人事制度や人材育成の仕組みは、社会や経営環境の変化に応じて更新されていく。一方、新たな制度や施策の導入自体が目的になれば、「何を変えるための改革なのか」「個人と組織の関係をどう捉えるのか」という本来の問いが置き去りになりかねない。過去の改革を振り返ることは、現在の人事課題を捉え直すうえでも重要である。
本書『人事・組織改革とキャリアデザインを拓く 高橋俊介オーラルヒストリー』は、日本の人事改革とキャリアデザイン論を牽引してきた高橋俊介氏の仕事史を、本人の語りから描いた一冊だ。大学での学びや国鉄での経験、海外留学、コンサルティングの世界への転身、人事・組織改革の実践、大学での研究・教育までをたどりながら、高橋氏の人事思想とキャリア論がどのように形づくられたのかを明らかにしている。
本書を監修した梅崎修氏、島西智輝氏、南雲智映氏は、オーラルヒストリーの手法を用いて、日本の雇用・人事制度の形成過程を研究してきた。3氏の共著『日本的雇用システムをつくる 1945-1995――オーラルヒストリーによる接近』は、制度構築に携わった当事者への聞き取りをもとに戦後日本の雇用システムを分析した研究書で、第38回冲永賞を受賞している。
こうした研究蓄積を持つ3氏が監修を担うことで、高橋氏個人の歩みを記録するだけでなく、その仕事や思想を日本の人事・組織改革の歴史のなかに位置づけている点が本書の特徴だ。高橋氏の経験や問題意識、出会い、キャリア上の転機をたどりながら、個人が主体的に学び、自らのキャリアをつくるための考え方にも迫っている。
人的資本経営やキャリア自律が重視されるなか、人事には制度や施策を導入するだけでなく、その前提にある人間観、組織観、キャリア観を問い直すことが求められる。日本の人事改革を切り拓いてきた実践者の歩みを通じて、自社の人事施策が「何を実現するためのものなのか」を改めて考えたい人事担当者に薦めたい。
【書籍基本情報】
人事・組織改革とキャリアデザインを拓く 高橋俊介オーラルヒストリー
著者:高橋俊介
監修:梅崎修/島西智輝/南雲智映
出版社:千倉書房
発売日:2026年8月12日

▼内容紹介
日本の人事改革の中枢に立ち、キャリアデザイン論を牽引してきた高橋俊介氏。その仕事史を本人の語りから描き、人事思想とキャリア論が生まれた背景をたどるオーラルヒストリーである。大学と職場組織での学びを出発点に、海外留学、コンサルティング業界へのキャリアチェンジ、人事・組織改革の実践、大学での調査・教育へと至る歩みを収録。高橋氏は国鉄、マッキンゼー、ワイアットを経て独立し、個人主導のキャリア開発や組織の人材育成に関する研究・コンサルティングに従事してきた。
本書では、こうした経験を時系列で振り返るだけでなく、組織のなかに共創の空間をどのようにつくるのか、個人が主体的にキャリアを形成するために何が必要なのかを掘り下げている。人事・組織改革とキャリアデザインを別々のテーマとしてではなく、個人と組織の関係をめぐる一つの問題として捉え直すための視点を提供する一冊だ。
(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
第1章 学びの原点-大学と職場組織第2章 海外で学び、コンサルティングの世界へ-留学体験からキャリアチェンジ
第3章 人事コンサルタントへと踏み出す
第4章 組織の中に共創の空間を生み出す
第5章 大学の世界に飛び込む-調査と教育
第6章 高橋流・キャリア論
第7章 キャリアデザインを支える学び方-独学力と世界観
▼著者
【高橋 俊介(たかはし しゅんすけ)】ピープルファクターコンサルティング代表。
1978年、東京大学工学部航空工学科卒業後、日本国有鉄道に入社。1984年、プリンストン大学大学院工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社した。1989年にワイアットへ入社し、1993年に代表取締役社長に就任。1997年に独立し、ピープルファクターコンサルティングを設立した。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・特任教授、慶應義塾大学SFC研究所上席所員などを歴任。個人主導のキャリア開発や組織の人材育成をテーマに、研究、コンサルティング、人材育成支援に携わってきた。
主な著書に『キャリアショック』『新版 人材マネジメント論』『21世紀のキャリア論』『人材マネジメント革命』『自分らしいキャリアのつくり方』などがある。
▼監修者
【梅崎 修(うめざき おさむ)】法政大学キャリアデザイン学部教授。大阪大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。専門は労働経済学、人的資源管理論、労働史、オーラルヒストリー。人材マネジメントやキャリア形成、日本的雇用システムについて調査・研究している。
【島西 智輝(しまにし ともき)】
立教大学経済学部教授。慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(商学)。専門は日本経済史・経営史で、労使関係、人事労務管理、労働組合、オーラルヒストリーなどを研究している。
【南雲 智映(なぐも ちあき)】
神奈川大学経営学部教授。専門は人的資源管理論。人事担当者や労働組合リーダー、人事コンサルタントへの聞き取りを通じて、日本の雇用システムの形成過程や人事制度改革、労使関係をオーラルヒストリーの手法で研究している。
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