
まずは被扶養者の収入要件」を整理
まず、健康保険被扶養者の収入要件は次の(1)(2)をいずれも満たす場合です。(1)
年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)
(2)
・同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
上記の原則の要件は変わらないものの、年収の壁関連の法改正に伴い、2025年から2026年にかけて収入要件が次の通り変更されます。
19歳以上23歳未満の収入要件の引き上げ(2025年10月1日~)
2025年10月1日から、被扶養者の認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合、「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」へ引き上げられました。●年齢の判定方法
認定日が属する年の12月31日の年齢が19歳以上23歳未満かで判定します。例えば、被扶養者が2026年9月で19歳になるとき、2026年の年間収入要件は「150万円未満」です。逆に、2026年9月で23歳になるとき、2026年の年間収入要件は「130万円未満」です。いつ時点の年齢かを誤ると扶養から外れてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
なお、対象年齢から専門学生や大学生をイメージする方が多いと思いますが、学生でなくともこの年齢の範囲であれば年間収入150万円で判定します。
●対象者の範囲
この年齢の範囲でも、配偶者(事実上の婚姻関係を含む)の場合には、年間収入要件は130万円未満のままです。また、対象外は配偶者のみで、孫や甥など、子ども以外も対象です。
年収要件を契約上の賃金で判定するよう変更(2026年4月1日~)
2025年3月31日まで、年間収入は「所定外賃金の見込みを含めた今後1年間の収入見込み」により判定をしています。収入証明書や課税証明書をもとに、残業などの突発的・想定外の労働に対する賃金も年間収入に含めているのが現状です。2026年4月1日からは、労働契約上の見込収入を用いて、被扶養者の認定を行うように変更されます。契約時点では見込まれていなかった労働に対する賃金は、認定時の年間収入には含みません。なお、対象は2026年4月1日以降が被扶養者の認定日になる場合の手続です。
●年間収入の確認方法
労働条件通知書等、労働契約の内容が確認できる書面にて、時給、労働時間、日数等から見込年間収入を判定します。諸手当や賞与の記載があれば、それらも見込年間収入に含みます。手続き時の添付書類として労働条件通知書等が必要になる予定ですので、手続きや提出物のチェックリストを作成している場合には、追加が必要です。(添付書類の詳細は、後日公表予定。)
●労働条件通知書がない場合の対応
被扶養者の勤務先が労働条件通知書を発行していない、自営業など労働条件通知書が存在しないような場合には、従来通り収入証明書や課税証明書をもとに年間収入を判定します。●給与収入以外がある場合の対応
今回追加された契約上の年間収入判定の対象は、給与収入のみの方です。年金収入や事業収入があるときには、従来通り収入証明書や課税証明書をもとに年間収入を判定します。●被扶養者の認定後の定期確認
被扶養者の認定後も、定期的に保険者(協会けんぽ・各健保組合)による確認が行われるとされています。このときも、労働条件通知書等で年間収入を確認しますが、実態との乖離がないか、収入証明書や課税証明書の提出を求められる可能性があります。臨時収入によって実際の年間収入が130万円以上(19歳以上23歳未満は150万円)になってしまった場合にも、大きく上回っていなければ、被扶養者の認定は取り消されません。また、「年収の壁・支援パッケージ」により、一時的な収入増であることを被扶養者の勤務先が証明することで、扶養に入り続けることができる制度も利用できます。
●労働条件通知書の再確認
パート・アルバイトを雇用する企業では、自社の労働条件通知書等が被扶養者の認定に利用されることになります。既に必須項目ではありますが、時給、労働時間、日数、諸手当、時間外労働の有無・見込み時間等、見込年収の算定に必要な項目が正しく記載されているかを確認しましょう。労働条件変更時には、その内容がわかる書面の提出が求められるとのことなので、変更通知や変更後の労働条件通知書等、変更内容がわかる書面の準備や、変更時の運用策定をしておくと良いです。
また、前述の事業主証明の記載を求められることもあると把握しておきましょう。
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3月から4月にかけては入退社が増える季節です。手続きの変更は早めに確認し、4月になってから慌てないよう早めの準備を心がけましょう。
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