学生が入社を決めたのは、条件の良さだけではなかった。給与や勤務地といった数字では測れない部分で、選考の中でどう向き合われたか、どんな言葉をかけられたか——その記憶が、最後の一押しになっていた。

HR総研と就活会議株式会社は、27卒学生を対象に2026年6月時点の就職活動動向調査を実施した。有効回答346件の今回調査からは、内定承諾の決め手として「仕事内容」「給与・待遇」が文理を問わず上位に挙がる一方、大学区分によって志望企業規模への意識に差があることや、選考中の対話が志望度を左右した具体的なエピソードも見えてきた。採用ターゲティングや選考設計を見直すヒントとして、本記事ではそのダイジェストをお届けする。

27卒学生を動かした「決め手」トップ3――仕事内容・給与・勤務地の伝え方が採用の分かれ道に【HR総研×就活会議(6月)・ダイジェスト版】

内定承諾の決め手は「仕事内容」がトップ【図表3-1】

27卒学生の内定承諾の最大の決め手は「仕事内容」(文系64%、理系68%)で、「給与・待遇」(同58%、67%)、「勤務地」(同46%、54%)が続いた。理系では「福利厚生」(50%)や「初任給」(49%)も文系(いずれも40%)を大きく上回り、待遇面の納得感が承諾条件になっている様子がうかがえる。決め手の上位に並ぶ項目はいずれも募集時点から開示できる内容であり、選考終盤の口説き文句ではなく募集段階での具体的な情報提示が承諾の土台を左右するといえる。

【図表3-1】文理別 入社予定の会社に内定承諾を決めた理由(上位15項目)

【図表3-1】文理別 入社予定の会社に内定承諾を決めた理由(上位15項目)
なお、最大の決め手となった「仕事内容」については、文系・理系で評価する中身に違いがある。理系では「自分の強み・専門性が活かせる」「専門性が高い」が文系を上回る一方、文系は「裁量が大きい」、「チームで働ける」、「長く続けられる」を重視する傾向が見える。この詳細な内訳(図表3-2)は本編レポートで確認できる。


調査レポート本記事の「【図表3-2】文理別 内定承諾の決め手となった「仕事内容」の詳細(上位15項目)

大手志向は大学区分でくっきり二極化【図表2】

大学区分別に見ると、志望企業規模への意識には明確な差がある。「最初から大手志望で一貫」は早慶大クラスで82%、上位私立大78%、旧帝大クラス75%に達する一方、その他私立大では34%にとどまり、逆に「企業規模は問わなかった」はその他私立大41%、その他国公立大37%と高い。中堅・中小企業にとっては、企業規模にこだわらない層や志望途中で方針が変わり得る層こそが現実的なターゲットになる。

【図表2】大学区分別 志望企業の規模に関する意識の変遷

【図表2】大学区分別 志望企業の規模に関する意識の変遷

志望度を上げたのは「一人の人間として向き合われた」体験

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決め手の上位には仕事内容や給与・待遇が並ぶが、そこに至るまでの志望度は選考過程でも動いている。フリーコメントを見ると、条件面よりも選考中の「対話の質」や「情報開示の誠実さ」が志望度を押し上げた例が目立つ。

「筆記試験があったが、その回答に対する講評を他社が行わない中で、志望する会社は講評が返ってきたこと」(旧帝大クラス・文系)という声からは、他社との比較の中で誠実さが際立った様子がうかがえる。「インターンでの業務で作成したデータが実際に売れた」(早慶大クラス・文系)という事例は、成果が実際のビジネスに反映された手応えが志望度を大きく押し上げたことを示している。

理系からも、「インターンのメンターが中途入社の社員で、企業の良い点、悪い点を率直に話していただけた」(早慶大クラス・理系)という、建前を排した本音のコミュニケーションを評価する声や、「面接前に人事の方が緊張をほぐしに来てくれた」(上位国公立大・理系)という、選考の"待ち時間"という細部への配慮を評価する声が寄せられている。

なお、志望度が上がった裏側には、逆に下がってしまったケースも存在する。選考のどのような点が学生の志望度を下げてしまうのか、そのリアルな声は本編レポートの<【図表3-5】選考の中で志望度が下がったエピソードとしてまとめられている。採用活動における「べからず集」として、あわせて確認しておきたい内容だ。

採用形式にも文理差、理系はジョブ型が過半数【図表3-3】

採用形式の選好にも文理差が表れる。理系はジョブ型採用での承諾が55%と過半数に達し、「総合職採用」(42%)を上回った。専門性を活かせる職種確約型の採用形式が、理系学生の志望度を高める有効な選択肢になっている。

給与・安定性・仕事内容という「開示可能な情報」の納得感に加え、選考中の対話の質が、知名度や採用ブランドを補う武器になり得る。長期化する就職活動の中で、企業がどの局面にリソースを配分し、どのような情報を開示していくかが、内定承諾率を左右する鍵になるだろう。

【図表3-3】文理別 内定承諾を決めた採用形式

【図表3-3】文理別 内定承諾を決めた採用形式

学生の本音、人事のホンネ――27卒 就活川柳・採用川柳

【図表3-3】文理別 内定承諾を決めた採用形式
データの裏側にある学生・人事双方のリアルな本音は、ユーモラスな一句からもうかがえる。

就活川柳の部では最優秀賞に「"素直さ"を 五パターンほど 生成中」(東京都・ぱこさん)が選ばれ、生成AIで自己PRを最適化する現代就活生の姿を鋭く風刺した。採用川柳の部では「初任給 アップで先輩 モチベダウン」(東京都・ARK太郎さん)が最優秀賞に輝き、初任給引き上げが既存社員に与える複雑な影響を軽妙に描いている。

こぼれ話として、27卒学生・採用担当者のリアルな本音がユーモラスに詰まった「就活川柳・採用川柳」入選作品もあわせてどうぞ
「2027年卒 就活川柳・短歌/採用川柳・短歌」入選作品発表 - HR総研

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