本書は、成人発達学者の加藤洋平氏と、数々のグローバル企業でリーダーの行動変容を支援してきた中竹竜二氏がタッグを組み、「器」という抽象的な概念を科学的かつ実践的に体系化した一冊である。 中竹氏は、早稲田大学ラグビー蹴球部監督として「自律支援型」の組織変革で全国連覇を成し遂げた経験を持ち、現在は日本オリンピック委員会(JOC)でも指導者育成を牽引する人物だ。本書では、ダイナミックスキル理論や成人発達理論といった学術的知見をベースに据えつつ、そうしたスポーツやビジネスの過酷な現場で培われた「リーダーシップ・コーチング」の実践知が融合されている。
逆境や越境体験、他者(異質性)との関わり、そして内省と自己開示を通じて、一度壊れた自己を「金継ぎ」のように再構成し、器を広げていくプロセスを丹念に解き明かしている点が出色である。 スキル開発や従来の能力評価だけでは突破できない組織の壁を感じている人事・人材開発担当者や、自らのあり方を問い直し、他者と共に成長する真のリーダーを目指すビジネスパーソンにとって、新たな視座と具体的な道筋を提供してくれる必読の書である。
★手に取っていただきたい人★
○次世代リーダーの育成や選抜に課題を感じている人事・人材開発担当者
○スキル偏重の評価やマネジメントに限界を感じている経営層・HRBP
○メンバーの多様性や異質性を活かしきれていないと悩む管理職・リーダー
○自身のリーダーシップのあり方や、ビジネスパーソンとしての「成熟」を見つめ直したい方
【書籍基本情報】
書籍名:「人の器」の磨き方 リーダーシップ・コーチングと成人発達理論による人間力の変容プロセス
著者: 加藤 洋平、中竹 竜二
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
書籍発売日:2025年12月24日

▼内容紹介
本書は、スキル偏重の社会に生きる私たちに、「人の器」という新たな視点を提示する。AIが進化する現代においてこそ、人間の本質的な力=人間力が問われているという問題意識から出発し、その成長の旅路をガイドしていく。第1部では「人の器」を定義し、その成長プロセスを解説する。成人発達理論などの学術知見を用いながら、器は静的なものではなく、修復・進化が可能であることを提示。真に「できる人」とは、環境に応じて柔軟に学び直せる人であると説く。
第2部では、器を実際に磨き、強くするための方法を示す。逆境や越境体験を契機とした「自己の再構成」プロセスや、異質性との出会いなど他者との関わりの重要性を解説。さらに、自分自身の弱さやエゴと向き合う「内省と自己開示」が、個人と組織を一段高い発達段階へ導く鍵になることを論じている。
ビジネスの現場で成果を出すだけでなく、自らを深め、他者や組織を育てるリーダーを目指す人に向けて、理論と実践を架橋する一冊。「スキル」から「人の器」へと関心を広げたい方に、新しい視座を提供する。(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
序章 スキル開発に注力してきた近代社会できる人の判断基準
そもそもスキルとは——ダイナミックスキル理論の視点から
社会と人の意識の変革期の到来/など
第1部 人の器を知る
第1章 器の定義を考える
「人の器」は定義できるのか
人の器を育てる3つのフェーズ
欠けた器は金継ぎで再生できる
器は金継ぎで再生できる――壊れた器を再構成する発達的プロセス
「自主性」と「主体性」の違いから見えてくる成長の違い/など
第2章 自分の器の理解を深める
自分の器が見えない理由──成人発達理論で読み解く“自己という盲点”とメタ認知の力
自分を知るために役立つ方法
成長支援者の器:各段階の関わり方の特徴と注意点
中竹の診断結果を分析してみる/など
第2部 人の器を磨き、強くする
第3章 器を磨き、強くする条件
人の器に影響を与える大事なこと
成人発達理論の観点から見る人の器に影響を与える大事なこと
ダイナミックスキル理論から見る「器の限界と再構築」/など
第4章 他者との関わりによって器を成長させる
他者のメガネをかけて見る
成人発達理論から見る「他者のメガネをかけて見る」という能力の大切さ
同質性からの決別
発達を促す異質性との出会い/など
第5章 組織としての器
チームの力で成長する
組織としての器とは何か
成人発達理論から見る組織の器とそれを磨く方法
360度評価が組織の器に及ぼすこと/など
第6章 内省と自己開示の威力
なぜ日々の内省が必要なのか
自分の弱さと向き合う習慣プライドやエゴを克服する
瑜伽行唯識学から見るプライドやエゴの克服
承認欲求と劣等感から自分の器を考える
瑜伽行唯識学から見る承認欲求と劣等感
煩悩とシャドーに向き合う/など
第7章 AI時代の人の器
人間にしか担えない「器」の役割とは何か
これから求められるAI時代の人の器の形/など
終章 問いと共に生きる
器は完成しない——問い続けることの力
問いとともに深まりゆく器の終わりなき変容プロセス
▼著者プロフィール
【加藤 洋平(かとう ようへい)】成人発達学者。
一橋大学商学部経営学科卒業後、デロイト・トーマツにて国際税務コンサルティングの仕事に従事。退職後、米国ジョン・エフ・ケネディ大学にて発達心理学とインテグラル理論に関する修士号(MA. Psychology)、および発達測定の資格を取得。オランダのフローニンゲン大学にてタレントディベロップメントに関する修士号 (MSc. Psychology)、および実証的教育学に関する修士号を取得 (MSc. Evidence-Based Education)。
現在、オランダのフローニンゲンに在住しながら、成人発達学と瑜伽行唯識学の研究を行っている。日々の研究に並行して、心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」を毎週土曜日に開講している。
ウェブサイト「成人発達学の学び舎」
【中竹 竜二(なかたけ りゅうじ)】
日本オリンピック委員会(JOC)サービスマネージャー、一般社団法人スポーツコーチングJapan 代表理事。1973年福岡県生まれ。
早稲田大学ラグビー蹴球部で主将を務め全国準優勝。英国レスター大学大学院修了後、三菱総合研究所を経て、2006年に早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。カリスマ不在の中、選手が自ら考え行動する「自律支援型」組織へと変革させ、全国大学選手権二連覇を達成する。
その後、日本ラグビーフットボール協会で初代コーチングディレクターやU20日本代表ヘッドコーチを歴任。「個人のスキル以上に組織の文化(カルチャー)が勝敗を分ける」と実感し、スポーツ界のメソッドをビジネスに昇華させるべく、2014年に株式会社チームボックスを設立。
現在は「コーチング論」「成人発達理論」をベースに、グローバル企業などの経営陣に対し、リーダーの「アンラーン」と本質的な「行動変容」を支援している。2022年よりJOCサービスマネージャーとして全競技の指導者育成も主導。アカデミックな知見と勝負の世界の実践知を融合させ、人の可能性を解き放つ環境づくりに情熱を注ぐ。
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