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新卒採用フォーラム2020 ONLINE 講演録

人事のプロが紐解く新卒採用における先進的成功事例

HRプロ編集部
公開日：2020/08/25

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採用全般人事制度

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ジャンル：［採用全般］その他採用関連

形式：オンライン（ライブ）

開催日：2025/11/20(木) 14:00 〜 15:40

提供：【東京都委託事業】働き方改革パワーアップ応援事業事務局（運営：アデコ株式会社）

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奥迫氏　ここでは採用活動における課題を3つ挙げさせていただきます。まず経営課題が複雑化、就活マーケットが激化して「誰を選べばいいかわからない」という問題。2つ目が、就活メディア・チャンネルの混在化によって「どこで何を伝えればいいかわからない」というもの。そして、3つ目は求職者をはじめとするキャリア観の多様化にあわせて「ミスマッチをどう防げばいいか」といった問題です。まず「誰を選べばいいか」という課題に対して。私たちは2014年からデータと予測を用いた科学的採用を実施しました。選考過程において取得するデータから入社後の活躍を予測する技術を活用しています。奥迫氏　こちら（上図）は、選考時のデータから対象者の入社後活躍をAIが予測したもののサンプルです。選考時に取得する約100項目のデータを活用しています。この予測結果を「AIの目」として選考基準にし、さらに役員面接において「人の目」を介することで最終判断を行っています。「人の目」と「AIの目」の精度について、過去3年分の新入社員のデータをもとに比較検証も実施しました。その結果、AIが最も活躍すると予測した人材の入社後の活躍確率は、人のそれを10％上回りました。「人の目」というのは基準がバラバラであり、目利き力には差があることがわかりました。このことから当社ではAIの予測を選考基準にしてもいいと考えています。この仕組みを取り入れたことで、まず、今までESやグループワークによって「定性的」に判断していたのですが、データと活躍予測に基づく「定量的判断」に替わりました。またこれまで役員面接を2～3回行っていたところ、AIを活用することによってその工数も減らすことができ、「なぜこの人を採用するのか」という根拠も出せるようになりました。実際にその成果として人材の早期戦力化のスピードが上がったという嬉しい結果も得ています。こうして「誰を選ぶか」という課題に対し、「データと予測を用いた科学的な採用」によって、採用の質を上げることができたと考えています。続いて「どこで何を伝えればいいか」という課題に対してですが、当社は2017年から選考プロセスと人材育成技術のオープン化を実施しています。選考プロセスのオープン化で行ったのは、地方学生向け選考プロセスの構築です。先ほど紹介した技術を活用すれば、入社後の活躍予測を出す上で必要となる情報をオンラインで取得し、直接会わなくても選考を完結できると考えました。この採用方法をオンライン・リクルーティングと呼んでおり、2018年卒の採用から地方学生を対象に実施しています。選考が全てオンラインで完結できるので、従来の手法と比べ選考時間を90％削減することに成功しています。また学生側も自宅で全ての選考過程に参加することが可能になり、距離（費用と時間）的に選考参加が困難だった地方学生も参加しやすくなり、導入前と現在を比べると内定者における地方学生の比率は11倍になっています。昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響下においても、この仕組みでスムーズに対応ができました。選考だけでなく、オンライン上で応募データをもとに個別のフィードバックを作成・送付し、データのやり取りでコミュニケーションを取れる仕組みも構築しています。RPAなどの技術を組み合わせてフィードバックデータの作成と送付の自動化を進めたことで、全選考運営時間は昨年との比較で60％減少し、費用も45％削減できました。奥迫氏　次に人材育成技術をはじめとした情報公開、オープンソース化の取り組みについてです。前提として、応募者もデータを取得する側もデータのやり取りを安心して実施できるよう、当社では『デジタルHRガイドライン』というものを制定しています。まず基本方針として「個人の成長を最大化するために情報を活用する」ということ。2つめは「相互利益」「信頼構築」「リスク抑制」の三原則を遵守すること。3つめとして、「デジタルHR委員会を中心とした運用体制を構築」しています。最後に、個人情報の取得と利用内容に関しては「具体的な取り扱い・取り組み内容に関して明示する」ということです。その上で自社採用サイトでは、情報を可能な限りオープンにしました。選考プロセスや実績・内容はもちろん、配属先や入社後のプログラム、キャリア、退職後のキャリアなどの情報もできるだけ公にしています。そして、採用活動とは別になりますが、人材育成技術の一部を応募者以外にも公開するメディア『COGRESS』を立ち上げています。こちらでは学生生活の様々なシーンに対して、今後8つのサービスを提供する予定です。今年は約4,500名の学生に登録いただきました。 20年卒からはオンライン・インターンシップを公開し、初年度は約1,800名の学生が利用してくださいました。また、この度21年卒向けにはオンライン・グループワークを実施していますが、これに参加してくれた300名中、半数が当社の選考にも参加し、うち11名が入社を決めてくれました。とても嬉しい結果です。こうした取り組みの結果として、自社メディア経由の応募者が増加しました。内定者における自社メディア経由の割合は現在85％を超えています。また、内定者の4割は『COGRESS』をきっかけに当社を知り、結果、内定承諾に至っている人もいます。こうして2つ目の「どこで何を伝えればいいか」という課題に対して、「自社情報と技術をオープン化」することにより、結果として採用に要する時間やコストを削減できました。最後に「ミスマッチをどう防げばいいか」という点ですが、個別最適化したキャリア提案ということを2017年から行っています。ここで使用している仕組みが「キャリア・フィードバック」というものです。選考フローの効率化によって生まれた余剰時間を、学生のキャリア理解を促す時間に充て、内々定となった学生には人事からのフィードバックとして個々に最適化されたキャリアシミュレーションを提示しています。このフィードバックでは「なぜあなたに内定を出しているか」「入社後どんなキャリアが予測されているか」などを提示します。80ページ程度の資料ですが、一方的に情報提供するわけではなく、学生の過去・現在・未来の話を聞きながら適切な情報提供を行うための仕組みを作っています。もちろん、中には当社に入社しない学生もいるので、彼らにとってもキャリアを考えるきっかけになるよう設計しています。こういった取り組みを始めてから内定辞退率は大幅に減少しました。納得感を持って内定承諾してもらっているのだと、担当者としては感じています。当社の採用活動は、就活生に「就職することの価値」を問うことに尽きるのではないかと思っています。希望する会社に就職することに価値を置くか、それとも有益なキャリアを構築できる環境に価値を見出すか。この後者を私たちはメッセージとして伝えています。これまでの施策で成果が上がっていることを鑑みると、それが受け入れられ始めているのではないかと実感している次第です。

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