近年、従業員の価値を最大限に引き出すことによる中長期的視点の企業価値向上を目指し、「ウェルビーイング経営」や「健康経営(R)」への注目が改めて高まっている。
テレワークをする従業員が増えることで、運動不足やメンタル面での不調など、
個人の健康管理における新たな課題も見られる中、企業はどのようにウェルビーイングや健康経営に取り組んでいるのだろうか。
HR総研では、各企業におけるウェルビーイングや健康経営に向けた取り組みや課題、成果等に関するアンケートを実施した。
その結果を2回に分けて報告する。今回は「健康経営」について以下に報告する。

※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


<概要>
●健康経営の実践、大企業で6割の一方、中小企業で普及が進まず2割
●実践期間、大企業では「コロナ禍以前から」が6割、中小企業では「コロナ禍以降から」が7割
●経営戦略等での位置づけ、大企業では6割の一方、中小企業では3割未満
●「課題把握や施策のためのヘルスデータ活用」で企業規模による差が顕著
●「従業員が積極的に取り組んでいる」は8割、実践期間5年以上では9割超
●経営戦略等への位置付け、健康経営の効果に影響
●健康経営関連予算の増加、「従業員の離職リスク軽減」に効果か
●「全般的な効果・メリットの見える化」が最大の課題、実践期間による変化も

健康経営の実践、大企業で6割の一方、中小企業で普及が進まず2割

まず、「健康経営」の実践状況について企業規模別に見てみる。
従業員数が1,001名以上の大企業では、「実践している」が59%で6割に上る。「導入を準備中/検討中」(11%)まで含めると、70%の企業が健康経営の実践に前向きな意向を示しており、大企業ではすでに広く普及していることがうかがえる。301~1,000名の中堅企業では「実践している」と「実践していない」がともに42%で二分しているが、「導入を準備中/検討中」(17%)を「実践している」と合わせると、59%と6割の企業が前向きであることがうかがえる。そして300名以下の中小企業を見ると、「実践していない」が60%で多数派となっており、「実践している」は20%にとどまっている。
この結果から、「健康経営の実践」は企業規模により傾向が異なっており、企業規模が大きいほど、実践する企業の割合が高くなっていることが分かる。特に、中小企業での実践状況に課題があるようだ(図表1)。

【図表1】企業規模別 「健康経営」の実践状況

HR総研:「健康経営とウェルビーイング」に関するアンケート 結果報告【健康経営編】

実践期間、大企業では「コロナ禍以前から」が6割、中小企業では「コロナ禍以降から」が7割

健康経営を実践している企業における「実践期間」を、企業規模別に見てみる。
大企業においては、「3~5年未満」が最多で34%、次いで「2~3年未満」が16%などとなっている。「3年以上」(「3~5年未満」~「10年以上」の合計)の割合は57%と6割近くに上っている。中堅企業では、「2~3年未満」と「3~5年未満」がともに21%で、「3年以上」の割合は46%と半数近くとなっている。中小企業では「1年未満」が最多で39%と4割に上っており、「3年以上」の割合は29%と3割にとどまっている(図表2)。
実践期間に関する企業規模による傾向としては、企業規模が大きいほど実践期間が長くなっていることがうかがえる。大企業ではコロナ禍以前である3年以上前から実践している企業が多数派であるのに対し、中小企業ではコロナ禍に入ってから取り組み始めた企業が多数派となっている。

【図表2】企業規模別 健康経営の実践期間

HR総研:「健康経営とウェルビーイング」に関するアンケート 結果報告【健康経営編】

経営戦略等での位置づけ、大企業では6割の一方、中小企業では3割未満

次に、「経営戦略や経営方針での位置づけ」の状況について見てみる。
こちらも企業規模による違いが顕著となっており、「位置づけられている」の割合について大企業では61%と6割を占め、中堅企業では54%と過半数に上る一方、中小企業では27%と3割未満にとどまる状況となっている。ただし、「位置づけられる予定である」の割合が32%であることから、中小企業でも数年後には「位置づけられている」とする企業が多数派となることが期待される(図表3-1)。
健康経営を経営戦略等に盛り込むということは、会社としての健康経営への本気度を示すものである。企業全体での取組みとして推進力強化に繋がり、公的認証の取得状況にも経営戦略等に盛り込まない企業群との差異が表れていることが、HR総研の昨年調査(2021年、HR総研:健康経営に関する調査 結果報告【図表6-2】)からも示されている。

【図表3-1】企業規模別 経営戦略や経営方針での位置づけ

HR総研:「健康経営とウェルビーイング」に関するアンケート 結果報告【健康経営編】

健康経営の実践期間別に「位置づけられている」の割合を見ると、「5年以上」と「3~5年未満」の企業群ではそれぞれ67%、70%となり、ともに7割程度に上っている。一方、「3年未満」では29%にとどまり、これから「位置づけられる予定」とする割合が35%となっている(図表3-2)。

【図表3-2】実践期間別 経営戦略や経営方針での位置づけ

HR総研:「健康経営とウェルビーイング」に関するアンケート 結果報告【健康経営編】

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:人事向け:【HR総研】「ウェルビーイングと健康経営」に関するアンケート        
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年9月26~10月3日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:221件

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