社員のリスキリングは、多くの企業で「重要だが進まない課題」として立ちはだかっている。HR総研が実施した「社員のリスキリングに関するアンケート」(有効回答220件)では、約7割の企業が必要性を認識しながらも、実際に取り組みを進めているのは3割にとどまる結果となった。なぜこのギャップが生まれるのか。本記事では、同調査から「必要性認識(図表1-1)」「目的(図表2)」「推進体制(図表3-1)」の3つの視点で、企業の現在地をダイジェストで紹介する。調査データの全容と研究員による詳細な分析は、HRプロ本編レポートで公開中となっている。
リスキリングはなぜ進まないのか? 「必要性7割・実施3割」が示す人材戦略の現在地【HR総研調査・ダイジェスト版】

7割が必要性を認識も、実施は3割弱【図表1-1】

まず、リスキリングに「取り組む必要がある」と答えた企業は全体で72%に達し、多くの企業が必要性を強く意識している。 企業規模別では、1,001名以上の大企業では94%、中堅企業では74%、中小企業では61%と、規模が大きいほど必要性の認識が高い傾向が見られる。 一方で、実際に「既に取り組んでいる」企業は26%にとどまり、「必要性を感じているが、まだ本格着手できていない」企業が多数派であることがうかがえる。

【図表1-1:リスキリングに取り組む必要性に対する認識】

リスキリングはなぜ進まないのか? 「必要性7割・実施3割」が示す人材戦略の現在地【HR総研調査・ダイジェスト版】

目的の中心は「スキル向上・キャリア開発」【図表2】

リスキリングに取り組む目的として最も多かったのは、「社員のスキル向上・キャリア開発支援」で70%と約7割を占めた。 次いで「業務効率化」が49%、「人材の流動性向上・適材適所の実現」が29%となり、「新規事業開発・事業の多角化」「ITリテラシー・デジタルスキルの底上げ」「DX推進」など、事業変革やデジタル化に直結する項目は2~3割台にとどまっている。 多くの企業がリスキリングを「個人のスキルアップ」と「目先の業務効率化」から捉えており、事業構造転換や戦略的人材配置といった中長期的テーマとしては、まだ一部の先進企業にとどまっている状況だと言える。

【図表2:社員のリスキリングに取り組む目的】

リスキリングはなぜ進まないのか? 「必要性7割・実施3割」が示す人材戦略の現在地【HR総研調査・ダイジェスト版】

推進体制は人事主導が主流、中小はトップ直轄【図表3-1】

リスキリングの推進体制を見ると、大企業では「人事部門が主導し、各事業部門と連携して推進している」が67%で最多となり、中堅企業でも同様に69%で最も高い割合を占める。 一方、中小企業では「経営トップ直轄のプロジェクトチームが全社的に推進している」が33%と最多であり、大企業・中堅が人事主導の体制を敷くのに対し、中小企業ではトップダウンのプロジェクト型推進が主流となっている。 規模に応じて、リスキリングを担う「主語」が変わる構図が見て取れ、自社の体制設計を考える上でも参考となる結果である。

【図表3-1:企業規模別 リスキリングの推進体制】

リスキリングはなぜ進まないのか? 「必要性7割・実施3割」が示す人材戦略の現在地【HR総研調査・ダイジェスト版】

「スキル可視化×キャリア支援」への示唆

本調査では、リスキリングの成果と取り組み項目の相関分析も行われており、特に「スキルの可視化」と「長期的なキャリア支援」を組み合わせた企業ほど、人材配置や事業面での成果を実感している傾向が示されている。 リスキリングを単発の研修提供で終わらせず、戦略的人材マネジメントと結び付けられるかどうかが、今後の企業競争力を左右する鍵になりそうだ。

本ニュースは、「社員のリスキリングに関するアンケート」結果報告の一部を抜粋したダイジェスト版である。 図表の全データや、成果が出ている企業とそうでない企業の違い、自由記述コメントの分析などの詳細は、HRプロ本編の調査レポートにて公開中であり、無料会員登録により全文の閲覧が可能となっている。

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