厚生労働省(以下、厚労省)「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック」によると、『互いに認め合う文化の醸成は、これまでの仕事が周りに認められたことを認識し、やりがいを感じることにつながります。具体的な行動例の1つとして、こまめに感謝を伝えることが挙げられます。』と掲載され、 “感謝” をポイントにしています。今回は、 “感謝” の意義に関して、紐解いて解説していきます。

働きがいとエンゲージメント向上のポイント~「感謝」を伝え合う組織風土をつくるために~

厚労省資料にある「仕事の意味や面白さを見出せるよう働きかける」ことの意義

まず、厚労省「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック(以下、厚労省資料)」で、次のような『働きがい向上に必要な6つの取組』を掲げています。

(1)働きがいの現状を確認する
(2)柔軟・多様・快適な労働環境を整備する
(3)仕事の意味や面白さを見出せるよう働きかける
(4)従業員と組織の方向性を一致させる
(5)納得感ある評価や処遇を導入する
(6)能力・キャリア開発を充実させる


今回は「(3)仕事の意味や面白さを見出せるよう働きかける」を取り上げます。厚労省資料は、次のように記載されています。

⇒目の前の業務が今後どのような成果につながっていくのか、上司から部下へ伝えましょう。今の仕事が、この先どのような成果につながり、誰の役に立てるのかを明確化することで、自身の業務の意義を把握してもらうことができます。

⇒互いに認め合う文化の醸成は、これまでの仕事が周りに認められたことを認識し、やりがいを感じることにつながります。具体的な行動例の1つとして、こまめに感謝を伝えることが挙げられます。その結果、感謝された側は次もまた誰かの役に立とうと、自律的に高いアウトプットを出すようになります。上司からだけでなく、従業員同士などでも互いに褒め合い、認め合う文化の醸成に取り組みましょう。

⇒従業員が自分で工夫や意思決定をできるよう、裁量の余地を残した仕事の割り振りをしましょう。さらに、自分の強みを活かし、重要だと考える業務を自分の役割に取り込んでいくこと(ジョブ・クラフティング)を促していくことも有効です。最初は戸惑うことも多いですが、部下の強みや関心を対話しながら引き出したり、職場で実現できそうなジョブ・クラフティングを一緒に考えたりすることで、少しずつ取り組めるようになるでしょう。

これらを踏まえて「柔軟・多様・快適な労働環境を整備する」ための3つのポイントをまとめてみました。

ここで、コミュニケーションのポイントとなってくるのが「感謝」です。「感謝」をどのように伝えることが効果的なのかを、3つのステップに分けて掘り下げていきます。

ステップ(1):感謝を “日常の挨拶” として捉える

ここでは、感謝の言葉を『ありがとうございます』としてみます。仕事の場面でいえば、何か成果が出たとき、仕事をサポートしてくれた時などに『ありがとうございます』と伝えるかもしれません。一方で、何かあった時に対して『ありがとうございます』と伝えることが目的になってしまうと、言うことに構えすぎてしまい、感謝を伝える機会が限定してしまうことも考えられます。

例えば「いただきます」、「お疲れ様でした」などは “日常の挨拶” の典型例ですが、「いただきます」は命をいただくという感謝の意味もありますし、「お疲れ様でした」は1日の仕事に対しての労いの感謝の意味もあります。このように『ありがとうございます』も “日常の挨拶” のような身近な言葉として捉えましょう。

例えば、「すみません」、「了解しました」などの言葉を『ありがとうございます』と言い換えることもできます。「すみません」という謙遜するような表現よりも、『ありがとうございます』という自らの気持ちを伝える表現の方が、互いに認め合う文化の醸成には効果的です。

ステップ(2):「感謝したいこと」を具体的に伝える

感謝の言葉を挨拶として定着させることで、その言葉にバリエーションが生まれます。先ほど例に挙げました「何か成果が出たとき」、「仕事をサポートしてくれた時」などに、どのように『ありがとうございます』を伝えるかを意識してみましょう。

その際の留意点は「感謝したいこと」を具体的にすることです。例えば、次のような伝え方です。

●成果が出たのは、~をしてくれたおかけです。ありがとうございます。
●たいへんだった時に、~のサポートをしてくれたので励みになりました。ありがとうございます。


もちろん「ありがとうございます」だけでも、十分にその意図が伝わる場面もあります。しかし「ありがとうございます」に具体的な内容を添えることで、自らの気持ちをより伝えることができますし、相手が “自信” を持つことにつながることもできます。

その “自信” こそが、相手の “働きがい” の源になっていきます。

ポイント(3):「感謝の言葉」からコミュニケーションを始める

「感謝したいこと」を具体的に伝えることで、次のコミュニケーションが生まれやすくなります。具体的に伝えることで、相手が何かしらの反応を示し、次の展開が明確になっていきます。

例えば、以下のような反応です。

●相手からも感謝の言葉が伝えられ、互いに働きやすい関係性が生まれる。
●相手から感謝を受けた理由に関する質問をされることで、質の高い仕事へとつながっていく。
●相手が謙遜する中で、普段、心配していることなどを伝えてくる。


どのような反応であったとしても、反応してきたことに大きな意義があります。その反応は、感謝の言葉が起点となっているからこそ、 “肯定的なコミュニケーション” が展開されます。

その “肯定的なコミュニケーション” こそが、職場に “働きがいの循環” を生み出します。ぜひ、研修や社内報などをきっかけに、会社の中で “感謝” をキーワードにしていきましょう。
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