今回、HR総研では企業におけるウェルビーイング推進の実施状況、浸透度、推進体制、施策の特徴、AI・HRテックの効果実感などについて調査を行った。本稿では、そのうち「ウェルビーイング」に関する結果を項目別に報告する。
「ウェルビーイング推進」重視企業は年々増加。施策実施は大企業で7割に
まず、企業におけるウェルビーイング推進の重視度について見ていく。
2025年調査では、「重視している」と「やや重視している」を合計した「重視している派」の割合が48%となり、約半数の企業がウェルビーイング推進を経営や人事施策の重要課題として捉えていることが分かる(図表1‐1)。これは2024年調査から6ポイントの上昇、さらに2022年調査からは11ポイントの増加と、企業の意識が着実に高まっている様子を示している。一方で、「重視していない」と「あまり重視していない」を合計した「重視していない派」は27%と、2022年の34%から7ポイント低下した。これにより、従来はウェルビーイングの優先度が低かった企業でも、その重要性を認識する傾向が強まっていることがうかがえる。
【図表1‐1】ウェルビーイング推進の重視度 経年変化

企業におけるウェルビーイングの実現に向けた取り組みも、ここ数年で着実に拡大している。今回の調査では、「実施している」(33%)と「実施に向けて準備中・検討中」(33%)を合計した「ウェルビーイング推進に前向きな企業」(以下同じ)の割合が66%となり、7割に迫る水準まで増加(図表1-2)。過去の調査結果と比較すると「実施している」の割合は徐々に上昇しており、特に2024年調査(28%)からは5ポイントの上昇、さらに2022年調査(21%)からは12ポイントも上昇している。
【図表1‐2】「ウェルビーイング」の実現に向けた取組みの実施状況 経年変化

今回調査の結果を企業規模別に見てみると、従業員数1,001名以上の大企業では「実施している」の割合が67%と7割に迫り、301~1,000名の中堅企業(27%)や300名以下の中小企業(18%)と比べて、顕著に高い水準となっている(図表1-3)。さらに、「ウェルビーイング推進に前向きな企業」の割合で見ると大企業では91%に達し、ほぼすべての企業で何らかの取り組みが行われていることが分かる。
一方、中堅・中小企業においてもウェルビーイング推進は着実に拡大している。2024年調査と比較すると、「ウェルビーイング推進に前向きな企業」の割合は中堅企業では48%から62%へと14ポイントもの上昇、中小企業では51%から54%に3ポイント上昇しており、企業規模にかかわらず推進に前向きな企業の割合は増加傾向にあることがうかがえる。特に中堅企業では導入意欲の高まりが顕著で、今後のさらなる浸透拡大も見通される。
この結果から、ウェルビーイング推進は大企業を中心に先行しているものの、中堅・中小企業においても段階的に拡大しており、企業規模を問わず今後の企業活動における重要なテーマとなりつつあることが読み取れる。
【図表1‐3】「ウェルビーイング」の実現に向けた取組みの実施状況(企業規模別) 経年変化

企業におけるウェルビーイング推進の目的・実施施策とは?
企業がウェルビーイング推進に取り組む目的として、最も多いのは「社員のエンゲージメントの向上」で63%、次いで「社員のモチベーションの向上」が62%と僅差で続いており、ともに6割以上に上っている(図表2‐1)。企業は、まず社員個人の主体的な働きがいを高めることを主要な目的としていることが分かる。また、「企業価値の向上」や「社員の幸福感の向上」もともに58%と6割近くに上っており、ここまでが半数を超えて多数回答となった。企業としては、社員の主体的な働きがいを高めるとともに幸福感の向上も図り、さらには企業価値の向上にも繋がるという、相乗効果を期待した取り組みとなっているのだろう。
【図表2‐1】ウェルビーイング推進の目的

このような目的を踏まえて、企業が推進する社員のウェルビーイング実現のために実施している施策を見ると、最も多いのは「健康経営の推進」で52%となった(図表2-2)。過半数の企業が社員の健康管理や生活習慣改善に注力していることが分かる。これに次いで「長時間労働の是正」と「多様な働き方の推進」がいずれも50%、さらに「社内コミュニケーション活性化」が48%で半数程度となっている。これらの施策は、社員の心身の健康を守るだけでなく、働きやすい環境づくりや組織内の円滑な情報共有を通じて、心身の健康及び社会的なウェルビーイングの向上にも繋がる取り組みであることがうかがえる。
【図表2‐2】ウェルビーイング実現に向けた実施施策

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】ウェルビーイングとAI時代の働き方に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2025年10月6~15日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:215件
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