こうした環境変化に対応する企業における最新のリスキリング状況と施策動向を客観的に把握すべく、HR総研ではリスキリングに関する各企業の方針や取り組み実態を把握するアンケートを実施した。以下、その調査結果をフリーコメントも含めて報告する。
7割がリスキリングの必要性を認識するも、実施企業は3割にとどまる
まず、企業がリスキリングの推進に取り組む必要性についてどのように認識しているかを見てみると、全体では「取り組む必要がある」が72%となっており、7割が必要性を実感していることが分かる。企業規模で見てみると「取り組む必要がある」は、1,001名以上の大企業では94%、301~1,000名以下の中堅企業では74%、300名以下の中小企業では61%となっており、企業規模が大きいほど、リスキリングの必要性を実感していることがうかがえる(図表1‐1)。
【図表1‐1】リスキリングに取り組む必要性に対する認識

次に、社員のリスキリングへの企業の取り組み状況について見てみると、全体では「既に取り組んでいる」は26%、「現在は取り組んでいないが今後取り組む予定である」は15%、「現在取り組むことを検討している」は28%、「今後も取り組む予定はない」は31%となっており、実際に取り組みを開始している企業は3割未満にとどまっている。前述の取り組む必要性に対する認識における「取り組む必要がある」の割合と、「既に取り組んでいる」企業の割合との間に46ポイントもの差があり、必要性を感じていながらも、取り組みが進んでいない企業が多いことがうかがえる。企業規模別に見てみると、「既に取り組んでいる」の割合は大企業では46%であるのに対し、中堅企業では24%、中小企業では18%となっており、大企業では中堅・中小企業に比べて取り組みが進んでいることが分かる。また、「今後も取り組む予定はない」は、大企業では8%であるのに対し、中堅企業では30%、中小企業では42%となっている(図表1‐2)。
【図表1‐2】社員のリスキリングへの取り組み状況

また、前問で「今後も取り組む予定はない」と答えた企業(全体の3割)の、「社員のリスキリングに取り組まない理由」については、「取り組むための予算がない」が最多で38%、次いで「他の優先課題がある」が32%、「事業戦略上特に必要がない」が28%などとなっている。予算や人材等のリソースの制約により取り組めない企業がある一方で、リスキリングの必要性や優先順位を相対的に低く位置づけている企業も一定数存在することが分かる(図表1‐3)。
【図表1‐3】社員のリスキリングに取り組まない理由

リスキリングの目的は「スキル向上・キャリア開発」が最多で7割
次に、「社員のリスキリングに取り組む目的」については、「社員のスキル向上・キャリア開発支援」が最多で70%、次いで「業務効率化のため」が49%、「人材の流動性向上・適材適所の実現」が29%などとなっている。また、「新規事業開発・事業の多角化のため」(28%)、「社内のITリテラシー・デジタルスキルの底上げ」(26%)、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」(23%)など、事業変革やデジタル化に関連する項目も一定の割合を示している。上位2項目が人材開発と業務効率という比較的短期的な目的である一方で、事業構造の転換や戦略的な人材配置といった中長期的な目的を掲げる企業は相対的に少ないことが分かる(図表2)。
【図表2】社員のリスキリングに取り組む目的

リスキリングの推進体制、大企業・中堅企業では「人事部主導」が7割
次に、「リスキリングの推進体制」について見てみると、大企業では「人事部門が主導し、各事業部門と連携して推進している」が最多で67%、次いで「経営トップ直轄のプロジェクトチームが全社的に推進している」が13%となっている。中堅企業でも同様に、「人事部門が主導し、各事業部門と連携して推進している」が最多で69%を占めている。一方、中小企業では「経営トップ直轄のプロジェクトチームが全社的に推進している」が33%と最多となっており、大企業・中堅企業とは異なる傾向を示している。大企業・中堅企業では人事部門が主導的な役割を果たす一方で、中小企業では経営トップが直接関与する形での推進が主流となっていることがうかがえる(図表3-1)。
【図表3-1】企業規模別 リスキリングの推進体制

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「リスキリング」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2025年9月24日~9月30日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:220件
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