就職活動に生成AIを利用しない学生はわずか3%

生成AIの就職活動への利用状況(複数回答)について前回調査と比較して見ると、2027年卒学生においては、全ての項目で前回の2026年卒学生に比べて利用割合が高くなっていることが分かります[図表13]。AIの活用項目としては、「インターンシップ応募のES(エントリーシート)作成・添削」が最多で64%(前回38%)、次いで「自己分析」が61%(同39%)、「企業研究」53%(同33%)および「本応募のESの作成・添削」53%(同36%)となっています。他方、「就職活動に生成AIを使う予定はない」と回答した学生はわずか3%となっており、前回(23%)からさらに大きく減少しています。エントリーシート作成のみならず、自己分析や企業研究といった思考プロセスにおいても生成AIの活用が進んでおり、2027年卒学生にとって生成AIは就職活動における「不可欠なインフラ」として定着していることがうかがえます。
[図表13]生成AIの就職活動での活用状況の2年比較(複数回答)
企業側においては、生成AIによる出力を前提とした選考基準の再構築をはじめ、エントリーシートを廃止し、面接にウエートを移す企業が増加しつつあるなど、生成AIの普及に伴う学生の就活の変化に対応しようとする動きも出始めています。対面での対話を通じて学生の本質を見極めるプロセスの重要性が、これまで以上に高まるものと推察されます。

就職活動で生成AIを利用する際の自身の運用ルールについて尋ねたところ(複数回答)、完全にAIに依存するのではなく、ある程度自律的なルールを持って活用している学生が多いことが分かります。最も多い回答は「生成文は必ず自分で編集・検証してから提出する」で文系70%、理系も71%となっており、次いで「ESの作成等において出力内容を丸ごと使用しない(抜粋・要点のみなど)」が文系62%、理系で63%と、文系・理系ともに同程度となっています[図表14]。学生の多くはAIの出力をうのみにせず、自身の言葉で再構成し、内容の精査を前提として活用している実態がうかがえます。リスク管理の側面については、「大学の研究に関するデータ等、機密データを入力しない」が文系で37%、理系で45%、「出力内容の事実関係や出典を確認する」が文系31%、理系で47%となっています。

一方で、「企業や大学のルールを確認してから使う」は文系26%、理系23%にとどまっており、上位項目を見ても、外部から与えられたルールを一律に遵守するという姿勢の学生は少なく、個人の判断で適切な利用範囲を制御しようとする学生が多い実態がうかがえます。
[図表14]就職活動で生成AIを利用する際の自身の運用ルール(複数回答)
最後に、生成AIの就職活動への利用について、フリーコメントで得られた主な意見を一部抜粋して紹介します。ほとんどは、何らかのルールを守りながら生成AIを利用することに肯定的なコメントですが、中には「私は使わない」との強い意志表示もあります。

・積極的に活用はするが、うまくいかなかった時に後悔したくないので、できるだけ自分の納得できるクオリティまでこだわるようにしている(文系、東北大学)
・最終的に面接があるわけで、ふるい落としや選考結果に違いが生まれるものではない。 今後AIを使わなければならないため、利用することに非があるとは思わない(文系、神戸大学)
・使うことで自分の意見をより伝わりやすくできるのがいいと思うが、何もないところから全部AIに作らせるのは就活ではないとは思う(文系、大阪公立大学)
・自身の考えのブラッシュアップや壁打ちに使用するのは問題ないと思う。生成AIで作った文章をそのまま打ち込んだり、カンペとして覚えたりするのは自分らしさが消えてしまうため、自身、企業双方にとってよくないと感じる(文系、同志社大学)
・自己分析などはとても有意義であると感じる(文系、同志社大学)
・生成AIが出力したものをそのまま用いなければ、ESや面接などにおいて積極的に活用したほうがいい(文系、駒澤大学)
・自己分析、企業や業界の研究、面接練習など、1人では限界がある部分に対してさらに広げたり深めたりしてくれるような活用方法が効果的だと思う。しかし、それをそのままESなどに使わずに、自分の言葉でまとめ直したり、自分の意見をしっかり持ったりすることが必要だと思う(文系、神戸大学)
・「AIの回答は本当に正しいのか」と、しっかり考察するのが大切だと感じた(文系、日本福祉大学)
・生成AIと話していくにつれて自分のことを分かってくれるようになるし、オススメの企業も紹介してくれるので、タメになっている(文系、目白大学)
・良いと思うが、私は使わない。自分で考えて書くのは時間が掛かるが、その分エントリーシートでのガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や自己PR、志望動機の思考プロセスを振り返ることができるからだ。そのため、面接で話すときにすらすらと話すことができる(文系、小樽商科大学)
・生成AIが生成した文章はなんとなく人間味がないので、熱意が伝わらないため、そのままは使わないようにしている(理系、九州大学)
・活用は自由だと思うが、まず自分自身で内容を書いてからブラッシュアップとして使う方法が適切と考える(理系、東北大学)
・使いこなす方法を身につけて効率よく就職活動を進めれば良い(理系、神戸大学大学院)
・やはり、文章生成には長けているため、エントリーシートの添削などには活用するべきだと思う(理系、京都大学)
・丸投げや個人情報の入力は良くないが、うまく使う分には問題ないと考える(理系、香川大学)
・非常に便利なツールであることは間違いないが、自分が書ける文章のレベルとあまりにも乖離していることもある。必ず書き直しをしている(理系、埼玉大学大学院)
・自分にはない語彙(ごい)を使って文を作ってくれる点が優秀だと感じている(理系、東京家政大学)
・自分らしさにあふれる文章にするためには、そのまま用いるのは不適切だと考えており、あくまで文章の骨格の提案や添削にのみ用いるのが良いと考えている(理系、東京大学大学院)
・伝えたい内容があっても文字数オーバーとなってしまった際に、内容が伝わるような言い換えで字数を削減したり、含みたい内容を箇条書きにし、それをうまく文としてつなげたりして、客観的に分かりやすい表現になるように使用するには優れていると感じた。機密情報などを含めてしまうと学習に使われるリスクがあるため、そこに関して細心の注意を払う必要がある(理系、横浜国立大学大学院)
・さまざまな場面で活用することは就職活動を有利に進める点においては有効だと思うが、選考の本質的な部分としてはAIの使用は禁止するべきだと思う。特にESや能力検査などは、その学生自身の力を用いて行うことが入社後のミスマッチを防げると思う(理系、東京都市大学)

次回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2027年卒業予定の同サイト会員学生を対象に、2026年3月に実施した「2027年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の結果を紹介します。

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