「2024年5月」までに半数が就職活動を開始

就職活動の開始時期については12月調査でも実施しましたが、「2024年5月以前」という回答が理系で半数を超えたこともあり、選択肢の項目を増やして再度実施してみました。

文系で最も多かったのは「2024年6月」18%で、次いで「2024年4月」17%、「2024年5月」13%と続き、この3カ月だけで48%と半数近くに及びます[図表4]。「2023年12月以前」から「2024年5月」までを合わせた“2024年5月以前”は45%と、こちらも半数近くになっています。

一方、理系では「2024年4月」が24%で最多となっており、次いで「2024年6月」21%、「2024年5月」18%と続き、この3カ月だけで63%と6割を超えています。“2024年5月以前”は50%とちょうど半数となっています。2024年4~6月が就職活動を開始するピークを形成しており、従来からの就職ナビがインターンシップサイトとしてプレオープンする「2024年6月」時点で就職活動を開始する学生は、実際にはもう後半のスタート組となっている実態がうかがえます。
[図表4]就職活動の開始時期
この就職活動の開始時期を大学グループの区分別で見たものが[図表5]です。大学を「旧帝大クラス(旧7帝大+一橋・東京科学など)」「早慶大クラス(早慶上智+同志社・関学)」「上位国公立大(筑波・お茶の水・千葉・横国・岡山・熊本など)」「上位私立大(GMARCH+東京理科・ICU+南山+関西・立命など)」「その他国公立大(秋田・埼玉・新潟・信州など)」「中堅私立大(日東駒専+東京4理工+愛愛名中+産近甲龍など)」「その他私立大(大東亜帝国+摂神追桃など)」の七つのグループに便宜的に区分し、その特徴を比較してみました。

「2023年12月以前」から「2024年4月」までを合わせた“2024年4月以前”に開始しているのは、「旧帝大クラス」45%、「早慶大クラス」43%と4割を超えています。一方、「中堅私立大」では22%、「その他私立大」ではわずか14%にとどまっています。このように、大学区分によって就職活動の開始時期には顕著な違いが見られます。特に、「2024年4月」の学生の動きについては、「旧帝大クラス」が3割、「早慶大クラス」「上位国公立大」「上位私立大」は少なくとも2割以上が開始しているのに対し、「その他国立大」と「中堅私立大」は1割台、「その他私立大」では2%にとどまっており、この4月で大学区分による動き方の違いが明確になったことが分かります。また、「その他私立大」ではまだ半数にも達していない「2024年6月」の段階で、「早慶大クラス」は既に9割以上の学生が就職活動を開始するなど、突出した動きになっています。「早慶大クラス」を採用ターゲットとする場合には、採用活動時期について留意しておく必要がありそうです。
[図表5]就職活動の開始時期(大学区分別)

最も志望する業界、文系・理系ともに「情報処理、システム開発」

次に、志望業界について文系と理系に分けて見てみましょう。最も志望する業界を三つまで選択してもらったところ、最も票を集めた業界は文系・理系ともに「情報処理、システム開発」で、それぞれ20%、26%となっています[図表6]。DX化やAI活用の急速な進展、それに伴うIT人材の需要の高まりなど社会の動きを見ながら、自身の専攻分野にかかわらず「情報処理、システム開発」に人気が集まる傾向にあるものと推測されます。

2位以下については文系と理系で異なっており、文系では2位が「地方銀行、信用金庫」(19%)、3位が「通信、ネットワーク」(18%)、そして4位に「メガバンク、信託銀行」(17%)などとなっています。これまで上位に挙がってきた「総合商社、専門商社」は12%で6位にとどまり、近年は人気が回復傾向にある「メガバンク、信託銀行」より「地方銀行、信用金庫」のほうが上位に挙がっているという変化が見られています。海外転勤はおろか、転居を伴う国内転勤すら敬遠傾向にある、地元志向の強い学生が増加している可能性がうかがえます。

一方、理系では2位に「紙、パルプ、化学、素材」(21%)、3位に「電機機器、電気電子部品」(20%)、4位「機械」(19%)などとなっており、学生それぞれの専攻分野を活かした業界を志望していることが推測されます。

ちなみに、2021年新卒学生を対象として2020年3月に実施した調査(以下、21卒調査)での結果では、文系のTOP5は、1位「総合商社、専門商社」、2位「情報処理、システム開発」、3位「水産、農林、食品」、4位「建設、住宅、不動産」、5位「人材、教育」「放送、新聞、出版」「ホテル、旅行」(3業界が同率)となっており、「地方銀行、信用金庫」は15位、「メガバンク、信託銀行」は16位でした。逆に、今回の調査で「放送、新聞、出版」は18位、「ホテル、旅行」は20位となるなど、時代とともに学生の志向が大きく変化していることが分かります。

一方、理系のTOP5は、21卒調査でも1位「情報処理、システム開発」、2位「電機機器、電気電子部品」、3位「紙、パルプ、化学、素材」、4位「水産、農林、食品」、5位「通信、ネットワーク」となっており、今回4位の「機械」は8位でした。理系学生は、それぞれの専攻分野と関連した業界を選択しがちであることに変わりはなく、文系と違ってそれほど大きな変化は見られません。
[図表6]志望業界TOP10(複数回答、三つまで)

敬遠したい業界、「外食」を抜いて「建設、住宅、不動産...

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