「人が足りない」という声は多い。しかし実態を掘り下げると、問題はヘッドカウントよりも、既存メンバーのリソースがうまく設計されていないことにある場合が少なくない。人的資本開示への対応、AIツールの導入検討、タレントマネジメントなど、経営からの要請は増え続けるのに、人事部内のリソースは限られたままだ。採用・労務・制度・育成と守備範囲が広い人事担当者ほど、自分自身が「全員が動いているのに前に進まない」状態に陥っていないだろうか。問題は個々の頑張りではなく、チームとしての時間の使い方が設計されていないことにある。本書はそこに、正面から向き合う。
一方、組織全体に目を向けると、AIの台頭により事業構造や求められるスキルセットが変わりつつある。どの人材をどこに配置し、何に時間を使わせるか。かつての「人員計画」では追いつかない変化のなかで、タレントマネジメントの問い直しが迫られている。人材を「採って配置する」だけでは十分でなくなりつつある今、エース・中堅・若手それぞれの時間をチーム全体で設計し直すことで「全員戦力化」を実現する「組織時間設計図」は、人事が現場マネジャーに手渡せる、具体的な変革の道具になる。
マネジメントとは「やるべきこと」と「できること」のギャップを埋める「やりくり」だという本書の定義は、人事担当者自身にも、そのまま刺さる言葉だ。
【書籍基本情報】
書籍名:マネジャーのための時間管理術で最高のチームをつくる方法
著者:川内 正直
出版社:翔泳社
発売日:2026年6月17日

▼内容紹介
第1・2章チームがうまくいかない理由「最高のチーム」の要件を整理したうえで、マネジメントを「やるべきこと」と「できること」のギャップを埋める「やりくり」と定義し直す。目先の課題解決と未来を導く長期視点の2つを持つことの重要性を示すとともに、非効率な仕事が増える4つの要因を心理的側面も含めて解説する。
第3章時間管理術の本質
エース・中堅・若手それぞれの時間の使い方を比較しながら、「足し算型組織」と「掛け算型組織」の違いを軸に発想転換を促す。時間を「有効・投資・無駄」の3種類に分類する視点が、優先順位の整理と人員配置の見直しに直結する。
第4・5章組織時間設計図の作り方と運用
「やるべきこと」と「できること」の間にある4つのギャップを起点に、縦軸・横軸の設計からタイムアロケーションまでを詳述。「ReMeDi」で時間を捻出し、「Unfreeze→Change→Refreeze」のステップで変革を定着させる方法を実践的に解説する。(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
第1章 「最高のチーム」とは何か?1-1 「最高のチーム」の2つの要件:成果さえ出していればOK?
1-2 マネジメントとは「やりくり」すること:「やるべきこと」と「できること」のギャップを埋める
1-3 「やりくり」に必要な2つの視点:短期的に目先の課題を解決し、長期的に未来を導く
〈コラム〉最高のチームをつくるための最重要ポイントは?
第2章 チームがうまくいかない理由は何か?
2-1 「頑張っているのに成果が出ない」:努力の方向を間違えていないか?
2-2 成果を出せていない組織の特徴:「やる気」と「行動量」の2軸
2-3 非効率な仕事が増える4つの要因:努力の方向を間違えるのには心理的要因がある
第3章 成果を出すための時間管理術とは?
3-1 時間の使い方のパターンを比較してみよう:エース、中堅、若手をどう活かす?
3-2 「足し算型組織」とは?:全員が独立して動く
3-3 「掛け算型組織」とは?:チーム全体として時間を有効活用する
3-4 時間には3種類ある:「有効時間」「投資時間」「無駄時間」
第4章 「組織時間設計図」をつくるには?
4-1 組織時間設計図が必要な理由:「やるべきこと」と「できること」の間にある4つのギャップ
4-2 まずは「変えること」を決める:これまでと違う結果を出すなら、何かを変えるしかない
4-3 「組織設計図」のつくり方:縦軸と横軸を設計する
4-4 「時間設計図」のつくり方:タイムアロケーションの3ステップ
4-5 時間を捻出するための3つの観点:ReMeDiで時間をつくる
〈コラム〉組織設計図をつくる=「所」をつくる
第5章 「組織時間設計図」をうまく運用するには?
5-1 新しい設計図にどう移行するか?:組織変革の3ステップ
5-2 「赤鼻のトナカイ」に見る組織変革:トナカイチームの成果と、個々のやりがいを同時に高める
5-3 Unfreezeする:納得感を醸成し、全員同時に認識を変える
5-4 Changeする:メリットを説き、ふさわしい名前をつける
5-5 Refreezeする:行動に注目し、後戻りを防ぐ
5-6 絶対解ではなく最適解を:組織時間設計図は常に見直し続けるもの
〈コラム〉名前を変えればすべてが変わる
付録1 職種別の組織時間設計図の応用例
付録2 中長期的な組織時間設計図の例
▼著者プロフィール
【川内 正直(かわうち まさなお)】株式会社リンクアンドモチベーション 常務執行役員。組織人事領域のコンサルタント・プロジェクトマネジャーとして数多くの企業変革を支援。2010年、当時最年少で同社執行役員に就任。著書に『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』(翔泳社)。
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