労働力不足やキャリア観の多様化を背景に、多くの企業で「アルムナイ(退職者)採用」への関心が高まっている。しかし、大掛かりなコミュニティ運営の負担や、制度の公平性と柔軟性のバランスに頭を悩ませる企業も少なくない。そんな中、株式会社オートバックスセブンは2026年6月、持続可能で実効性の高い「アルムナイ採用制度」を新設した。同社は既存社員と退職者の「人と人」の信頼関係や柔軟な受け入れ体制の構築を軸に据えた、独自の運用を推進している。そこで今回は、制度化を主導した同社の採用教育部 採用・教育課 小林氏に、アルムナイ採用制度の概要や立ち上げの背景のほか、退職者との関係構築のポイントや制度運用の本質などを伺った。

プロフィール

  • 小林 克 氏

    小林 克 氏

    株式会社オートバックスセブン
    採用教育部 採用・教育課

    1997年4月に新卒入社。直営店舗、コールセンター、南日本エリアでの店舗指導などを担当後、子会社出向にてHR系業務を経験。2024年4月より現部署にてキャリア採用を中心に人材採用、人材育成に関わる業務を担当。

オートバックスセブンはなぜアルムナイ採用制度を新設したのか――「リファラル採用との連携重視」や「持続可能な運用」のポイントとは

なぜ「アルムナイ採用制度」を導入したのか

――まずは、今回貴社が導入された「アルムナイ採用制度」の概要についてお聞かせください。

本制度は、原則として退職後1年以上が経過した円満退職者(アルムナイ)に対し、再入社の機会を設けるための仕組みです。選考プロセスとしては、アルムナイ専用の固定求人を常時用意しておく形ではなく、ご本人からの直接のお申し込み、あるいは既存社員からの推薦(リファラル)を起点としています。その後は、書類選考や面接など、通常のキャリア採用と同様の厳正なフローに則って選考を行います。配属先や待遇面については、ご本人の希望を丁寧にヒアリングすると同時に、在職時の業務内容や実績、退職後に社外で培われたスキル・資格・経験なども総合的に勘案し、そのうえで弊社の人員計画や業務上のニーズと照らし合わせながら、人事部と採用教育部が連携して適材適所の判断を下していきます。

――これまでも退職者の再入社事例はあったかと思いますが、なぜ今、あえて「制度」として明文化・整備されたのでしょうか。

おっしゃる通り、これまでも退職した方が再入社するケースはありましたが、統一されたルールや制度がなかったため、退職時の経緯や退職してからの期間、本人の能力・経験、再入社を希望する部署の状況などを、その都度個別に確認して判断していました。しかし明確な基準がないと、個別対応は何かと難しいものです。例えば、退職からわずか数ヵ月での復帰希望者や、退職時の経緯に何かしら事情があった人などの場合、「なぜこの人は再入社できるのか」と現場が受け入れに戸惑うこともあるでしょう。よって、分かりやすく公平な形にするという意味でも、「制度化」は不可欠でした。

また、昨今は、キャリア採用市場における人材獲得競争が急速に激化しています。そうした環境下で、弊社の企業文化や事業特性を深く理解し、かつ社外で新しい知見を培ってきた人材は、会社にとって極めて貴重な存在です。にもかかわらず、「一度退職したから関係は終わり」とするのは、大きな損失と言わざるを得ません。そのため社外で成長された方が「もう一度オートバックスセブンで挑戦したい」と思ったときに、戻りやすい雰囲気や再び活躍できる環境を整えておく必要があると考え、制度化に踏み切りました。

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