【ゲスト】

矢澤 美香子氏
武蔵野大学 キャリア部長/キャリアセンター長 人間科学部/人間社会研究科 教授
産業・組織心理学、臨床心理学を専門とし、主な研究テーマは産業メンタルヘルスやキャリア開発。医療機関での心理支援や企業での相談業務、研修、キャリア形成に携わった経験を背景に、人がよりよく働き、生きるための支援のあり方を心理学の視点から探究。現在は大学で学生の進路・キャリア支援や産業心理臨床の専門家育成にも取り組んでいる。

中内 一氏
武蔵野大学 学生支援部 キャリアセンター支援課長
高校卒業後、単身でオーストラリアに留学、アルバイトで学費を稼ぎながら現地の専門学校で福祉を学び卒業、その後、日本の大学に編入(社会福祉学科)。大学卒業後は、製造業での法人営業や実家が経営するお弁当屋を経て、2011年に学校法人武蔵野大学に入職。入試関係業務を約7年経験し、キャリアセンター支援課にて就職・キャリア支援を行う。

梶田 誠氏
武蔵野大学 学生支援部 キャリアセンター支援課
1989年に大学卒業後、新聞社に勤務(整理記者、広告営業)。2012年に学校法人武蔵野大学に入職。入職後よりキャリアセンターで勤務。現在の主な業務として、採用関連で来校、訪問企業との情報交換を行う。個別企業説明会、合同企業説明会等の就職イベントを実施、運営も担当。その他、学生への求人紹介、就職のアドバイス等も行っている。

Q1. 大学の最も大きな特長・強みについて
本学は現在、13学部21学科を擁する総合大学です。創立時から今日に至るまで、時代の変化を捉えながら改革を重ねてきました。2003年に武蔵野女子大学を現在の武蔵野大学に名称変更し、翌2004年に男女共学化を実施、2012年には有明キャンパスを開設。現在は有明キャンパスと武蔵野キャンパスの2つのキャンパス体制で学生を受け入れているほか、メタバース上に「縁(えん)バースキャンパス」も開設し運用しています。これらの改革力、チャレンジ精神のようなものが本学の最も大きな特長だと考えています。
特色ある学部として、2021年には日本初となる「アントレプレナーシップ学部」を設置し、起業家精神を持つ人材の育成に取り組んでいます。さらに2024年、法人の創立100周年の節目には「ウェルビーイング学部」を新設しました。「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントのもと、社会に貢献できる人材を育てている大学です。
Q2. 学生の特長と進路状況について
本学の学生は、誠実・真面目で素直な学生が非常に多く、教職員はもとより、採用企業からも同様の評価を多くいただいています。また、協調性やコミュニケーション能力が高く、一つひとつの活動を誠実に、協調性を持って取り組む学生が多い印象です。一方で、アントレプレナーシップ学部やウェルビーイング学部など先進的な学部の設置に伴い、チャレンジ精神旺盛な学生も増加しています。さまざまな個性を持つ学生で構成される総合大学として、さらなる発展を続けています。
就職動向については、一都三県に本社を置く企業への就職が全体の約80%を占めており、首都圏での就職が中心となっています。
入学者の出身地は一都三県が多数を占めるものの、地方出身者も一定数在籍しています。卒業後は、関東圏でキャリアを積む学生がいる一方で、地元へUターン就職する学生もおり、進路は多様です。
就職先の業種・業界・職種はいずれも幅広く、理系・文系・文理融合系など多彩な学部構成を反映しています。データサイエンス、教育、看護、薬学など、資格・専門職系の分野を含め、総合大学ならではの幅広い業界へ多様な就職実績を有しています。
Q3. キャリアセンターの利用状況とイベントについて
通学生の学部に約1万1千人が在籍する中、キャリアセンターの年間利用者数は延べ約6,000人、個別相談を行うキャリアアドバイザーの利用者数は年間で延べ約5,000人に上ります。相談内容は就職活動に関するものが中心ですが、将来の方向性が定まっていない学生からのキャリア全般の相談対応や、学部での学びとキャリアの結びつけ方のアドバイスなど、幅広いサポートを行っています。またガイダンスなどを通じてキャリアセンターの存在を身近に感じてもらえる工夫をしています。「キャリアセンター離れ」が各大学共通の課題となっている中、まずはセンターを知ってもらい、気軽に足を運んでもらえるような関係づくりを大切にしています。
イベントへの学生参加数は、内容によって大きく異なります。企業を招いての合同企業説明会や業界研究セミナーは数百人が参加する一方、特定の職種や資格に特化した対策講座は少人数での開催となっています。また、イベントの内容は学年によっても異なります。4年生は個別での就職活動が本格化するため、1社ごとに来校いただき個別説明会を行っています。一方、3年生以下に対しては、「まずは色々なことを知っていこう」と複数の企業を招いて合同企業説明会を実施することが多くなっています。近年は、卒業生が在籍する企業に声をかけ、卒業生も登壇する形での合同企業説明会の開催に力を入れています。
合同企業説明会参加企業へのアプローチはエージェントを介さず大学が直接行っており、学生の関心や興味のある業界を考慮しながら企業選定を進めています。卒業生が登壇できることを前提に声をかけているのも本学の特徴です。
また、内定を得た4年生が後輩の就職活動をサポートする「スチューデントキャリアアドバイザー(SCA)」制度を設けており、卒業後も「卒業生SCA」としてつながりを維持する仕組みを構築しています。SCAは座談会やラジオ形式の番組など、学生が主体的に企画・運営する活動も行っています。SCAへの参加は公募制で、内定取得後に自ら応募した意欲ある学生が、学科を問わず参加しています。
将来の方向性を見つけることに苦戦する学生が増える中、卒業生の実体験をキャリア形成のロールモデルとして活用し、学生が自分の将来をイメージしやすい環境づくりに取り組んでいます。

Q4.貴学独自のキャリア支援施策について
キャリア支援に関する講座はガイダンス形式のものから体系的なプログラムまで幅広く用意しており、3年生だけでなく低学年からの参加も可能です。特色ある取り組みの一つとして、1年生の全員必修科目「仏教(生き方を考える)基礎」に自分自身のキャリアについて考える時間を組み込み、選択科目としては1年生から受講できる「キャリアデザイン」科目を設けています。この科目では、まず自己理解や社会・仕事への理解を深めた後、大学と連携する企業でのインターンシップや企業協働プロジェクト(5日間以上の実習)へと段階的につながる学びの流れも整備されています。
また、今年度もアントレプレナーシップ学部の伊藤羊一学部長が主導する全学科対象のプログラムを開催しました。
このプログラムでは、グループワークを通じて問題解決やアイデア発想の力を体験的に学ぶことができます。さらに、外部のビジネスプランコンテストへのチーム参加もサポートしており、優秀な成績を収めた場合はキャリアデザイン科目の単位として認定される仕組みも整っています。
卒業生との連携も本学のキャリア支援における大きな特徴です。現役学生へのアンケートでも「先輩の話を聞きたい」という声が多く寄せられており、先ほども述べた卒業生が登壇する合同企業説明会など、人事担当者と卒業生がセットで参加するイベントを実施しています。6月にはインターンシップを控えた1、2、3年生向けに、1月には就職活動本番を迎える3年生向けに、それぞれ卒業生からの生の声を届ける機会を設けています。
また、異なる学科の学生同士がキャリアをテーマに交流できるよう、ボードゲームやカードゲームを活用した少人数イベントも開催しています。13学部21学科という規模ゆえに生まれにくい横のつながりを、こうした場を通じて少しずつ育んでいます。
3年生に配布される「就活手帳」も本学ならではのツールです。就職活動に役立つトピックスや先輩からのアドバイス、マナーなどの情報に加え、通常より長いカレンダーを備えた手帳形式になっており、説明会でのメモ取りや自己管理に活用されています。説明会に参加する学生の約2人に1人が手帳を携帯しており、そこに書き留めた内容がエントリーシートや面接にも活かせるようになっています。

Q5. キャンリクフォーラム参加の動機と期待
フォーラムへの参加には、日頃の企業訪問ではなかなか出会えない企業担当者との新たな接点が生まれるという魅力があります。すでに卒業生が働いている企業の方と改めてお会いできることもあり、そこから新たな関係が広がることも少なくありません。1社あたりじっくり時間をかけて話せるのも、このフォーラムならではの良さだと感じています。一方で、有明キャンパスの存在をまだご存知でない企業担当者に出会うこともあり、認知拡大はまだ途上にあると感じています。学部・学科が増え、多様な学生が在籍するようになった今、より多くの企業とのつながりを築いていきたいという思いが、参加の動機の一つにもなっています。
期待することとしては、卒業生が企業でどのように活躍しているかを把握し、その様子を在学生に届ける取り組みをさらに強化していきたいと考えています。企業担当者との意見交換を通じて、卒業生や学生の状況をより深く共有できる関係づくりができればと思っています。参加企業からも、本学の成長や学部の多様化への関心から、学生支援の内容や就職状況について詳しく知りたいという声をいただいており、双方にとって有意義な場になっていると感じています。
Q6. フォーラムの感想と企業とのその後の関係
他の企業向け情報交換会では5分程度の時間内で、挨拶と採用状況の確認だけで終わってしまうことも多い中、本フォーラムでは10分間じっくり話せたことで、2026年卒の採用状況や具体的な募集職種、翌年のインターンシップ計画など、踏み込んだ情報交換ができました。他大学での取り組み状況なども聞けるなど、得られる情報の充実度が印象的でした。企業へは、本学の学生がエントリーをしているか、印象に残った学生がいるか、のにも関心があり、そうした学生動向をご共有いただけると、その場の会話がぐっと深まると感じています。事業内容の説明していただくのもありがたいのですが、本学との具体的なつながりに関するお話を聞けるほうが、お互いにとって実りある対話につながっている印象です。
また、本フォーラムが事前予約制であることで、本学に関心を持った企業が訪問してくれる可能性が高く、先方も事前に情報を把握した上で臨んでいただけるため、初対面でも話が弾みやすいと感じています。
フォーラム後の関係については、参加企業の約3分の1からその後連絡をいただき、改めて情報交換の機会を設けています。中には個別説明会の開催や求人票の提供、説明会情報の共有へと発展したケースもあり、フォーラムをきっかけとした継続的な関係構築につながっています。

- 1

