
「中長期取得者がいる企業」は「短期取得のみの企業」より効果実感が10ポイント以上高く
男性育休取得に関する調査の前編では、男性育休の実態や企業と従業員が抱える課題が明らかとなった。男性育休の取得を推進するためには、実態と課題感の把握だけでなく、育休取得の効果についても知っておきたいところだろう。後編では、調査結果からわかった男性育休取得の効果について見ていく。まずパーソル総合研究所は、取得期間別に「男性の育休取得による効果」を比較した。すると、中長期(1ヵ月以上)の取得者がいる企業(計476社)と、短期(1ヵ月未満)の取得者がいる企業(373社)で、大差がある上位3項目は、「従業員の自主的な行動促進」(12.1ポイント)、「業務の見直しや属人化解消」(11.7ポイント)、「従業員の視野拡大」(11.5ポイント)だった。中長期の取得者がいる企業は短期の取得者のみの企業より、育休取得の効果を実感している割合が10ポイント以上高いことが示された。

取得率5%までは取得率の上昇に伴い効果実感も向上。中長期取得者がいるほど実感度は顕著に
続いて、人事・経営層(過去に男性育休取得者がいた企業)を対象として、男性の育休取得状況ごとの「育休の効果実感」を聞いた。その結果、中長期(1ヵ月以上)の取得者がいない場合でも、取得率が5%になるまでは取得率が上がるにつれて2割強~4割弱へと数値が上がり、効果を感じていることがわかった。一方、中長期の取得者がいる場合では、取得率が5%~80%未満の企業で効果を感じている割合が約5~6割と、高い数値だった。
中期育休を取得した男性は「業務の見直しや属人化解消」などの効果実感が高く
次に同社は、男性育休取得者(500名)を対象に、取得期間ごとの「本人の変化実感」について尋ねた。すると、2週間以上3ヵ月未満の中期の育休を取得した男性は、短期取得者(2週間未満)と比べて、「モチベーションの向上」(14.5ポイント差)や「継続就業意向の向上」(13ポイント差)、「業務の見直しと属人化解消」(21.5ポイント差)につながったと感じている割合が高かった。
育休取得した男性の約3~5割で「対人力」と「タスク力」向上
さらに同社は、男性育休取得者(500名)に、どのような変化を感じているかを尋ねた。すると、育休を取得した男性の約3~5割が「ヘルプシーキング力」、「多様な人材への理解力」、「関係調整力」、「ネットワーク構築力」といった「対人力」の向上を感じていた。特に中期取得者(2週間以上3ヵ月未満)では、約4~5割が変化を実感しており、値が高かった。

育休中の過ごし方が「対人力」や「タスク力」にプラスに作用か
最後に同社は、男女の育休取得者(計1,000名)を対象に、「育休中に行ったこと」を聞いた。その結果、対人力やタスク力の向上には、育休中の「生活環境構築」や「職場とのコミュニケーション」、「自己学習」や「復職後の両立体制検討」といった過ごし方が好影響となることがわかった。しかし、数日程度(2週間未満)の育休取得者は、中・長期取得者に比べてそれらの実施率が低かった。