採用計画の2倍以上の内定を出さざるを得ない中堅企業

新卒学生の採用活動では、内定(内々定)を出した学生全員が承諾してくれるとは限らず、過去の経験から一定数の辞退者が出ることを見越して、採用計画数よりも多めの内定を出す企業が増えています。その「割り増し度合い」について確認してみたところ、全体では「1.2倍程度」が35%で最多となり(前回26%)、前回調査で最多だった「1.0倍(採用計画数と同じ)」(31%、前回41%)を上回りました[図表4]。「1.5倍程度」は22%で前回(23%)と同様に2割程度となっています。

従業員規模別で見ると、大企業では「1.2倍程度」が42%と4割を超えて最も多く、次いで「1.5倍程度」(24%)が続き、「1.0倍(採用計画数と同じ)」(21%)を上回っています。中堅企業でも最多は「1.2倍程度」の38%で、次いで「1.0倍(採用計画数と同じ)」と「1.5倍程度」がともに20%で並んでいます。一方、中小企業では採用人数自体が少ない企業も多いことから、「1.0倍(採用計画数と同じ)」が48%と半数近くになっており、次いで「1.2倍程度」(27%)、「1.5倍程度」(23%)となっています。

採用計画数に対して「2倍以上」(「2.0倍程度」と「2.5倍以上」の合計)の内定出しを行っている企業の割合を見ると、中小企業がわずか2%で最も低く、大企業で12%となっているのに対し、中堅企業では23%と4分の1近くにも上っています。もちろん、最初から採用計画の「2倍以上」の内定を出すことは、内定承諾の歩留まりが高かった際のリスクを考えると慎重にならざるを得ません。実際には、何段階かに分けて内定出しを行い、辞退状況を確認しつつ、不足が見込まれる場合には追加の内定出しを行っていった結果、内定出しの総数が当初計画の「2倍以上」に達したと推測されます。この回答や推測が学生の内定辞退率の高さの証左でもあり、新卒採用活動において中堅企業が置かれている厳しい状況がうかがえます。
[図表4]2026卒採用における採用計画数に対する内定出しの割合
ここ数年、毎年のように「内定辞退が増えた」とよくいわれますが、実際の内定辞退率はどうだったのでしょうか。まず、全体で見ると、内定辞退率が「0%」、つまり内定辞退が1人も出なかった企業は15%で、前回調査の26%から大きく減少しています[図表5]。「10%未満」が20%、「10~30%未満」が21%となっており、これらを合計した「内定辞退率3割未満」は56%で、前回調査の61%から5ポイント減少しています。

従業員規模別に見ると、内定辞退率は内定者数の影響が大きいため、「0%」の割合は内定者数の少ない中小企業が最も高く、29%と3割近くになっています。ただ、この割合は、前々回調査56%、前回調査44%と、年々大きく減少傾向にあります。中小企業は採用人数が少ない分、各内定者にきめ細やかな対応ができていると思われがちですが、仮にそうだとしても、必ずしも内定承諾~入社まで円滑に進むわけではなくなってきている様子がうかがえます。

また、中堅企業に着目すると、「50~70%未満」15%、「70~90%未満」13%となるなど、「50%以上」(「50~70%未満」~「100%」の合計)は31%と約3割に達し、大企業の6%、中小企業の15%とは大きな開きがあります。[図表4]の内定出しの割り増しでも見られたように、こちらも中堅企業の厳しさを表す結果となっています。
[図表5]2026年卒採用における内定辞退率
「これまでとは変わったなと思う内定辞退の理由」をフリーコメントで回答してもらいましたので、その一部を抽出して紹介します。「初任勤務地が未確定」「実家通勤」「オヤカク」「給与」などのキーワードが挙がっています。

・内定時点で勤務地が未確定(卒業後の即時転居の有無が分からない)という理由での辞退(1001名以上、メーカー)
・初任地確約が当たり前になっている(1001名以上、メーカー)
・自宅から通勤可能圏内での勤務希望者が増加した(1001名以上、サービス)
・ここ数年で「実家から通える会社」「実家から近い会社」が内定受諾要因として重視されているという話をよく聞くようになった(300名以下、情報・通信)
・オヤカクによる内定辞退(301~1000名、メーカー)
・親起因での辞退が多くなった。親に相談した結果、辞退しますと伝えてくるケースが多々ある(301~1000名、メーカー)
・給与面で「最低でも提示額の2倍をもらわないと足りない」との回答が複数件あった(301~1000名、メーカー)
・給与・待遇を理由とする辞退率が増えた(301~1000名、運輸)
・10月1日の内定式に代わるイベントの招待を行ったところ、返答にて内定辞退の申し出があった。承諾期限を3度延長し、その間丁寧に説明等を実施したにもかかわらず、このようなタイミングで辞退されたのは初めて(300名以下、メーカー)
・内定受諾後の辞退が25卒よりも圧倒的に増えた。何のための内定受諾なのか? 大学のキャリアセンターも学生の権利としてあおっている風潮がある(301~1000名、情報・通信)
・学生ごとに多様な理由での辞退が多くなってきた。地元の中堅企業を選ぶ学生がいたり、大企業を選ぶ学生がいたり、業務内容で隠れた優良企業を選ぶ学生がいたりと、場所、仕事内容、待遇など、企業を選ぶ軸が画一的でなくなってきた(301~1000名、メーカー)

ターゲット層獲得にも苦戦する中堅企業

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