8割以上の学生が初任給額を重視

最後に、最近話題に上がることが多くなっている「初任給の引き上げ」に関連して、「初任給」に対する学生の意識を確認してみましょう。

まず、志望企業の選択において「初任給」をどの程度重要視しているかを確認したところ、文系・理系ともに「少し重視している」が最多でそれぞれ47%、46%となっており、「とても重視している」(文系36%、理系42%)と合わせると、“重視している派”の割合は文系で82%と8割を超え、理系では89%とほぼ9割にも上っています[図表14]。大多数の学生が初任給も考慮して志望企業を選択していることがうかがえます。ちなみに「全く重視していない」と回答したのは、文系でわずか1%だけで、理系では皆無でした。
[図表14]志望企業の選択における「初任給」の重視度
また、望ましい初任給額を聞いてみたところ、「25万円以上」が最も多く文系で42%、理系で32%となっています[図表15]。次いで、文系では「22万円以上」が18%で続きますが、理系では「27万円以上」も31%と1ポイント差で続いています。大手企業では、今春あるいは来春の初任給を30万円台に引き上げる報道が続きましたが、ここでは少し金額を下げて「27万円」を基準として、「27万円以上」~「40万円以上」の合計で比べてみます。文系では27%と3割を下回るものの、理系ではそのちょうど2倍の54%に上り、過半数を占めています。文系より理系のほうが、大手志向であるとともに、高い初任給を望んでいる学生が多い傾向にあることがうかがえます。
[図表15]望ましい初任給額
これらを大学区分別に見てみましょう。志望企業の選択における「初任給」の重視度については、「とても重視している」に違いが表れており、「旧帝大クラス」や「早慶大クラス」の割合は27%と31%で、「その他国立大」や「中堅私立大」の54%、「上位国公立大」の50%より顕著に低くなっています[図表16]
[図表16]志望企業の選択における「初任給」の重視度(大学区分別)
ただし、大学区分別に望ましい初任給額を比べると、「旧帝大クラス」や「早慶大クラス」の学生が希望する具体的な額では、「27万円以上」~「40万円以上」の合計がそれぞれ61%、54%となっており、12%の「その他私立大」を筆頭に、他の大学区分の学生より高い給与を望んでいることが分かります[図表17]。このような背景としては、そもそも「旧帝大クラス」や「早慶大クラス」の学生が志望する企業規模は大手が多く、給与水準が高い層であることが推測され、あえて初任給を強く意識して重要視する必要がないのだろうと推察されます。
[図表17]望ましい初任給額(大学区分別)
次回も、引き続き「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の結果から、具体的な就職活動の傾向を見ていきます。

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