著者は、人事コンサルタントとして30年以上、等級・報酬・評価制度の設計に携わってきた平康慶浩氏。現場の管理職が抱える育成の悩みを入り口に、人と組織の間に生じるミスマッチを解きほぐしていく。その特徴は、「困った部下」を一括りにせず、背景を三つの型で整理する点にある。言葉と経験が結びついていない「認知系」、上司との関係がこじれた「関係系」、仕組みや職場の空気が行動を生む「構造系」だ。同じ行動でも、原因によって打つべき手は異なる。
本書はさらに、部下は上司が一方的に「育てるもの」ではなく、人が育つ環境を整えることが重要だと主張する。採用時の人材像と現場の役割がずれていたり、評価基準が前例踏襲を促していたりすれば、本人に不足があるように見えても原因は別にある。人事要素は複雑に絡み合うため、採用基準や面接教育だけを改善しても、ミスマッチはすべて解消しない。
制度に起因する問題は、管理職個人の努力では解決できない。かといって、すべてを人事部の責任にすれば、上司が自チームで変えられることまで見失う。管理職が手を伸ばせる範囲と、組織で取り組むべき範囲をどう見分けるか。その思考法を示す本書は、管理職と人事担当者の双方に薦めたい。
【書籍基本情報】
『 「困った部下」は、つくられる。 人事の構造から考えるリーダーのための思考法 』
著者:平康慶浩
出版社:日本経済出版
発売日:2026年9月18日

▼内容紹介
構成は、管理職が直面する一対一の問題から始まり、徐々に視野を組織全体へ広げていく。第1章で「困った部下」が生まれる場面を捉え、第2章で育成がうまくいかない構造を示し、第3章では上司に必要な働きかけを整理する。さらに第4章では、採用・評価・配置を含む人事の仕組みに目を向け、第5章で人が育つ組織をつくる道筋を提示する。上司の「良かれと思って」の指導から部下の心が離れていくメカニズム、部下との関係を壊さずに相手の問題を指摘するテクニック、上司部下関係が凍り付いたときにどう対処するかなど、人事のプロが具体的なシチュエーションを例に、職場の人間関係に行き詰まりを感じるミドルマネージャーへ、新たな悩みの糸口を提示する。
(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
はじめに 部下が育たないのは「何」のせいなのか第1章 「困った部下」が生まれる構造
第2章 なぜ「何回言っても育たない」のか
第3章 「育てる」のをやめ、代わりに上司がすべきこと
第4章 「困った部下」を生み出す組織の真の問題
第5章 人が「勝手に育つ」組織を作るために
▼著者
【平康慶浩(ひらやす・よしひろ)】セレクションアンドバリエーション株式会社代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授。大阪市立大学経済学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(MBA)。アクセンチュア、日本総合研究所などを経て現職。人事・組織分野のコンサルタントとして、企業規模や業種を問わず、人事評価、等級・報酬、教育研修などの制度設計と運用支援を手がけている。
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