世界最大級の人材開発カンファレンス「ATD ICE26」が2026年5月に米国・ロサンゼルスで開催されました。ProFuture株式会社初の現地視察ツアーで得られた、海外カンファレンスならではの体験やAI翻訳を活用した学び方、参加者同士の交流を通じて得た気づきを全3回にわたってお届けします。
【人事の輪 特別企画】ProFuture主催「ATD26現地視察ツアー in Los Angeles」参加レポート(1/3)

第1回:世界最大級の人材開発カンファレンス「ATD ICE」とは?~初めて参加して見えた世界~

2026年5月、米国ロサンゼルスで開催された世界最大級の人材開発カンファレンス「ATD ICE26」に、人事の皆さんとともに参加しました。

ATD ICEは、ATD(Association for Talent Development)が主催する、世界最大級の国際カンファレンスです。83回目を迎えた今年は、世界80カ国以上から約1万人が集い、日本からも過去最大となる180名超が参加しました。

もともとは人材開発を中心としたカンファレンスですが、近年はAIやリーダーシップ、組織変革など、「人と組織」の未来に関わる幅広いテーマへと広がっています。そのため、学習・育成担当者だけでなく、人事責任者やHRBPなど、組織づくりを担う方々にとって多くの示唆を得られる場となっています。

その一方で、海外カンファレンスへの参加は不安もつきものです。

「英語でのセッションについていけるだろうか」
「学習セッションを選ぶコツが知りたい」
「せっかく現地に行くなら、参加者同士の対話からも学びたい」

そんな声も少なくありません。

ただ、英語については以前ほど心配する必要はなくなってきています。AI翻訳の進化により、リアルタイムで内容を確認しながらセッションを受講することも十分可能になりました。「英語ができないから参加できない」と考える時代ではなくなりつつあります。実は、私自身も英語力に不安を抱えたままATD ICEへ飛び込みました。それでもAI翻訳を活用することで、想像していた以上にセッションを理解し、現地での学びを楽しむことができました。

だからこそ、英語だけではない現地での不安や、「どう学び、どう持ち帰るか」という悩みに寄り添いたい。そんな思いから、今回、弊社ProFuture株式会社として初めての試みとなる「現地視察ツアー」を企画した次第です。企業人事を中心とした日本からの参加者がまとまって現地を訪れる取り組みは、ATD関係者からも高い関心が寄せられました。

本コラムでは、「ATD ICE26の現地でどのような体験が生まれたのか」、「参加者との対話を通じて見えてきたこと」などを、全3回にわたってご紹介します。
「海外カンファレンスに興味はあるけれど、一歩踏み出せない」
そんな方に、ATD ICEの現場の空気感を少しでも感じていただければ幸いです。

【図:基調講演のメインステージ】

【人事の輪 特別企画】ProFuture主催「ATD26現地視察ツアー in Los Angeles」参加レポート(1/3)

なぜ今、人事は世界のHRに目を向けるのか

今回のATD ICE26で印象的だったのは、多くの参加者が「答え」ではなく「問い」を持って会場を訪れていたことです。

「世界では何が起きているのか」
「海外の企業はどのような取り組みを進めているのか」
「自社の人事課題に活かせるヒントはないか」

こうした関心の背景には、人事を取り巻く環境の変化があるように感じます。

かつては、国内の事例やベストプラクティスを参考にしながら、制度や施策を検討することもできました。しかし、AIの進化や働き方の変化によって、今は世界中の企業が手探りで、新しい「人と組織のあり方」を模索しています。
だからこそ、「事例を学ぶ」というよりも、「世界ではどのような挑戦が行われているのか」を知りたいと考える人が増えているようです。

また、世界のHRに目を向けるきっかけも変化しています。最近では、海外拠点とのやり取りを通じてATDを知ったという声や、グローバルチームのメンバーがATD会員だったことをきっかけに関心を持ったという方もおり、世界の人材開発や組織づくりに触れる機会は、以前より身近になっているのかもしれません。

世界には、自分たちとは異なる考え方やアプローチがあります。
日本ではまだ議論が始まったばかりのテーマが、すでに実践段階に入っている企業もあるでしょう。逆に、日本では当たり前だと思っていたことが、海外では全く違う捉え方をされていることも多々あります。そうした違いに触れるたびに、「なるほど、そんな見方もあるのか」と視野が広がっていく。海外カンファレンスに参加する醍醐味のひとつですね。

興味深かったのは、参加者から「世界の先進事例を見て、日本が遅れているわけではないと感じた」という声も聞かれたことです。むしろ、世界中の企業が同じように人と組織の課題に向き合いながら、試行錯誤を続けていることに「共感した」という方が多かったように思います。

ATD ICEは、世界の「正解」を学ぶ場というよりも、同じ問いに向き合う人々と出会う場なのかもしれません。だからこそ、世界中から多くの人が集まり、学び合い続けているのでしょう。

世界中のさまざまな「視点」が集まるATD

ATD ICE26では、400を超えるセッションが14種類のテーマ(Learning Track)に分かれて開催されました。人材開発戦略やリーダーシップ、キャリア開発、人材マネジメント、組織開発、ラーニングテクノロジー、さらにはセールスイネーブルメントなど、その領域は多岐にわたり、どのセッションに参加するか迷ってしまうほどです。
さらに、現地に集まるのは世界80カ国以上から約1万人。その参加者も企業の人事責任者やHRBP、組織開発担当者、研究者、コンサルタント、テクノロジーベンダーなど、実にさまざまです。

そのため、同じセッションを聞いていても、参加者によって見ている景色が違うという面白さがあります。ある人は人材育成の視点で聞き、ある人は組織変革の視点で聞く。AIのセッション一つをとっても、「AI時代に人は何を学ぶべきか」を考える人もいれば、「組織はどのように変わるべきか」を考える人もいます。

そして、そうした気づきをその場で語り合う光景が、会場のあちこちで見られたのも印象的でした。セッションの前後や休憩時間、ランチのテーブルでも、「こういうことを感じたんだけど、どう思う?」「自社ならどう活かせそうか?」と自然に会話が始まります。

そういった環境で、自社では当たり前だと思っていた「常識」が揺さぶられたり、新しい視点に出会ったりする。対話を通じて、自分なりに考えを整理し、少しずつ腹落ちさせていく。そんな時間を過ごせることも、ATD ICEならではの魅力と言えるでしょう。

また、そこで語られているのは、完成された成功事例ばかりではありません。

「まだ答えはないけれど、こんな挑戦をしている」
「こんな可能性を試している」

そんな試行錯誤の共有も数多くあります。

世界中の人たちが、それぞれの環境や文化の中で「人と組織の課題」に向き合っている。その話に耳を傾け、時には言葉を交わしながら会場を歩いていると、遠い世界の話ではなく、同じ時代を生きる仲間たちの挑戦として感じられてきます。

そうした空気感や熱量に触れられることも、現地に足を運ぶからこそ得られるATD ICEの魅力なのかもしれません。

では、参加者たちは、そこで得た学びや気づきをどのように自社の課題へと結びつけていたのでしょうか。また、一人で参加するのと、仲間と参加するのとでは、どのような違いがあったのでしょうか。
それは、次のコラム(第2回)でご紹介します。ぜひ、本連載もあわせてご覧ください。

【図:外国籍参加者ラウンジのボードより】

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