
「熱中症対策の義務化」に関する認知度は5割超。建設業では特に高い結果に
労働安全衛生規則改正が6月1日に迫っている。この改正によって、事業者に対しては熱中症対策が義務付けられることとなり、企業における熱中症対策の強化が求められている。そうした法改正が迫るなか、企業の熱中症対策は実態として進んでいるのだろうか。はじめに帝国データバンクは、「熱中症対策の義務化」に関する認知度を調べた。その結果、「詳しく知っている」とした企業は15.6%、「なんとなく知っている」とした企業は39.5%で、これらを合わせると対策の義務化を認知している企業は55.2%と半数以上になった。一方、「聞いたことがある」は18.6%、「知らない」は26.3%となっている。
なお、認知している企業の割合を業界別に見てみると、義務化の対象となることが多い建設業は79.3%と、全体(55.2%)より20ポイント以上高い結果となった。

『熱中症警戒アラート』の認知度は6割に迫る
次に同社が、熱中症に関連する言葉の認知度を調べたところ、『熱中症警戒アラート』という言葉を「詳しく知っている」とした企業は21.4%、「なんとなく知っている」とした企業は58.5%だった。これらを合わせると、『熱中症警戒アラート』という言葉を認知している企業は79.9%と8割に迫った。一方で、「聞いたことがある」は14.6%、「知らない」は5.5%となった。他方、『WBGT(暑さ指数)』という言葉を認知している企業は計54.8%となったのに対し、「聞いたことがある」は24.2%、「知らない」は20.9%となり、熱中症警戒アラートの発表基準にもなっている「WBGT」の認知度は比較的低い結果となっている。

熱中症対策を実施する企業は9割超。具体的な対策内容は?
続いて、「熱中症対策の実施状況」について尋ねると、「対策を行っている」とした企業は95.5%と大多数になった。そこで、具体的な「熱中症対策内容」を尋ねたところ、最多となったのは「クールビズの実践(制服や作業服の変更などを含む)」で70.5%だった。以下、「扇風機やサーキュレーターの活用」(60.7%)、「水分・塩分補給品の支給」(55.7%)などが5割超で続いたほか、「ファン付きウェアやサングラスの活用」(36.9%)、「空調設定の見直し」(30.4%)なども3割台で続き、クールビズや設備・備品の充実、暑さ対策グッズの支給による対策が上位に並ぶ結果となった。
上位の結果に対し、稼働時間や柔軟な働き方に関連する「臨時休暇の設定」(2.9%)や「営業(就業)時間の短縮」(3.9%)、「リモートワークの強化」(6.3%)などの回答は低い水準にとどまった。
また、6月1日から義務化される措置に該当する対策として、「熱中症予防・重篤化防止の学習と周知」(23.1%)や「熱中症に関する報告体制の構築」(15.2%)、「搬送先など緊急連絡先の周知」(13%)、「職場巡視やバディ制、ウェアラブル機器などによる熱中症の把握」(4.8%)なども比較的低い傾向となっている。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP691293_R20C25A5000000/