今回は、MTG人事本部の浦山晴央氏、本村薫氏とマーサージャパンの増渕匡平氏、浜田伸樹氏による対談を実施。MTGにおける報酬のフィロソフィと将来的な展望、『総報酬サーベイ』が果たす役割についてお伝えする(以下敬称略)。
【対談者プロフィール】

■浦山 晴央氏
メーカー、人材系会社での営業部門および事業経営経験を経て、2014年にMTG入社。入社後は、採用・教育・人事制度、上場準備、フィロソフィ浸透などの業務に従事。2024年に現職。報酬制度の設計をはじめ、人事全般を統括する立場として活躍。
株式会社MTG
人事本部 本部長

■本村 薫氏
2011年、MTGに新卒入社。入社後は各ブランドの新商品の企画・制作部門に従事。その後、人事部門に異動し、新卒採用、研修、人事企画などの業務を経験。現在は人事企画課 課長として、人事制度、報酬施策、株式報酬施策の設計・運用を担っている。
株式会社MTG
人事本部 人事企画課 課長

■増渕 匡平氏
日系証券会社の営業部門および人事部門を経て、2010年にマーサージャパン入社。『総報酬サーベイ』に関する、既存顧客の運用支援や新規顧客の導入支援に従事。2021年にプロダクト・ソリューションズ部門の責任者に就任。日本で3,500社を超える同部門のクライアントに対して、組織人事領域における典型的なイシューを特定し、標準化されたソリューション(プロダクト)を通じて支援している。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ部門 代表

■浜田 伸樹氏
新卒で日系大手印刷会社に入社し、営業として活躍。その後、日系SaaSベンダーに転職し、カスタマーサクセスを2年経験した後、2022年2月マーサージャパンに入社。『総報酬サーベイ』を中心とした報酬・福利厚生関連プロダクトのカスタマーサクセスとして、契約されたクライアントの活用および継続支援をメインに担当。
マーサージャパン株式会社
プロダクト・ソリューションズ部門 カスタマーサクセス シニアマネージャー

「採用競合」から「時価総額」の切り口まで、自社ならではの視点で比較企業群を選定する
増渕 マーサーの『総報酬サーベイ』は、現在、1,600以上の企業・組織にご活用いただいています。給与・賞与・手当などの報酬実態を業種別・職種別・等級別・年齢別など、さまざまな切り口で比較・分析できるのが『総報酬サーベイ』の特徴です。MTG様には2025年からご参加いただいています。まずは導入に至った経緯をお聞かせください。本村 今後さらなる事業成長と企業ステージの向上に向けて、優秀で実績ある人材の獲得に挑む場面で課題を感じるようになってきました。採用で競合する企業の顔ぶれも変化する中で、報酬面で他社に負けているのではないかという実感があり、加えて新卒初任給の上昇基調、また世の中の賃上げが加速するなかで、本腰を入れて対策を講じる必要がありました。
当初は他社が提供している報酬データを見ていたのですが、たとえば「このデータにおける役職・等級と弊社の役職・等級をイコールで考えていいのか」といった疑問が出てきました。また厚生労働省などが出している公的な統計情報は基本的に年齢別データで、年功序列的な制度を採用していない弊社としては参照しづらいものでした。
浦山 別の難しさもありました。おかげさまでMTGは成長を続けており、会社の立ち位置や社内環境が目まぐるしく変化している局面にあります。そのため、報酬面でどのような企業と競合しているのか、どの水準を目指すべきなのかを定めにくい状況にありました。
基本的に経営陣としても、企業成長に見合った報酬を還元していきたいと考えています。ただ、これまで利用していた他の報酬情報では、具体的にどの企業と比較しているかを明確に特定する方法がありませんでした。そのため、報酬を引き上げるべきかどうか、また引き上げる場合はどの程度にするか、を経営陣と検討するための材料が不足していたのです。

増渕 『総報酬サーベイ』は、企業によって異なる役職・等級の意味合いをしっかりと揃え、比較する際に整合性が取れるよう設計しています。企業規模別での参照も可能で、MTG様のような課題感にも対応しやすい点が特徴です。では、具体的にどのような企業を比較対象として選定されたのでしょうか。
本村 まずは採用競合です。採用チームの意見を取り入れながら、採用時に競合となる企業を職種別に選定し、ピアグループ(比較対象の企業グループ)を組みました。
浦山 もう1つ、株式の時価総額という切り口を採用した点がMTGらしさといえるでしょう。当社では、従業員持株会をはじめ株式に関する施策を複数有しており、多くの社員が自社株を持っています。ですので、時価総額が大きくなる=社員の資産が増えることにもなります。単に売上・利益だけを追うのではなく、時価総額を高めていくことが社員の幸福にもつながる。そうした観点から社内では“時価総額”が重要なキーワードとなっていて、報酬水準を考える際の指標にしました。
浜田 どうしても“いま近しい企業”だけを比較相手として考えがちですが、今後目指すべき時価総額をもとに比較対象を捉えるというのは、新しい観点だと思います。報酬設定を検討する企業の皆さまにとっても参考になる事例ではないでしょうか。
本村 ただ、まずは現在地を正しく把握することが第一です。現時点で比較すべき対象を確認し、数年後に時価総額が上がったときに実現したい報酬水準を見据えてデータを活用しています。こうした視点で、ピアグループを組めたり、自社の実現したい分析が柔軟にできる『総報酬サーベイ』は大変役立っています。

ファクトをもとに自社報酬の未来を“ストーリー”化できたことが最大の収穫
浜田 今回は、ピアグループの設定や、得られたデータを経営サイドにどう報告・提案するかという点で、マーサーのコンサルタントがご支援させていただきました。今後の報酬水準をどのように考えていくか、松下社長含めて議論を進めるにあたり、マーサーの支援で特に良かったと感じていただけた点はどこにありましたか。浦山 『総報酬サーベイ』のデータをもとに、ファクトベースで現状比較と今後あるべき姿を示していただけたことが、一番大きかったと思います。
本村 たとえば先ほど話に出た「このデータにおける役職・等級と弊社の役職・等級をイコールで考えていいのか」という部分ですね。同じ“部長”でも大手企業、中小、そしてMTGでは役割が異なります。そうした点をしっかりと把握した上で、データや資料を用意していただきました。さらに、松下の疑問や質問にも的確に答えていただけたことで、「これはファクトとして信用してよいデータだ」という信頼感が高まったのだと思います。
増渕 経営が何を求めているのかを見極めることが、まず重要だったと思います。また、先ほどお話いただいた「MTGの報酬の現状を明確に示す材料がなかった」という状況を、どう打破するのか。そうした論点を踏まえ、経営と人事が同じファクトをもとに議論できる状態づくりに少しでも貢献できていたのであれば、大変光栄です。

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