著者は前書きでミドルシニアを「40代後半から60代手前」と定義し、この世代がある時期を境に、自分の意思や可能性を語らなくなっていく現象への危機感を率直に綴る。そうした「諦め」とも「慎み」ともつかない静かな停滞を、いかに自律と越境へと転換していくか――本書は、この問いに理論・調査・豊富な事例から応答する一冊である。電通が提唱しニューホライズンコレクティブ(NH)が提供する「ライフシフトプラットフォーム(LSP)」での参与観察データや、学び直しと仲間づくりを組み合わせたリスキリングの仕組みCo‑Skillingなど、実践現場からの知見が随所に織り込まれている点も特徴だ。
人事にとって本書は、ミドルシニア層をどう捉え、どのレベル(組織・仕事・キャリア)のエンゲージメントを高めたいのかを整理するための概念的な土台を提供してくれる。キャリア自律支援や制度設計、越境機会の設計を検討する際の「前提理解」を深めるテキストとして、一読の価値があるだろう。
【ぜひ手に取っていただきたい人】
・ミドルシニアの活性化やキャリア自律支援の施策を考えたい人事・人材開発担当
・「キャリア」単位でエンゲージメントを設計したい経営層・HRBP
・40代後半以降の部下や自分自身の「静かな停滞」に危機感を持つ管理職・リーダー
【書籍基本情報】
書籍名:キャリアエンゲージメント: ミドルシニアの自律と越境
著者: 田中 研之輔, 桝中 美佐
出版社:千倉書房
書籍発売日:2026年1月30日

▼内容紹介
ミドルシニアが働く意味を問い直すための共創の場とは? キャリアエンゲージメントを高める要因とプロセスについて事例をもとに分析している。第1章で概念と視座を整理し、第2章以降でミドルシニアの現状をデータと調査から描き出しながら、「対話と自律」「関係と共創」「探索と越境」といったテーマごとに、どのように主体性を取り戻し、社内外へ一歩踏み出すかを具体的に解説している。 終章では、今日から始められる実践ステップや、越境経験を組織の推進力へ変えていくポイントも示されており、ミドルシニア本人はもちろん、管理職・人事がキャリア施策やリスキリング、ロールモデルづくりを考えるうえでも有用な示唆を与える一冊である。
(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
第1章 キャリアエンゲージメントに関する視座第2章 ミドルシニアの状況と調査の方法
第3章 対話と自律
第4章 関係と共創
第5章 探索と越境
第6章 越境の内実
第7章 今日から始めるキャリアエンゲージメント
第8章 ミドルシニアの自律と越境
▼著者プロフィール
【田中 研之輔(たなか けんのすけ)】法政大学 教授 UC.Berkeley元客員研究員 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会 代表理事
GLOSA代表取締役/ 博士:社会学。
一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD:一橋大学 SPD:東京大学) メルボルン大学元客員研究員。2008年に帰国。現在、法政大学キャリアデザイン学部教授。専門はキャリア論、組織論。<経営と社会>に関する組織エスノグラフィーに取り組んでいる。著書25冊。『辞める研修 辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。社外取締役・社外顧問を18社歴任。新刊『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』。最新刊に『ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』
【桝中 美佐(ますなか みさ))】
キャリアデザイン学修士、ICF Associate Certified Coach、(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、国家資格キャリアコンサルタント、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科修了、コーチ・エィアカデミアクラスコーチ、京都女子大学リカレント教育課程講師 株式会社電通東日本で25年間営業・営業マネージャーを経て、人事労務を経験。現在は独立し、HRコンサルタント、企業研修・大学講師として活動している。
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