プロフィール

石田 茂 氏
ポラスグループ
ポラス株式会社 人事部長
兼 ポラテック株式会社 監査役
1996 年ポラスグループへ新卒入社し、以降一貫して30年間人事に携わり、2013年に人事部長に就任し現在に至る。過去複数のグループ関連会社設立を担い、国内プレカット木材最大手のポラテック(株)監査役を兼任。グループ全人事機能を主管、制度・政策企画を得意としつつ企業カルチャーづくりに重きを置く。ライフワークとして複数の異業種交流会を20年以上に渡り企画・主催しており、日本最大規模の大手企業人事トップコミュニティである「人語会」の代表を務める。その他「HRプロ」「日本の人事部」「Wellulu」「先端教育」「Learning Design」など多数のメディア取材を通して思考や取り組みが紹介されている。趣味はお酒とキャンプ。

開原 沙文 氏
株式会社松尾研究所
HR責任者
株式会社松尾研究所にて、採用や人事制度の設計・運用、組織づくりに従事。東京大学の松尾・岩澤に伴走し、研究成果の社会実装を進める同社で、事業の成長を人事の側面から支える。経営と現場との対話を重ね、それぞれの事業特性に応じた制度設計や、多様な人材との接点づくりに取り組む。趣味は京都。

共通言語「1.4倍成長」
石田氏:最初にお聞きしたいのが、開原様が所属されている松尾研究所の会社についてです。東京大学の松尾・岩澤研究室とは、どのような関係にあるのでしょうか。開原氏:松尾研究所は、東京大学の松尾・岩澤研究室(以下、東大松尾研)とは別組織であり、研究室に伴走し、研究成果の社会実装を進めるための企業です。アカデミアでは、優れた研究成果を生み出しても、それ自体が収益になるわけではありません。東京大学教授で当社の技術顧問を務める松尾豊は、アメリカ留学中に、研究への投資からスタートアップが生まれる仕組みを目の当たりにし、日本との違いを感じたそうです。
そこで、研究で生まれた技術を企業の課題解決に生かし、社会実装で得た成果を次の研究や事業につなげる循環を目指してきました。当社も、共同研究などを通じて、この循環に貢献しています。2020年に松尾研究所を設立したのも、アカデミアを理解し、東大松尾研に伴走しながら社会実装を進める組織が必要だったからです。
石田氏:共同研究に加えて、教育やスタートアップの育成も手がけていますよね。
開原氏:はい。東大松尾研と当社が連携する取り組みの中で、講義では研究成果を早く世の中に還元し、AIを使うことのできる人材を増やしています。インキュベーションでは、起業に挑戦する人材を育てます。基礎研究、講義、共同研究、インキュベーションが相互につながる「エコシステム」を、東大松尾研と当社が、それぞれの役割を担いながら形成しています。
石田氏:複数の事業が循環する構造だと、部門ごとに目線が散漫になりそうですが、共通の目標はあるのでしょうか。
開原氏:「1.4倍成長」です。毎年1.4倍を当たり前にすることが、全社の共通言語になっています。。エコシステム全体では、基礎研究なら論文、講義なら受講者数、共同研究なら売上、インキュベーションなら起業数と、それぞれの活動に応じた指標を置いています。
人は普通に生きていても1.2倍は成長する。相当に頑張れば2倍まで伸びる。その間で、少し頑張れば手が届く水準として1.4倍を目指そう、指数関数的な成長を目指そうと。
石田氏:数字そのものより、思考を変えるための数字なのかもしれませんね。
開原氏:その通りです。AIは、来週何が発表されて世界が変わるのかも読めない速度で進化しています。毎年1.4倍でも足りないくらいかもしれません。
石田氏:1.2倍なら今の延長でも届きますが、1.4倍なら、やり方そのものを変えなければならない。一方で、「なぜ毎年そこまで成長するのか」という疑問も出てきそうです。
開原氏:実際にあります。伝えているのは、「何のための1.4倍なのか」です。日本は今、グローバル競争において決して余裕のある状況ではありません。資金や資源、人口面での優位性は弱く、AIを軸に既存作業を大きく変革することや新しい産業を生み出すことが、数少ない、国を強くする選択肢の一つだと捉えています。
当社が目指しているのは、各事業を成長させ、その積み重ねで日本経済にインパクトを与えることです。最終的には、日本のGDPの成長にも貢献すべきだと考えています。上場も組織を大きくすることも目的ではありません。極端に言えば、ミッションを達成したら解散してもいい。ただし、そんなに簡単なゴールではないと思います。
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この後、下記のトピックで、対談が続きます。
●「人員増=成長」という前提を問い直す
●高い熱量の人たちが力を発揮できる、その状態を整えるのが人事の役割
●事業や組織ごとに異なる制度が並走する、そんな形があってもいい
●なぜこれからの人事には「つなぎ役」が求められるのか
