提供し、多くの皆様にご利用いただいています。その1つが海外給与業務のアウトソーシングサービス。ヤマハコーポレートサービス様は、2024年にこのサービスを導入してくださいました。

御社のように、グループ企業の間接部門を集約して業務の標準化・効率化を目指す、いわゆる“シェアードカンパニー”が増加し、私どもへの問い合わせも、事業会社ではなくシェアードカンパニーから、というケースが目立つようになっています。まずは“ヤマハ”という世界の誰もが知る企業グループの中で、御社が果たしていらっしゃる役割をご紹介いただけますでしょうか。

 1997年、ヤマハ株式会社人事部の子会社として設立され、グループ内の人材サービスに関する業務を担うことになった株式会社ヤマハビジネスサポートが弊社の前身です。2010年にはヤマハグループのシェアードカンパニーとして人事シェアード業務をスタートさせ、2020年に現在の社名である株式会社ヤマハコーポレートサービスへと改称しました。

その間、経理、総務、物流、情報システムなどのシェアード業務に加えて、ヤマハグループのインハウス機能として、トラベルサポート、保険代理店、メディアプロダクションなども担う、非常に広い領域を受け持つ会社だといえるでしょう。われわれHR事業部だけでも、グループ各社の労務管理、採用、社内教育・研修、健康管理、福利厚生、給与計算、海外派遣者管理……と幅広い業務を担当しています。
ヤマハコーポレートサービス桂様
今野 とりわけヤマハグループでは海外への派遣規模も数百人単位と大きく、海外派遣者の給与計算において多くの課題を抱えていらっしゃったと当時お聞きしておりました。解決すべきとお考えになった課題、マーサーにお声がけくださった経緯について、お聞かせください。

上田 長い歴史の中で、日本から海外へ社員を派遣する際の規定やノウハウは、かなり確立させることができました。とはいえ、時代は変わりつつあります。日本から海外への赴任だけではなく、海外から日本への赴任、海外の二国間での異動も現在ではあります。最近では、「派遣される男性社員に女性の配偶者が同行する」というパターンだけでなく、配偶者自身が仕事を持つケースや、ひとり親家庭、今後は男性同士、女性同士といった多様なケースも出てくると考えられます。そうした多様なケースにどう対応していくのか、その都度、新たな課題に直面しているのが現状です。

15年以上も前に作成した表計算ソフトを用い、さまざまなパターンについて手作業で計算していたため、設定の誤りや入力ミスといったリスクが大きな課題となっていました。

 イレギュラーなパターンに、もはや表計算ソフトによる作業では対応しきれません。ファイルは複雑化しており、計算式や関数を新しく追加した際に思わぬ箇所に影響が出ていないか慎重に確認しながら作業を進める必要がありましたし、そのファイルを最初に設計・作成した人物が異動してしまうと修正も難しくなります。派遣者毎に考慮する条件は多様なため、Aさん用に作成した計算式をうっかりBさんにも当てはめてしまう、ということもありました。

上田 給与計算業務は正確さが求められ、慎重に行わなければなりません。またシェアードカンパニーとして内製業務の効率化は大きなテーマ。社内基幹システムへの移行も検討したのですが、制度の複雑さやイレギュラー性を考えると、それも困難でした。

今野 国内の給与計算に限れば各種パッケージソフトやクラウドサービスがリリースされていますが、海外の給与計算に関しては、為替の変動など不確定要素をはじめ、国内給与計算にはない考慮や特殊な計算が多くあるため、海外派遣者の給与計算を社内で表計算ソフトを用いて対応していくことは確かに難しいでしょう。私どものお客様も、9割以上が一生懸命に表計算ソフトで手計算されています。「こんな複雑なファイルをお作りになり、運用されているとは」と尊敬することもしばしばです。

上田 そうした経緯からアウトソーシングを考えるようになったわけです。

“ゴールへ向けて、どのフェーズにいるのか”がわかる安心感があった

今野 マーサーにお任せいただく決め手は何だったのでしょうか。

上田 もちろん他社のサービスも検討はしました。最大のポイントは、弊社の海外給与制度にマーサーさんが提供している生計費データや生活環境データを利用していた点です。そうしたデータへの信頼感、データと今後の計算オペレーションを一気通貫で進められることなどを考慮すると、マーサーさんにアウトソーシングすることが合理的かつ有効な選択肢だと考えました。
ヤマハコーポレートサービス上田様
 また単純に給与計算業務だけでなく、その後に発生する処理、たとえば派遣者向けの帳票や現地法人向けの書類などをこちらの希望通りの形ですべて作成していただけることも大きな決め手でした。

今野 最初にご相談いただいたのが2020年頃で、その後コロナ禍を挟んで、プロジェクトのスタートが2024年の4月でしたね。秋からの本格稼働を目指して、ヤマハグループにおける海外派遣規定やルールについての情報をご提供いただき、私たちの方で正確に理解し、システムに落とし込んでいくという作業を進めました。

協力:マーサージャパン株式会社


この後、下記のトピックが続きます。
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●アウトソーシングの本格稼働へ向けて、安心感を与える伴走体制
●業務ミスや工数負担の削減にとどまらない、アウトソーシングの付加価値
●単なる業務代行ではない、コンサルティングファームとして支援する意義
●「外部委託しても社内のノウハウはなくならない」その真意とは?

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