
「休日」と「休暇」の違い
大きな違いは、その日に元々労働義務があるかないかです。休日は、そもそも労働義務がない日です。例えば、完全週休2日制で毎週土曜・日曜が休日の場合、この土曜・日曜は元々働く義務がありません。
一方、休暇は本来労働義務がある日ですが、申し出等によりその義務が免除される日です。年次有給休暇がわかりやすい例で、元々は働く義務がある日ですが、休暇申請等によりその日は労働を免除されます。年次有給休暇等の法定休暇以外にも、慶弔休暇をはじめとする特別休暇も「休暇」の分類です。
さて、1年は「年間休日」と「年間所定労働日」に分けられます。年間休日が120日であれば年間所定労働日は245日(うるう年の場合246日)です。
このとき、「休日」は「年間休日」として、「休暇」は「年間所定労働日」として扱います。つまり、その休みが休日と休暇のどちらかによって、年間休日数・年間所定労働日数が変わるのです。
注意点1:月給制の時間単価への影響
この違いは、月給制における賃金単価の計算に直結します。多くの企業では、割増賃金や欠勤控除の基礎となる1時間あたりの賃金単価の算出式は、「月給÷月の平均所定労働時間」です。「月の平均所定労働時間」は「年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12」で計算されます。例えば、月給30万円、1日の所定労働時間8時間、週5日勤務のケースで比較すると、次のようになります。
1ヵ月平均所定労働時間…約163.3時間、時間単価…1,837円(※50銭未満切捨時)
●年間休日125日(年間所定労働日数240日)の場合
1ヵ月平均所定労働時間…160時間、時間単価…1,875円
このように、休日を増やす制度改定を行うと、月給総額を変えなくても時間単価が上昇する点は、必ず押さえておきたいポイントです。一方、休暇制度を新設・拡充しても、年間休日数・年間所定労働日数は変わらないため、時間単価の計算式そのものには影響しません。
また、制度を変えずとも、年が変われば休日数も変わります。毎年の年間休日数・年間所定労働日数を正しく見直しているか、改めて確認したいところです。毎年休日数を同じにするため、年末年始やお盆休み、GWなどで調整する方法もあります。
今回の例では、休日5日の違いで賃金単価に38円の差が生じました。あくまで1人の時間単価ですから、これが数十人、数ヵ月、数年と積み上がれば、企業への影響はいかほどでしょうか。休日と休暇を曖昧にしたまま運用することは、給与の未払いあるいは過払いの温床になるとおわかりいただけたかと思います。
注意点2:割増賃金・出勤率算定への影響
割増賃金の適用場面でも、休日と休暇では扱いが異なります。「休日」に労働させた場合には、法定の割増賃金の支払いが必要です。割増賃金計算時の賃金単価の注意点は前述の通りです。一方、「休暇」はもともと労働日のため、休暇の取得を取りやめて出勤した場合は通常の労働日として扱われます。休日出勤にはなりません。
36協定の管理でも、休日労働は協定が定める休日労働の回数・時間数の実績として計上しますが、休暇取得を取りやめて出勤した日は通常の労働日として扱われるため、休日労働の実績には計上しません。
年次有給休暇の付与要件である出勤率の算定においても、休日と休暇では位置づけが異なります。出勤率は、「休日を除いた全労働日(年間所定労働日数)」のうち、実際に出勤した日数の割合で判定します。休日はそもそも全労働日に含まれないため、休日労働は出勤率算定の対象になりません。
なお、休暇のうち、年次有給休暇の取得日や産前産後休業、育児休業、介護休業、業務上の傷病による療養のための休業期間は出勤したものとみなして計算します。企業独自の特別休暇は出勤率算定にあたりどう扱うのか決まりはないため、別途定めておく必要があります。多くの場合、年次有給休暇等と同様、出勤したものとして扱っている印象です。
このように、休日と休暇のどちらに該当するかを正しく区別しておくことは、賃金単価の算定から年次有給休暇の管理まで、労務手続き全体の正確性を左右します。さて、皆さんの企業では、夏季休暇や年末年始はどちらの扱いでしょうか。自社の休日・休暇制度を今一度見直し、それぞれの取り扱いを確認しておきましょう。
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