
外国人を雇用する時の注意点や採用・離職時のハローワークへの届出
外国人の方を雇用する場合、国籍を理由とした賃金等の労働条件の差別は禁止されています。たとえば、労働基準法や最低賃金法、社会保険に関する法令も日本人の従業員と同様に適用することになります。また、不法就労を防ぐための措置として事業主は、採用予定の外国人の方が雇用保険の被保険者に該当するかどうかにかかわらず、採用時と離職時にハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります(雇用保険被保険者となる場合は資格取得・喪失届の提出をもって外国人雇用状況の届出とされます)。この手続きを怠ると30万円以下の罰金となりますのでくれぐれも注意が必要です。
採用の手順としては、採用内定後に在留カードやパスポートの提示を求めて、ハローワークに届け出る事項を確認します。確認事項は、氏名や在留資格、在留期間、生年月日などです。
「留学」や「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人が、資格外活動許可を受けて就労するときは、在留カード、旅券(パスポート)または資格外活動許可書などによって、資格外活動許可を受けていることを確認することになります。ただし、在日韓国人等の特別永住者の方についてはハローワークへの届出の対象外です。
この6月からは在留カードの確認にあたり、出入国在留管理庁から在留カード等を読み取るアプリが提供されましたので、アプリから読み取った情報と在留カード等の記載が一致しているか確認するようにしましょう。
ちなみに、6月14日からマイナンバーカードと在留カードが一体化した「特定在留カード」の運用が始まっています。これまでの在留カードとは記載事項の表示が変更になっていますので注意が必要です。
さて、離職時についての対応ですが、離職者が社会保険の被保険者で資格確認書を交付されていた場合は、確実に回収するようにしましょう。離職者が、このあと国民健康保険や国民年金の被保険者となる場合は、管轄の市役所等の行政官庁の紹介など必要な情報を提供すると良いでしょう。
外国人雇用についてなされる法改正とは
まず6月に法改正がなされたのは「同一労働同一賃金」に関するものです。短時間・有期雇用労働者や派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止について、雇用する外国人労働者にも適用されることに注意が必要です。また、雇用する外国人労働者やその家族に対して日本語学習に触れる機会の提供などに努めることが求められます。
つぎに、今年の10月にはパートタイムや有期雇用労働者を雇い入れたときに行う労働条件の明示に際して「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」ことを明示することが追加されます。この規定は外国人労働者の方にも適用されます。労働条件の明示については外国人労働者の方が理解しやすいように説明できる体制を整えておきましょう。
加えて、来年の4月から「育成就労制度」が施行されます。この制度は育成就労外国人が目標にしている「技能」と「日本語能力の習得」ができるように基本方針に沿った雇用管理が求められます。
他に、外国人労働者を送り出す機関(送出機関)については、二国間取決めを結んでいる国か、地域の公的機関から推薦を受けている機関に限定されますし、育成就労外国人が送出機関に支払う手数料が不当に高額にならないようにする必要もあります。
最後に、所定の条件を満たせば転籍が可能になりますので、その旨を育成就労外国人に説明をすることが必要になりますが、言葉を変えれば、せっかく来てもらった育成就労外国人が自社を離れることができるようになることを意味しますので、これまで以上に労働条件や自社の魅力を理解してもらい、定着してもらう工夫が必要になるでしょう。
いかがでしょうか。これまで外国人の方を雇用するのは人手不足を少しでも解消したいという面もあったかもしれませんが、これからは自社に定着してもらうことで、業務運営の戦力となってもらいながら、外国人労働者の方には技術と日本語の習得を目指してもらうパートナーとしての関係になるでしょう。
ただ、外国人の方を雇用するにあたっては、どうしても手続きが煩雑ですので、労務管理の専門家である社会保険労務士を活用いただき、安定的な組織づくりを進めていただきたいと思います。
- 1
