さらに今回は、コクヨ株式会社さんのご協力のもと、東京・品川にあるコクヨさんのオフィス「THE CAMPUS HALL “CORE”」を会場として開催しました。当日は、さまざまな業界から25社30名の人事の皆さんに参加いただきました。当日の様子やセッションの内容をお伝えします。

多様性を活かし、良い「場」を作るために 人事に求められる3つの役割
業界や会社の垣根を越えて、本音で語り合える機会は意外と多くありません。人事同士がフラットに対話できることが、『人事の輪』交流会の大きな魅力です。今回はそうした交流の場に加え、組織開発の第一線で研究を続ける専門家の知見にも触れられる、充実した会となりました。会場となった「THE CAMPUS HALL “CORE”」は、オフィスデザインや空間構築を手掛けるコクヨさんならではの工夫が随所に感じられる空間です。壁面には大型LEDビジョンが設置され、スタイリッシュで開放感のある雰囲気が広がっていました。ご参加の皆さんには自由に席についていただき、ドリンクや料理を片手に、日々の悩みや自社での取り組みについて語り合っていただきました。初対面同士でも、名刺交換をきっかけに自然と会話が弾み、開始前から会場は和やかな空気に包まれていました。
村瀬准教授のセッションが始まると一転、参加者の皆さんがメモを取りながら真剣な眼差しで壇上に耳を傾ける様子が印象的でした。セッションテーマは「イノベーションを生む、チームビルディング」です。以下で、その概要をご紹介します。
まず、村瀬准教授は、イノベーション(創造性)について、次のように定義しました。
「発想とは要素の組み合わせであり、創造性は異色の組み合わせから生まれる」
そして、イノベーションを生むのに重要なのが「多様性」です。今までにない組み合わせを生み出すには、一人が持つ情報だけでは限界があり、似た思考を持つ人同士の議論では新たな視点が生まれにくいといいます。価値観や人種、性別など、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まり、情報や知見、観点を持ち寄ることで、これまでになかった感覚や視点に気づくことができる。そして、それがイノベーション創出において大切だと村瀬准教授は語りました。
一方で、「多様性」は摩擦の原因にもなる“諸刃の剣”であるという視点も提示されました。人間というのは本質的に「想定内」に収まる提案を採用しやすい傾向があります。「分からないこと」や「初めて見るもの」に対して不快感を抱きやすく、斬新な提案ほど、その粗さを理由にマイナス評価をしてしまいがちです。また、すでに勝ちパターンが確立している組織ほど、新しい領域に踏み出すことへの抵抗感が生まれやすく、それが挑戦の障壁となるとも指摘しました。この点については、ご参加の皆さんも思い当たる節があったのか、深く頷きながら耳を傾けていました。

早稲田大学商学学術院 商学部 准教授 村瀬 俊朗 氏
村瀬准教授が定義する、良い「場」を構成する機能が、次の3点です。
1.感情(異見)の表明
対立する意見であっても、適切な作法に沿って表現することができること。周囲も、新しい意見を受け入れ、その背景まで含めて理解しようとする姿勢を持つこと。
2.プレッシャーに対する団結力
仕事でのプレッシャーやストレスに対して、メンバー同士が協力しながら乗り越えられること。
3.新奇性に対する積極性
職場に変化をもたらす新しい提案や、多様な発想に対して前向きであること。
そのうえで、互いに好感を持ち合い、助け合いながら関係性を築けている状態であることも重要だと語りました。こうした要素が、心理的安全性の向上や改善・成長行動につながっていくといいます。

多様な組織を束ねるために必要な知識やスキルを、リーダーに体系的に習得してもらうことです。座学や研修などを通じて継続的にトレーニングを行っていきます。
(2)マネージャーへの伴走支援
現場でマネージャーが日々直面している課題に寄り添い、伴走しながら支援することです。例えば、現場の声を丁寧に吸い上げて、実態を把握するといった取り組みがあげられます。
(3)意識改革の推進
単に現場を回すだけでなく、多様な人材を連携させ、新たな価値を生み出すことがマネージャーの使命であることを認識してもらうことです。実際のデータでも、その意識を持つマネージャーのほうが、行動量や実践量が多いことが分かっているといいます。
つまり、人事は、制度や施策を設計するだけでなく、組織の「場」を育てる役割も担っていると言えます。知識・スキルを学ぶ学習機会の提供、現場での伴走支援、そして意識変革の推進――この3つを連動させることが、イノベーティブな組織文化の実現につながるのです。
また、セッション中は、ご参加の皆さんから自社の課題に即した具体的な質問が数多く寄せられ、村瀬准教授が一つひとつ丁寧に回答していました。参加者の皆さんは理解を深めながら、自社で取り組むべき施策やアクションの気づきを得ている様子でした。
さらに交流会の終盤には、コクヨの執行役員 ヒューマン&カルチャー本部長の越川 康成 氏にもご挨拶いただきました。ヒューマニティ(人間性)を重視するコクヨさんならではの取り組みや施策の考え方を交えながら、組織変革のポイントについてお話しいただきました。

コクヨ株式会社 執行役員 ヒューマン&カルチャー 本部長 越川 康成 氏
実際に、次のような感想が寄せられました。
「今回初めて参加させていただきました。さまざまな方と意見交換をさせていただきながら、専門家の方から多くのインサイトをいただけたのは、非常に良い機会だと感じました」
「当社では管理部門の業務が多く、着実な遂行や推進が求められるため、“正しいことを正しくやる”ことが評価される環境で、イノベーションが生まれにくいという課題があります。そうした中、この産業革命とも呼ばれるAI時代に、どのように新たなイノベーションを生みだしていくのか、AIの考え方を肯定しながらも、その先に向かってどう動くべきか。まさにAIオーケストレーションを学びたくて参加しました。多様性・価値観を認め合う文化を作っていければと感じました」
「AIへの対応が求められる時代だからこそ、人間が真摯に向き合い、答えていく力を磨かなければならないと改めて感じました。本日も勉強になりました」
「組織開発の観点でこれまで十分に取り組めていなかったので、遅ればせながら少しずつ実践していきたいと思い参加しました。心理的安全性をつくることは永遠の課題ですが、今回、貴重なお話を伺うことができましたので、一歩ずつ取り組んでいきたいと感じました」
今後も、ProFutureでは人事の皆さんが気軽につながり、楽しみながら学び合える場として、『人事の輪』交流会を不定期に開催していく予定です。当社からご案内が届いた際は、ぜひお気軽にご参加ください。

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