
第3回:一人でも学べる。でも、仲間がいるともっと面白い。~「人事の輪」で歩くATD ICE~
2026年5月、ProFuture株式会社は米国ロサンゼルスで開催されたATD ICE26に、人事の皆さんと参加しました。前回は、ATD ICEで得た学びを、「自分ゴト」ならぬ「自社ゴト」に昇華させていく対話やリフレクションについてご紹介しました。振り返ってみると、今回のATD ICEを特に印象深くしたのは、セッションの内容だけではなかったように思います。出発前から始まったやり取りや、現地で交わした何気ない会話、そして帰国後まで続く「参加者同士のつながり」があったからこそ、ATD ICEでの体験が、より深く、充実したものになったように感じています。その背景にあったのが、本企画のタイトルにも掲げている「人事の輪」の取り組みです。「人事の輪」は、人事同士が企業や業界の垣根を越えて交流することを目的とした、ProFuture主催メディア「HRプロ」の不定期開催企画です。交流会や勉強会などを通じて、人事同士が気軽に情報交換できる場づくりを行っています。ATD26現地視察ツアーも、その活動の一環として実施しました。
限られた時間で、何を持ち帰るか
4日間で400を超えるセッションが開催されるATD ICE。しかし、一人が参加できるセッション数には限りがあります。「あのセッションも聞きたい」「このテーマも気になる」と思っても、魅力的なセッション同士が同じ時間帯に開催され、あきらめざるを得ないこともあります。さらに、これまでご紹介したように、慣れない海外の環境で英語のセッションを受講しながら、Expoを回り、参加者同士の交流も行う。そして、その学びを自社の実践へどうつなげるかを考える。想像以上に忙しい4日間です。
だからこそ、「限られた時間で、何を持ち帰るか」が大切になります。
そのためには、自分が参加したセッションだけでなく、他の参加者が何を見て、何を感じたのかを知ることも大きなヒントになります。同じセッションを聞いていても受け止め方は人それぞれですし、自分が参加できなかったセッションから新たな気づきを得られることも少なくありません。
私たちは、ATD ICEを「一人で学ぶ場」ではなく、「人事同士で学び合う場」にできないか――そんな思いから、『ATD26現地視察ツアー』を初めて企画しました。
ATD ICEを「チーム戦」で楽しむ
今回のツアーで大切にしたのは、「一緒に行動すること」ではなく、「学びあうこと」です。ATD ICEでは、それぞれが関心や課題に合わせて自由にセッションを選びます。同じセッションを受講する人もいれば、まったく違うテーマに参加する人もいます。その多様な学びを持ち寄ることで、一人では得られない気づきが生まれると考えたからです。そのため、安心して現地での学びに集中できるよう、出発前から帰国後まで「学びあい」を支え、いつでも相談できるさまざまな機会を設けました。
出発前には、まず「ATD ICEとはどのような場なのか」を知っていただくための収録動画を共有し、現地の雰囲気や過ごし方をイメージできるようにしました。さらに説明会では、ATD事務局とも連携しながら整理した情報をもとに、渡航準備や翻訳アプリの活用方法など、初めての海外カンファレンスに対する不安や疑問を一つひとつ解消しました。そして、単に「おすすめのセッション」を紹介するのではなく、「自社の課題を踏まえて、何を見に行くのか」という視点を参加者の皆さんと一緒に考えました。
参加者それぞれが自分なりの問いを持ち、安心してATD ICEへ向かえるよう、皆さんと一緒に準備を重ねたことで、ロサンゼルスで初めて顔を合わせたときには、初対面とは思えない一体感が生まれたのではないかと思います。参加者の皆さんからは、「現地で『やっと会えましたね!』という雰囲気でスタートできたのがよかったです」という声もいただいています。
現地では、それぞれが自分で選んだセッションを聴講します。同じセッションを受講する人もいれば、まったく違うテーマに参加する人もいます。そのため、「どんなセッションだった?」「何が印象に残った?」という会話が自然と生まれていました。
会期中はグループチャットを活用し、会場での連絡事項などもタイムリーに共有しました。困ったときに相談できる人がいるだけでも、初めての海外カンファレンスでは大きな安心感になります。
また、2日目の夜には希望者による交流会(夕食会)も設けました。企業や業界を越えて名刺交換をしたり、「実は同じ課題で悩んでいるんです」と話が弾んだり。海外カンファレンスという非日常の空間だからこそ、新しいつながりも生まれたのではないでしょうか。ちなみに、私は持参した名刺50枚ほどがすべてなくなりました。名刺は「ちょっと多いかな」くらい持っていくことをおすすめします。
そして、一日の最後はリフレクションの時間です。こちらは第2回でもご紹介しましたが、その日に感じたことや気づきを参加者同士で持ち寄ります。
「今日は何が印象に残ったか」
「自社ならどう活かせそうか」
一人で考えていたことも、他の参加者の話を聞くことで見え方が変わることがあります。その日の学びを整理しながら、「明日はどんなテーマを聴講しようか」と思いを巡らせて、次の日につなげていく。このリズムが4日間続いていきました。
一人ひとりが自由に学び、その学びを持ち寄りながらお互いに理解を深めていく。今回のATD ICEでは、そんな「チーム戦」の面白さを体感していただけたのではないかと思います。
【初日の様子】

帰国してから、ATD ICEが効いてくる
帰国した翌日からは、いつもの仕事が始まります。会議があり、メールがたまり、ATD ICEで受けた刺激も、気が付けば日常の中に埋もれてしまいそうになります。帰国直後は情報量の多さに圧倒されていました。それでも、不思議なことに時間が経つにつれて、「あのセッションで聞いた話は、この課題につながるかもしれない」「あのとき参加者が話していたことは、こういう意味だったのか」と、現地では「点」だった学びが少しずつ「線」でつながっていく感覚がありました。
ATD ICEで得た気づきが、時間をかけて自分の中で育っていく。この不思議な感覚をそのままにせず、自社での実践につなげていただきたいと考え、帰国後もフォローを続けています。
コーディネーターの山本紳也氏には、4日間を俯瞰して見えてきたポイントを総括していただきました。講演動画は弊社で収録し、参加者へと共有しています。また、帰国から約1か月半後には再び集まり、それぞれが社内で実践してみたことや、その後見えてきた気づきを共有するリフレクション会を開催する予定です。
ATD ICEの学びは、現地で完結するものではありません。一度持ち帰り、社内でアウトプットし、仕事の中で考え、実践し、再び対話する。その繰り返しの中で、少しずつ自社の取り組みへつながっていくのだと感じています。
一人でもATD ICEには参加できます。でも、仲間がいるともっと面白い。
そんな場を、これからも「人事の輪」を通じて、皆さんと一緒につくっていけたらと思っています。
来年は、「人事の輪」とボストンへ。
~「ATD27現地視察ツアー in Boston」のご案内~
この3回のコラムを通じて、「ATD ICEって面白そう」「一度行ってみたい」と感じていただけたなら、とてもうれしく思います。2027年のATD ICEは、米国・ボストンで開催されます。弊社では、「人事の輪」の企画の一環として、来年も「ATD27現地視察ツアー」実施します。
「来年は、一歩踏み出してみようかな。」
そんな気持ちになっていただけた方は、ぜひ続報をお待ちください。詳細は、今後弊社のWebサイトで順次ご案内してまいります。
【図:最終日メインステージの次年度告知】

▼ATD youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=5kmDyFjlF7k
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▼本連載はこちら
・第1回:世界最大級の人材開発カンファレンス「ATD ICE」とは?~初めて参加して見えた世界~
・第2回:ATDは「学ぶ」だけでは終わらない~“自社ゴト”にする対話の力~
・第3回:一人でも学べる。でも、仲間がいるともっと面白い。「人事の輪」で歩くATD ICE~
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