【図解】よくわかる「社会保険の加入対象」拡大、“変更される4項目”を徹底解説:社労士監修コラム集

「子ども・子育て支援金制度」の概要
「子ども・子育て支援金制度」は、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略 加速化プラン」を実現するための財源確保策として創設されました。このプランにより、児童手当の拡充や出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の新設など、子育て支援の充実化が進んでいます。これらの子育て支援の財源に充当するため、全世代で医療保険料と合わせて徴収される新しい負担金が「子ども・子育て支援金」(以降、「支援金」)です。なお、名称がよく似たものに「子ども・子育て拠出金」があります。子ども・子育て拠出金は企業が既に毎月納付しているものですが、子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金は別の制度であり、両制度は並行して運用されます。
【図解】よくわかる「社会保険の加入対象」拡大、“変更される4項目”を徹底解説:社労士監修コラム集
「子ども・子育て支援金制度」の負担の詳細
ここからは具体的な負担について解説します。本制度の対象は、医療保険に加入しているすべての人のため、国民健康保険や後期高齢者医療保険の加入者も含まれますが、以降では、健康保険加入者(企業が対応すべきもの)に限って説明します。●負担額
支援金の月額は「標準報酬月額×支援金率」で計算した額です。2026年度の支援金率は一律0.23%で、これを労使折半で負担します。例えば、標準報酬月額30万円の従業員であれば、従業員345円+企業345円で計690円を支援金として毎月負担します。また、健康保険料と同様、ボーナスも支援金の対象賃金です。支援金率は毎月のものと同じです。
なお、支援金率は段階的に0.4%程度まで上がることが想定されています。
●負担方法
従業員負担分は、健康保険料と同様、給与からの天引きにて徴収します。天引きで徴収したものは企業負担分とあわせて、健康保険料に上乗せして毎月納付します。なお、産休・育休中で保険料免除対象の方は、支援金も免除されます。
●負担開始月
2026年4月分保険料(5月納付分)から支援金納付が始まります。そのため、基本的には5月支給分の給与から支援金の天引きが開始されます。「子ども・子育て支援金制度」開始に伴う実務のポイント
●給与計算システムの改修・確認
従業員負担分は給与からの天引きが必要になるため、給与計算時の対応が追加されます。独自にシステムを構築していたりExcelなどの独自ツールを利用していたりする場合には、支援金の計算がされるよう改修が必要です。各ベンダーの給与計算システムを導入している場合には、ベンダー側が改修対応しますが、そのタイミングや設定変更の有無など、アップデート情報は確認した上で、適用のスケジュールを把握しておく必要があります。
●変更後の保険料率の把握
支援金とは少し別の話題となりますが、「健康保険料率」と「介護保険料率」は毎年見直されています。まだ来年度の確定の保険料率は出ていませんが、変更が入るとすれば3月分保険料(4月納付分)から新しい保険料率で計算をすることになります。支援金は4月分保険料(5月納付分)からのスタートですから、仮に健康保険・介護保険料率が変更になれば、対応に1ヵ月のズレが生じます。なお、2026年度は雇用保険料率も4月から引き下げ、つまり変更の見通しです。
各保険料率とその適用開始月を把握の上、計算を誤らないよう注意が必要です。
●給与明細のレイアウト変更
給与明細に支援金の項目を新設することは法令上の義務ではありません。そのため、給与明細の項目は変更せず、健康保険料率と支援金を足した金額を「健康保険料」として記載するのでも問題ありません。ただし、従業員への周知の観点からも、項目を分けるなど内訳を記載することが推奨されています。従業員からの問い合わせの削減、トラブル防止の観点でも、可能な限り給与明細には健康保険料と支援金を分けて記載することが望ましいでしょう。
●就業規則や労使協定との関係
給与からの控除というと、給与規程への記載や賃金控除の労使協定がないといけないと考える方もいるかもしれませんが、今回の支援金は法令で定められたものになるので、社内手続きを踏まずとも給与天引きが可能です。●企業の予算化
1人当たり月数百円程度ではありますが、企業の負担が増加します。毎月の給与に加え、ボーナスでも徴収になるため、どの程度の負担増になるかシミュレーションしておき、人件費の予算計画に反映しましょう。●従業員への周知
従業員からしても負担増は嬉しいものではなく、疑問や不満の声が上がる可能性は大いにあります。現にネット上では「独身税」の単語が広がっており、ネガティブな印象が広がっています。何も周知せずに制度が始まると、急に数百円の負担が毎月発生することになり、企業への不信感を生むおそれすらあります。社内ポータルでの情報提供や、社内説明会の実施など、事前周知が必須です。
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制度開始が近づくにつれ、さらに詳しいQ&Aやガイドライン等が公表されることが想定されます。最新情報もチェックしていきましょう。
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