株式会社帝国データバンクは2026年9月11日、企業が期待する「活躍年齢」に関する動向アンケートの結果を発表した。調査期間は2026年9月4日~8日で、全国1,289社を対象に実施している。調査結果から、自社の従業員に期待する活躍年齢は平均67.9歳、中央値70歳で、企業に義務付けられている65歳までの雇用確保措置を約3歳上回ることが明らかになった。また、企業規模が小さいほど期待年齢が高い傾向がみられ、現在の従業員最高齢は個別企業で91歳に達している。本記事では、調査結果に添えられた企業の生の声も交えながら、その実態を紹介する。

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「65歳まで」では足りない…活躍年齢の本音は67.9歳、最高齢91歳。助成金・法改正も後押し、定年を年齢で決めない企業も

企業の本音は「67.9歳」、法定基準をすでに超えている

自社の従業員に何歳ごろまで活躍してほしいかを尋ねた結果、全体平均は「67.9歳」、中央値は「70歳」だった。企業には、定年制を設ける場合は「60歳以上」とする義務があり、65歳までの雇用確保措置も課されているが、今回の結果はその基準を3歳近く上回った。企業からは「働ける方は健康であれば75歳までは働いてほしい」(運輸・倉庫、埼玉県)、「人生100年時代に、70歳ぐらいまでは活躍してほしい」(情報サービス、福岡県)といった声が寄せられ、法定基準と現場の期待にはすでに大きな差が生まれている。

【図表1】企業規模別の「期待する活躍年齢」平均

【図表1】企業規模別の「期待する活躍年齢」平均

小規模企業ほど「長く働いてほしい」、その本音の裏側

企業規模別にみると、小規模企業が「68.3歳」、中小企業が「68.1歳」、大企業が「66.8歳」となり、規模が小さいほど期待年齢は高くなった。フリーコメントでは、「中小企業にせっかく入社してくれたのだから、長く勤務してほしいと考える」(電気機械製造、長野県)、「中小企業には新しい人材が入りにくく、昔からの人材を活用していくしかない」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、長野県)といった声も寄せられている。加えて「正社員不足で、若手がおらず、技術の伝承が芳しくない」(機械・器具卸売、愛知県)、「人員確保に苦慮しており経験者にいてもらう方が安心」(建設、岩手県)などといった声からは、採用競争力の弱さが既存従業員への依存度を高めている状況もうかがえる。

業種によって「活躍年齢」への期待はどう違うのか

種別では『農・林・水産』が70.1歳と、唯一70歳を超え、『運輸・倉庫』(68.6歳)、『サービス』(68.5歳)が続いた。一方、『建設』は67.4歳と最も低かった。「昨今の気候等で夏の作業は過酷だが、担い手不足もあり65歳までは現場で頑張ってほしい」(建設、兵庫県)、「大手ゼネコンでは高齢者の場合、現場に入ることを制約されるので60歳以上は難しい」(建設、兵庫県)という声もあり、体力を要する現場業務と、2026年4月施行の労働安全衛生法改正による高年齢労働者の労働災害防止対策の努力義務化が、期待年齢を押し下げている可能性が見てとれる。

なお、本調査は帝国データバンクの業種分類を用いているが、公表結果は大分類単位での平均値であり、細分類ごとの数値は開示されていない。

【図表2】業種別の「期待する活躍年齢」平均

【図表1】企業規模別の「期待する活躍年齢」平均

現役最高齢91歳、「定年」はもう年齢では決まらない

現在の従業員の最高齢を尋ねた結果、平均は「68.3歳」、個別企業でみた最高齢は「91歳」だった。年齢分布は「65~69歳」が26%で最多、以下は「70~74歳」(24.9%)、「60~64歳」(15.6%)と続く。業界別では、『運輸・倉庫』(70.5歳)、『製造』(70.1歳)の2業種が70歳以上となった。また、「正社員は65歳からパート社員として契約ができ、70歳まで働けるように社内規則で策定している」(その他サービス、愛知県)のように制度化する企業もあれば、「定年という制度は元からないので、本人の申告により退社となる」(建設、岩手県)、「年齢で決めず、働ける部門があれば働いてもらう。労働条件等、本人と話し合いをするなかで決めている」(化学品製造、神奈川県)、「定年制を廃止した。働けなくなったときが定年」(建設、活躍年齢85歳)などといった声もあり、定年という概念自体を持たない企業も少なくないようだ。

【図表3】現在の従業員最高齢の年齢分布

【図表1】企業規模別の「期待する活躍年齢」平均

人手不足を支える「活躍年齢」65歳超雇用推進助成金と法改正が後押し

ベテラン従業員への期待は幅広い業種で共通している。「積み重ねたキャリアを生かせる仕事をしてほしい」(不動産、活躍年齢70歳)、「経験に基づいた仕事・技術・知識の伝承も含め健康であれば活躍してほしい」(化学品製造、65歳)、「積極的に高齢者の雇用をしている。経験豊富であることが強みで、仕事に対しての向き合い方も断然違う」(飲食店、70歳)、「社長の年齢と同じ年齢までは働いてほしい」(その他の卸売、72歳)、「働けるうちは働いてほしい。体力的にもメンタル的にも仕事を続けて元気な時間を過ごしてほしい」(メンテナンス・警備・検査、75歳)など、経験と技術伝承への期待が根強い。一方で、「長く働いてもらえるのはありがたいが、部署や従事する業務内容によっては60歳を超えたあたりから厳しくなる職種もある。中小企業では業務量を減らしたり配置転換したりするのが難しい」(家具類小売、70歳)という現実的な悩みも聞かれ、期待と実務対応のギャップが課題となっていることが分かる。
企業が期待する活躍年齢は平均67.9歳と、法定基準を3歳近く上回り、小規模企業ほど期待が高い傾向が明らかになった。65歳超雇用推進助成金(令和8年度に受給額を最大240万円に拡充)などの公的支援策の活用も、こうした企業の期待を実務に落とし込む有効な手段になり得るだろう。また、2026年4月施行の改正労働安全衛生法により、高年齢労働者の労災防止対策が事業者の努力義務となった点も踏まえると、人事担当者には定年制度の柔軟化と安全配慮の両立に向けた対策が求められそうだ。


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