ProFuture代表の寺澤です。
2026年2月18日に株式会社帝国データバンクが発表した「初任給に関する企業の動向アンケート(2026年度)」(調査期間:2026年2月5日~9日、有効回答企業:1541社)の結果によると、2026年4月入社の新卒社員に支給する初任給について、前年度から「引き上げる」と回答した企業の割合は67.5%と前年度比3.5ポイント低下したものの、7割近くに達しています。「初任給を引き上げる」と回答した企業の割合を企業規模別に見ると、「大企業」(65.6%、前年度比4.0ポイント減)と「中小企業」(68.2%、同3.2ポイント減)はともに6割台後半だった一方で、「小規模企業」※は同12.2ポイント低下して50.0%と半数にとどまり、全体と比べても17.5ポイント下回るなど、「小規模企業」のみが大きく引き離される結果となっています。原材料費の高騰や物価上昇で企業におけるコストが膨らむ中、販売先への価格転嫁がままならない「小規模企業」では、最低賃金の上昇への対応だけでも負担が大きいこともあり、厳しい経営環境を背景に初任給の引き上げに踏み切れない企業が少なくないようです。初任給を引き上げるためには、既存社員との逆転現象が起きないように、賃金テーブル全体のベースアップが不可欠であり、資金余力が限られる「小規模企業」にとっては容易ではないといえるでしょう。

なお、初任給の引き上げ額では、「1万~2万円未満」が47.4%で最も多く、次いで「5千〜1万円未満」(31.6%)が続いています。初任給引き上げ額の平均は9462円で、企業規模別に見ると、「大企業」が9749円、「中小企業」が9371円と、「大企業」のほうが400円近く上回っています。

※同アンケートにおける企業規模の定義は、主に中小企業基本法に基づきつつ、資本金、従業員数、売上高などを総合的に勘案して分類されており、「大企業」は資本金3億円超かつ従業員300人超(製造業など)の規模を指し、それ以外を「中小企業」、その中でも常用従業員20人以下(製造業など)などの特に小規模な企業を「小規模企業」としています。
第180回 27卒生における文系/理系の違い―所感や就業意識、活用する就職サイトや就職開始時期のギャップを調査

不安が強い文系、楽観的な理系

今回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2027年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2027年新卒学生の就職活動動向調査(11月)」(調査期間:2025年11月18日~11月28日)の結果から、就活生の就職意識や早期の就職活動状況を紹介します。ぜひ参考にしてください。

※以下、同調査結果の割合(%)は、小数点以下を四捨五入して整数で表示しています。
そのため、合計が100%にならない場合があります。

まずは、2027年卒学生の就職意識から見ていきます。近年、新卒者の採用環境はマスコミ等で「学生の売り手市場」と称されることが多くなっていますが、当事者である学生は自分たちの就職活動をどう思っているのでしょうか。就職活動に対する所感を確認したところ、文系では「楽観している」(5%)が最も少なく、「やや楽観している」(19%)と合わせた“楽観派”は24%であるのに対して、最も多い「不安である」(29%)と「やや不安である」(27%)を合わせた“不安派”は56%と、“楽観派”の2倍近くになっています[図表1]。「学生の売り手市場」を肌で感じる機会があまりないのかもしれません。一方の理系では、“楽観派”が47%と半数近くに上り、“不安派”(34%)を14ポイントも上回るなど、文系とは顕著に異なる傾向を見せています。
[図表1]就職活動に対する所感
文系と理系の所感の違いは何に起因しているのでしょうか。“楽観派”の理由(複数回答)を文系・理系で比較すると、文系では、「インターンシップへの参加で有利になっている」がトップで44%、次いで「就職活動への苦手意識がない」が41%と4割を超え、「志望する企業の選考が順調に進んでいる」(38%)も4割近くとなっています[図表2]。ただ、その次の「既に志望する企業から内定(内々定)が出ている」は22%と2割程度にとどまります。

一方、理系はというと、トップは「既に志望する企業から内定(内々定)が出ている」で51%と半数を超え、次いで「インターンシップへの参加で有利になっている」が43%で続きます。文系では、「有利になっている」「順調に進んでいる」といった感覚的な理由にとどまっていたのに対して、理系では「内定(内々定)が出ている」という確かなエビデンスが既にあり、それが“楽観”に通じていると考えられます。文系・理系間で生じているこの違いは大きいです。

前年同時期に実施した「2026年新卒学生の就職活動動向調査(12月)」(以下、前回)では、“楽観派”の理由として「既に志望する企業から内定(内々定)が出ている」と回答した理系は38%であり、13ポイントも増加しています。理系の就職活動の進捗(しんちょく)が前年よりもかなり早く進行していることがうかがえます。
[図表2]“楽観派”(「楽観している」と「やや楽観している」の合計)の理由(複数回答)
次に、“不安派”の理由(複数回答)も見てみましょう。最も多かったのは、文系・理系ともに「面接が苦手」で、それぞれ74%、51%と半数を超えています[図表3]。特に文系では、ほぼ4人に3人が「面接が苦手」と回答しています。私のイメージでは、「面接が苦手」なのは文系よりも理系のほうだと思っておりましたが、最近は違うようです。次いで、「採用の早期化が負担」(文系39%、理系40%)、「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」(文系38%、理系37%)が多くなっています。

「面接が苦手」以外で文系・理系でポイント差が見られる項目では、前回に続き今回も「筆記試験が苦手」(文系36%、理系26%)において、文系のほうが理系よりも10ポイント高くなっています(前回は文系38%、理系28%)。一方、「エントリーシートが大変そう」(文系15%、理系20%)と「卒業研究が進んでいないので、就職活動との両立が難しい」(文系10%、理系17%)では、理系のほうが5~7ポイント上回っています。前回は、「エントリーシートが大変そう」と回答する割合は文系のほうが高かったものの(文系26%、理系17%)、今回は異なっています。理系は、エントリーシートに自身の研究課題に関する内容の記載を求められることもあるのに対して、文系にはあまりそのような項目はなく、近時は生成AIのサポートを受けることで、エントリーシート作成の負担感が軽減しているのかもしれません。
[図表3]“不安派”(「やや不安である」と「不安である」の合計)の理由(複数回答)
続いて将来の就業意識について尋ねたところ、文系は「最初の会社で定年まで働きたい」と回答した割合が半数の50%だったのに対して、理系は34%と3分の1程度にとどまり、文系学生のほうが長期的な安定を志向していることがうかがえます[図表4]

一方、理系で最も多かったのは「3回くらいまでなら転職してもよい」で、42%と4割を超えています。文系でも32%と、3割以上の学生が「3回くらいまでなら転職してもよい」と回答しています。「回数にこだわらず、転職してもよい」を合わせた“転職派”は、文系で48%、理系では61%と6割を超えています。転職を前提としたキャリア形成を考えている学生が少なくないことを理解した上で、新卒採用では長期的かつ多様なキャリアパスの選択肢を提示するなど、社内でのキャリアチェンジやスキルアップの機会を強調することも必要となってきています。
[図表4]将来の就業意識

「リクナビ」が大きく後退

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