ProFuture株式会社が運営するHR総研は2026年3月16日、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、一般社団法人人的資本と企業価値向上研究会と共同で実施した「人的資本調査2025」の分析レポートを発表した。調査期間は2025年9月10日~12月8日で、160社(うち上場企業84%)から回答を得ている。同レポートでは、企業における人的資本経営と開示の取組状況について、体制整備や戦略、投資、データ活用、開示・対話など複数の観点から分析している。

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HR総研「人的資本調査2025」分析レポートを発表―エンゲージメント重視のほか、「財務との接続」は13%でSSBJ基準対応に課題か

人材戦略における「エンゲージメント」重視は50%。前回から10ポイント上昇

人的資本経営への関心が高まる中、企業には単なる人材投資の拡充にとどまらず、その効果を企業価値向上へと結び付けて示すことが求められている。特に今後は、SSBJ基準の適用や開示制度の整備を背景に、人的資本と財務情報の接続が重要なテーマとなると見られる。こうした状況において、企業の人的資本経営は現在どの段階にあるのだろうか。

「人材戦略の中で重要視している指標」を尋ねると、「エンゲージメント」が50%で最多となり、前回調査(40%)から10ポイント上昇した。以下は、「育成」(28%)、「ダイバーシティ」(26%)が続いている。

前回調査と比較すると、上位項目の構成は大きく変わらないものの、「育成」が「ダイバーシティ」を上回り、順位が逆転する結果となった。企業において、従業員の意欲や組織への関与を示すエンゲージメントを重視する動きが一段と強まっていることがうかがえる。人的資本を企業競争力の源泉と捉え、組織パフォーマンス向上に直結する指標として位置付ける企業が増加しているようだ。
人材戦略の中で重要視している指標

「人的資本と財務情報の接続」は13%。SSBJ基準対応に課題か


「人的資本の取組みと財務指標の関連」について、「定性・定量の両面で整理し、財務への影響を開示している」と回答した企業は13%にとどまった。

一方で、「検討できていない、あるいは検討を始めた段階」とした企業は48%と、約半数を占めている。人的資本施策と企業価値向上の関係を、定量的な指標やKPIとして示す段階には至っていない企業が多いことが明らかになった。

今後、SSBJ基準への対応や投資家からの要請が強まる中、人的資本の取り組みをただ開示するだけでなく、収益性や成長性と結び付けて説明するための分析基盤の整備が求められると考えられる。
人的資本の取組みと財務指標の関連

賃上げは進展も“5%未満”が中心。業種間で差も

「平均年間給与の増減率」については、全体として前年度から緩やかな上昇が見られたものの、分布は5%未満のレンジに集中している。賃上げの動き自体は進展しているものの、その水準は限定的であるようだ。

一方で業種別に見ると、「運輸・エネルギー」では平均6.5%と比較的高い伸びを示しており、業種間で差が生じていることがうかがえる。人的資本への投資としての賃上げは一定程度進んでいるものの、その実態は一様ではなく、業界ごとの経営環境や人材需給の違いが反映されているとみられる。
平均年間給与の増減率
本調査から、企業における人的資本経営が「エンゲージメント」などの指標を重視する形で着実に進展している一方で、その効果を企業価値へと結び付けて示す段階には至っていない実態が明らかになった。特に、人的資本と財務情報の接続については対応が進んでいない企業も多く、SSBJ基準など今後の制度対応を見据えた課題が浮き彫りとなっている。今後は、人的資本への投資を実施する段階から、成果を可視化して企業価値創造と結び付ける段階へと進めていくことが求められる。企業にとっては、人的資本施策と財務成果を結び付けるための指標設計やデータ活用の高度化が重要なテーマとなりそうだ。

その他の分析を含む人的資本調査2025の全体分析レポート本編はこちら

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