世界最大級の人材開発カンファレンス「ATD ICE26」が2026年5月に米国・ロサンゼルスで開催されました。ProFuture株式会社初の現地視察ツアーで得られた、海外カンファレンスならではの体験やAI翻訳を活用した学び方、参加者同士の交流を通じて得た気づきを全3回にわたってお届けします。
【人事の輪 特別企画】ProFuture主催「ATD26現地視察ツアー in Los Angeles」参加レポート(2/3)

第2回:ATDは「学ぶ」だけでは終わらない~“自社ゴト”にする対話の力~

2026年5月、ProFuture株式会社は米国ロサンゼルスで開催されたATD ICE26に、人事の皆さんと参加しました。

前回は、なぜ今多くの人事が世界のHRに目を向けているのか、そしてATD ICEが世界中の知見や実践が集まる場であることをご紹介しました。

ATD ICEでは、4日間で400以上ものセッションが開催されます。世界中の最新事例や研究に触れられる一方で、その情報量の多さに圧倒される参加者も少なくありません。しかし、参加者の皆さんが求めていたのは情報を集めることそのものではありませんでした。

「この学びを自社でどう活かせるだろうか。」

そんな問いを持ちながら、参加者同士で対話を重ねていた姿が印象的でした。
今回は、ATD ICEで得た学びを、「自分ゴト」ならぬ「自社ゴト」に昇華させていったのか。そのプロセスをご紹介します。

思った以上に忙しいATD ICE

体力勝負とは聞いていましたが、会期中は想像以上に忙しかったです。朝8時から基調講演や学習セッションに参加し、空き時間にはExpoを回りながら最新のサービスや事例に触れていきます。

会場では400を超える学習セッションの中から、自身で受講計画を立ててセッションを選びます。英語でセッションを聞き、Expoでは次々と新しいサービスや考え方に触れる。慣れない環境の中では、それだけでもかなりの体力と集中力を使います。

さらに、会期中は次々と新しい情報に触れるため、気が付けば1日があっという間に過ぎてしまいます。しかし、ただ「参加してきました」で終わらせるわけにはいきません。

「自社ならどうだろう」
「うちの課題に当てはめると何が見えてくるだろう」

参加者の皆さんからは、そんな言葉が自然と聞かれました。
膨大な情報に触れるからこそ、その学びをどう自社につなげるかが重要になります。

【図:ATD ICE26スケジュール】

【人事の輪 特別企画】ProFuture主催「ATD26現地視察ツアー in Los Angeles」参加レポート(2/3)

情報は、そのままでは示唆にならない

ATD ICEでは、次々に新しい情報や考え方に出会うので、夜ホテルに戻るころには、頭の中が「いっぱい」です。資料を見返せば情報は確認できますが、1日で何本もセッションを聞いていると、「あの話とこの話はつながるな」と思うこともあれば、「結局何が一番印象に残ったんだっけ」と自分なりに頭の中を整理したくなることもあります。

日々がこの調子ですので、帰国してからすべてを整理しようとしても、なかなか追いつきません。だからこそ、会期中に少しずつ学びを整理し、自社の課題と結び付けながら1日を振り返ることが大切です。

今回の現地視察ツアーでは、コーディネーターに山本紳也氏(株式会社HRファーブラ 代表取締役)をお迎えし、各日の終了後、振り返りの時間を設けました。山本氏のファシリテートのもと、「何を学びたいと思って、そのセッションを選んだのか」「そこで何を感じたのか」、皆さんで共有したのです。

振り返りの時間があると思うと、「今日は何を持ち帰ろうか」という意識でセッションに向き合うようにもなります。

同じテーマに関心を持っていても、着目するポイントは人それぞれです。だからこそ、対話を通じて自分一人では気づけなかった視点に出会うことがあります。参加者の皆さんからも、「一人で参加していたら、この視点には気づけなかったと思う」という声が聞かれました。

例えば、AIコーチングに関するセッション後の振り返りでは、こんなやり取りがありました。
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参加者
「このセッション、AIコーチングの話だと思って聞いていたんですけど……」
別の参加者
「私はむしろ、人間のコーチの価値を改めて考えさせられました」
別の参加者
「うちの会社なら、管理職育成のあり方を考えるヒントになりそうだと感じました」
参加者
「確かに、人間のコーチの価値を考えていた気がします。AIをどう使うかというより、AI時代に人はどんな価値を発揮するのかという話だったのかもしれませんね」

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最初はAIツールの話をしていたはずなのに、話しているうちにAIツールそのものから、人間の価値や管理職育成のテーマへと議論が広がっていきます。

同じセッションを聞いていたはずなのに、振り返ってみると、それぞれが違うことを持ち帰っている。そんな場面が、この4日間で何度もありました。

情報量が多いATD ICEだからこそ、その日のうちに言葉にし、他者の視点と重ね合わせる。そのプロセスを通じて、大量の情報が初めて「自社で活かせる価値」へと変容していくのだと感じました。

【図:リフレクションタイムの様子】

【人事の輪 特別企画】ProFuture主催「ATD26現地視察ツアー in Los Angeles」参加レポート(2/3)

対話を通じて見えてきた共通の「問い」

このような振り返りの中で、不思議と同じ「問い」に行き着く場面が何度もありました。それは「AI時代に、人はどのような価値を発揮するのか」というものです。

ATD ICE26で取り上げられていたテーマの中心にはAIがあり、ほとんどのセッションでその分野のAI活用の現在地が紹介されていました。会期を通じて、AIを活用すること自体はもはや前提になりつつあるということを強く感じました。

ただ、興味深かったのは、その先です。どのセッションでも最終的には「人」の話に戻ってくることでした。AIによって働き方や学び方は変わっていく。しかし、その議論の先には、必ず「人間はどのような価値を発揮するのか」「リーダーには何が求められるのか」という問いがありました。

こうした問いは、基調講演でも繰り返し語られていました。

OpenAIの元Go To Market責任者であるZack Kass氏は、「AIは人間を置き換えるものではなく、人間の可能性を拡張するものだ」と語りました。AIを活用すること自体が目的ではなく、その先で人間がどのような価値を発揮するのかが重要だというメッセージです。

また、世界的に有名なレストラン「Eleven Madison Park」の元共同オーナーであるWill Guidara氏は、「人を大切にすることが最高の成果を生む」と語りました。テクノロジーや仕組みだけではなく、「人の心に残る体験を生み出すこと」こそが、組織の価値になるという考え方は、多くの参加者の共感を集めていました。

コーディネーターの山本紳也氏は、この4日間を振り返り、
「おい人間、しっかりしろよ!と言われているようだった」と表現していました。この言葉はATD ICE26で繰り返し語られていたメッセージをよく表しているように思います。

AIの可能性が広がるからこそ、「人間らしさとは何か」「リーダーシップとは何か」「学び続けるとはどういうことか」、そんな問いを、ATD ICE26の講演者たちは参加者に投げかけ続けていたように感じました。そして、その問いはセッションの中だけでなく、参加者同士の対話を通じてさらに深まっていったように思います。

一人でも学べる。でも、仲間がいるともっと面白い。そんな4日間の様子は、続く第3回のコラムでご紹介します。

【図:基調講演_Zack Kass氏】※講演をもとにAIを活用して作成

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