(1)最低賃金の対象外となる手当を控除した基本給
(2)固定残業代は基本給とは別物とした上で支払根拠を透明化
(3)試用期間であっても最低賃金を下回っていないか
今回は上記を軸に労基法違反のリスクがないか確認しましょう。
【控除とは】社会保険料の計算方法は?住民税はいつ控除?基本から実務まで徹底解説/社労士監修コラム集

給与体系に惑わされず「基本給ベース」で最低賃金を下回っていないか再チェック
最低賃金の根拠となる賃金は、「毎月支払っている労働の対償となる賃金」です。間違いやすいのは、最低賃金のチェックは賃金の総支給額ではないということです。たとえば賞与はもちろん、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外割増賃金や休日・深夜の割増賃金も最低賃金の算定から除外されます。上記の手当を除外した上で、月給制の場合は
「基本給+手当」÷所定労働時間
で計算します。
ちなみに、月給制の場合、「所定労働時間」は「1年で見た1ヵ月平均所定労働時間」となります。これを従業員ごとに最低賃金の対象となる手当、対象外の手当を区別して算定を行うのです。
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「固定残業代」と「基本給」を別物で考える
最低賃金を計算する上で間違えやすいのが「固定残業代」です。すでに述べたように、時間外の割増賃金と休日・深夜の割増賃金は最低賃金の算定対象外です。毎月一定額の残業代を支払っているとしても、基本給の中に入れ込んでいる場合は別物として取り扱う必要があります。ちなみに、従業員を採用するときに使用する求人票に賃金額を記載しますが、「基本給は〇〇円、固定残業代は△△時間分の割増賃金として〇〇円」を分けて記載しておくことをおすすめします。でないと、求職者は、固定残業代込みの賃金を基本給と思い込み、入社後にトラブルになるケースが多いからです。
話を戻しますが、複数の事業場があり、給与計算の担当者が複数いる場合、最低賃金の算定の間違いを防ぐために、賃金体系としては基本給、各種手当、固定残業代をそれぞれ別物として管理しておくような仕組みになっているか再点検しましょう。
「試用期間中の賃金」が通常賃金より低い場合は要注意!
試用期間中であっても、従業員を雇用していることには変わりありませんので、最低賃金が適用されます。試用期間中でも通常の賃金と変わらない場合は問題となりませんが、通常よりも低額の賃金を設定している場合は注意が必要です。最低賃金は毎年秋ごろに改定されますので、その時期に従業員を採用している場合は、改定された最低賃金をクリアしているか確認をするようにしましょう。
最低賃金を下回ることでの「労働基準法」違反はこうして防ぐ!
これまで最低賃金の算定方法や算定対象とならない手当の除外基準を述べましたが、毎年行われるであろう最低賃金の改定にどのように対処すればいいのでしょうか。まずは、マニュアルを整備し、誰でも簡単に最低賃金の計算ができるようにすることです。〇〇さんがわかっていればいい、という状況ですと、その方が万が一、体調不良で休職となったときに対応できる方がおらず、従業員からのクレームで事態が発覚することが想定されます。したがって、属人化を防ぐためにもマニュアルを整備することをおすすめします。
次に、従業員の賃金額を総点検する時期を毎年決まったタイミングで実施することです。最低賃金の改定は秋ごろに行われますが、発表から改定まで約1ヵ月あります。その時期を総点検と位置付けてスケジューリングします。つまり、総点検をルーティーン化することで、従業員の賃金額が最低賃金を下回ることを防ぐことができるのです。また、あらたに従業員を募集する時も提示する賃金額の参考となるでしょう。
いかがでしょうか。最低賃金額を確保するということは、企業の採用・定着の信頼性を確保することに直結します。従業員からクレームがあった時点で企業は対応として後手を踏むことになり、労力や手間も余分にかかってしまいます。
もし、不安がある場合は、お近くの社会保険労務士にご相談しながら、さらに適正な運用をされてください。
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